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新幹線輸出、オールジャパン体制始動 アジア鉄道争奪戦、世界強豪勢との競争過熱http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141128-00010005-bjournal-bus_all
Business Journal 11月28日(金)6時0分配信
日本の新幹線輸出に弾みをつけようと、ようやくオールジャパン体制が始動した。
10月22日、ホテルオークラ東京で高速鉄道国際会議が開催された。会議にはJRグループなど日本の関係者のほか、高速鉄道計画がある米国や豪州、マレーシア、インドなど、海外からも約70人が参加した。日本の車両や運行技術は世界最高水準との評価が高いが、開業50周年を迎える東海道新幹線などを引き合いにしながら、各国の鉄道計画における新幹線や超電導リニア技術の採用を訴えた。
会議を主催した国際高速鉄道協会(IHRA)の会員にはJR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州のJR各社のほか、日立製作所や川崎重工業、三菱商事、三井物産など鉄道車両に製造・販売に関わる30社近くが加わっている。まさにオールジャパンの陣容である。
JRグループや車両メーカー、商社が連合を組むのは初めてだが、JR東日本とJR東海の対立が、それを阻んできた。JR東日本元会長の松田昌士氏とJR東海名誉会長の葛西敬之氏はかつて「国鉄改革3人組」として国鉄民営化の立役者だった。だが、中国への新幹線の輸出をめぐり、積極的なJR東日本と、技術流出を懸念するJR東海が対立し、亀裂が生じた。
そのため、新幹線の輸出実績は07年度の台湾高速鉄道だけだ。仏独をはじめとする欧州の高速鉄道や、低価格を打ち出す中国などとの受注競争は激しい。巻き返しには官民が手を組むオールジャパンの取り組みが不可欠だとして、JR東日本とJR東海が手を組むことになった。
●世界市場で存在感薄い日本勢
国内の鉄道車両メーカーは日立と川崎重工が双璧をなす。両社とも新幹線から通勤用車両まで幅広く製造している業界最大手だ。ただ、鉄道車両の国内需要は頭打ちで、今後の成長のエンジンとなるのが海外だ。
日立は、12年に英国の高速鉄道車両の製造・保守業務を受注した。総事業費は6750億円で、今年10月には英国で鉄道を運行するオランダのアベリオ社に通勤用車両を供給する契約の優先交渉権を得た。都市部近郊の通勤車両の受注が決まれば今回初となり、受注額は400〜500億円の見込みだ。日立の14年3月期の鉄道事業売上高は、前期比15%増の1682億円。新幹線を含む国内の売上高が65%を占め、依然国内が売り上げの柱である。17年3月期には現在35%の海外売上高比率を65%に高め、鉄道事業全体の売上高を2400億円に増やす計画だ。
一方、川崎重工は米ニューヨークやワシントンDCなど米国主要都市の地下鉄車両を製造し、ニューヨークではシェア1位を誇る。14年3月期の車両事業の売上高は前年同期比16%増の1537億円だ。川崎重工は車両製造が事業の柱だ。日立は車両に加え信号や運行システムも手掛けているが、両社の事業規模は拮抗する。
海外に目を転じると、日本勢の存在感は薄い。カナダのボンバルディア、仏のアルストム、独シーメンスのビッグ3が、鉄道車両の世界シェアの50%以上を占めており、日本メーカーのシェアはトータルで1割程度にすぎない。
鉄道事業は政府が強く関与するビジネスだ。車両調達でも域内産業の保護に傾きやすく、日立が英国で高速車両を受注したのはまれなケース。車両規格が根本的に違う日本勢が欧州市場で実績を上げる余地は限られている。そこで、狙い目は「非欧州」市場ということになる。
●主戦場はアジア
世界の鉄道市場は成長を続ける分野だ。欧州鉄道産業連盟のレポートを基にした経済産業省の資料は、07年に15.9兆円だった市場規模が20年には22兆円(内訳は高速鉄道1.6兆円、都市鉄道等20.4兆円)に達するとしている。新興国では国家プロジェクトとして鉄道整備を進めている国が少なくない。とりわけ目を引くのがアジア(中東・トルコを含む)だ。時速250km以上で運行される高速鉄道プロジェクトの8割をアジアが占め、新興国を中心に世界で200件以上のプロジェクトが進んでいるといわれている。
世界のビッグ3はアジアなどの新興国をターゲットに据え、近年では低コストを売り物にした中国企業がシェアを伸ばしている。10月末、中国の2大鉄道車両メーカーである中国南車集団と中国北車集団が合併に向けて最終調整に入ったと報道されたが、中国国務院が合併を指示したという。両社は香港株式市場に上場しており、13年12月期の売上高を合算すると日本円換算で約3.4兆円になる。合併の狙いは海外での受注競争力を高めること。安さを切り札に、ビッグ3の牙城を崩すことにある。
熱を帯びる世界の鉄道争奪戦で、オールジャパンはどれだけシェアを広げることができるのか。日本の鉄道産業の趨勢を占う意味でも、早くも重要な局面を迎えているといえよう。
編集部
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