04. 2014年11月27日 23:27:57
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タカタ製エアバック、見えぬ収束 リコール、日米で拡大 2014年11月27日23時06分 朝日新聞 日本の自動車部品メーカー「タカタ」のエアバッグをめぐる問題が、広がり続けている。死亡事故が起きている米国では、世論の高まりを背景に、当局も厳しい姿勢だ。日本でもリコール対象がどんどん増えており、国土交通省が対応に追われている。 ■米国 強まる批判、異例の命令 「リコールを地域限定でよいとするには、十分な証拠やデータが示されていない」 米運輸省の高速道路交通安全局(NHTSA)は26日、タカタに送った書簡で、厳しく指摘した。リコールに応じなければ、1台につき7千ドル(約82万円)の制裁金を求める可能性にも言及し、12月2日までに対応するよう迫った。 リコールは通常、事故や不具合の原因を、メーカーが突き止めた上で実施される。ただ米国では、原因を究明するために、地域を絞って実施する「調査リコール」というしくみがある。タカタや自動車メーカーは、高温多湿地域に不具合が集中していることから、米南部などに地域を絞って部品を回収し、原因の究明を行っている最中だった。 「人を守るどころか、人の命を奪う製品だ」。エアバッグ問題に対する米メディアの関心は高く、報道ぶりはエスカレートするばかりだ。20日の米議会上院の公聴会で示された、金属片が顔に刺さって血を流す被害者の女性の生々しい写真などが繰り返し報道され、それがネットで拡散していく。主要紙の中でも、タカタや自動車メーカーは「問題を以前から認識していたのではないか」と指摘し、対応の遅れを疑問視する記事がたくさん出て、世論は厳しさを増している。 「NHTSAの対応が遅いのではないか」との批判も、議員らの間で高まっている。原因が特定できていない中で、リコールを「命令」したのは異例。12月3日には下院公聴会が予定されており、ある程度事態を進展させておきたいという思惑もあるとみられる。 「自動車業界全体の問題に広がらないといいが」。日本の自動車メーカーの関係者は、不安を隠さない。思い浮かぶのは、2010年に米公聴会で問題が取り上げられた、トヨタ自動車のリコール問題だ。 ハイブリッド車「プリウス」の不具合で急発進などが起き、死傷者が出ている――。当時の指摘の中には、その後、否定されたものも多数あった。ただトヨタの説明不足や対応の遅れを、米世論は厳しく批判。リーマン・ショックの影響も加わり、トヨタの販売に大きな影響が出た。 米世論の矛先は、すでにタカタだけではない。 リコール台数が最も多いホンダは24日、米国で義務づけられているNHTSAへの重大事故の報告が、11年間で約1700件漏れていたことを明らかにした。米議員らは、罰金の引き上げなどを検討し始めた。(畑中徹=ニューヨーク、大平要) ■日本 261万台より増えるおそれ リコールの広がりは日本でも底が見えない。27日もトヨタ自動車とダイハツ工業がタカタ製エアバッグ搭載車のリコールを届け出た。13日には、マレーシアでホンダ車を運転していた妊婦が7月に死亡した事故を機に、ホンダがタイの現地法人を含めて約7万台をリコール。トヨタとダイハツのエアバッグにも同時期に同じ工場でつくられた部品が使われていた。 これで日本国内のリコール対象は11社の約261万台に。10月末現在の未改修車は約90万台に上り、国交省は今月24日、各車メーカーに対し、使用者にリコールを知らせるダイレクトメールの再送を指示した。 エアバッグは事故時にインフレーター(膨張装置)から出るガスで瞬時に膨らみ、頭や胸を守る。破裂して飛び散る恐れがあるのはインフレーターの金属容器。顔に近い運転席用がより危ないが、国内リコールは助手席用が9割。4件の破裂事故で死傷者はいない。ただ10月以降のリコールはすべて運転席用だ。 国内分の交換用インフレーターは確保済みだが、リコールの広がり次第では、対応が難しくなる可能性もある。他メーカーからの一部調達も検討しており、「お客様のことを考えて他社への生産委託も考える」(タカタ広報)としている。 米国のように日本でも対象台数は膨れ上がるのか。 国交省によると、日本では05年施行の自動車リサイクル法が、車の解体時にエアバッグを作動させることを義務づけている。破裂など異常があれば、国交省に情報が伝わる仕組みだ。 年間200万個のエアバッグが処理され、このうちタカタ製は35万個程度。08年以降に破裂は10件あり、うち6件でリコールにつながった。「日本では大量の調査ができている」(国交省幹部)として、米国の「調査リコール」には追随しない方針だ。ただ今月6日にも岐阜県で解体された車のエアバッグが破裂し、原因は特定されていない。米国の調査結果と併せ、対象車は増える恐れがある。 日本で走る車は約8千万台で、タカタのエアバッグのシェアは2割。国交省幹部は「もし全部リコールとなれば、1600万台か……」と天を仰ぐ。(工藤隆治、大畑滋生) ◇ リコール対象は10年以上前に製造された車が多く、登録情報をもとに、各車メーカーから案内状が届く。販売店に持ち込めば、1時間程度でインフレーター(膨張装置)を無料交換してもらえる。中古車も同じだ。各メーカーのホームページでも、車検証に書かれた「車台番号」を打ち込めば、リコール対象車かどうかがわかり、それぞれ電話相談に応じている。 ■タカタ製エアバッグ品質問題の経緯 2000年ごろ〜 タカタ、米国工場から問題のあるエアバッグを出荷 08年 ホンダ、米国で約4千台をリコール 09年 米国で不具合による2件の死亡事故発生 13年4月 自動車メーカー、世界で約380万台をリコール 14年6月 自動車メーカーが追加リコール。世界で900万台規模 8月 リコールの影響でタカタの15年3月期の純損益は赤字見通し 10月 タカタの品質問題を米連邦検察が捜査していると米紙が報道 11月20日 米上院、公聴会でタカタやホンダなど聴取 11月26日 米高速道路交通安全局、リコール対象を全米に広げるようホンダなどに命令 11月27日 タカタ、さらに数百万台のリコールに向け自動車メーカーと協議開始 http://www.asahi.com/articles/ASGCW5CR0GCWULFA020.html |