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ヒット商品ランキング、客観性に疑問続出 審査員や基準が不明、1位はスムージー…
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141126-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 11月26日(水)6時0分配信
11月3日、月刊情報誌「日経トレンディ」(日経BP社)が「2014年ヒット商品ベスト30」を発表した。1位には興行収入250億円を達成した映画『アナと雪の女王』、2位には「妖怪ウォッチ」、3位にはユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が500億円近くの投資を行った「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」がランクインしている。この「ヒット商品ベスト30」は毎年この時期に同誌が発表する恒例企画だが、実は近年、このランキングの信頼性についてマーケティングの専門家や企業関係者の間で疑問の声が強まっているというのだ。
ちなみにこのランキングの作成方法について同誌は、次のように説明している。
「商品やサービスを『売れ行き』『新規性』『影響力』の3項目で総合的に判定。それぞれのヒットの度合いを評価し、1位から30位までのランキングに集計した」
だが、まず気になるのは、誰が総合的に判定したのかである。選考委員が存在するのか、もしくは編集部が作成したのか、これだけでは判然としない。また、客観的な売上高や市場規模などの数値のみで順位が作成されているわけではなく、「新規性」や「影響力」といった主観的な評価も加味されている。例えば1位の『アナ雪』も映画公開時の興行収益などは紹介されているが、「新規性」や「影響力」をどう評価、採点したかは言及されていない。
また、同誌のウェブサイトに掲載されたベスト10を見てみると、4位の「ジェルボール洗剤」を除き、残りの9商品には過去に同サイトが掲載した関連記事へのリンクが貼られているが、専門家からは「むしろ記事化した商品が優遇されているのではないか」「広告との関係が不明瞭」といった指摘も出ている。マーケティング・コンサルタントは次のように指摘する。
「このようなランキングやコンテストは本来、『誰が審査したのか?』を公表することが重要です。そうしないと、『企業から広告出稿などの“利益”を得て順位を作成しているのではないか』と評価の客観性・信憑性に疑いを持たれてしまうからです」
●1位はスムージー、3位はグランピング・ゴルフ…
同誌は毎年ランキング発表に当たり、次の年のヒット商品予測も発表しているが、昨年発表された今年のヒット予想商品1位は「毎日自作スムージー」で、3位は「グランピング・ゴルフ」だった。ちなみに「グランピング・ゴルフ」とはホテル並みの設備を備えるテントで豪華かつ快適に自然を楽しむ施設(グランピング)と、ゴルフ場を融合させたもので、そのほかにもバーベキューや各種スポーツが楽しめるという“新しいアウトドアスタイル”を意味するものだが、認知度は高いとはいえない。
「『トレンディ』の場合、日経MJ『ヒット商品番付』に比べると、富裕層を意識しすぎている印象を受けます。『トレンディ』が初めてランキングを発表した1987年、他のランキングでは1位がビール『アサヒスーパードライ』や洗剤『アタック』だったのに対し、同誌の1位はなんと『自動製パン機』で『アサヒスーパードライ』は13位という結果で、当時から違和感を覚えていました。さらに次年の予測となると、突然『グランピング・ゴルフ』が出てくるなど、率直にいって恣意的なものを感じます」(同コンサルタント)
ちなみに審査基準・方法や審査体制について「トレンディ」に取材を申し込んだが、「回答は控えたい。誌面に書かれていることがすべてです」(日経BP社広報)とのことであった。
●問われる公正さと透明性
メディアの動向に詳しい博報堂DYメディアパートナーズの森永真弓氏は、商品ランキング作成・発表などにおける透明性の重要さについて、次のように語る。
「ネットに書き込むユーザーは自分たちが感想を書いたり、取り上げて論評することを好むため、『誰がランキングを作成した』のか開示を求める傾向が強いと思います。透明性を重視するというわけですが、そうした“ネット世論”も無視できない要因として大きくなってきているのではないでしょうか。例えば、飲食店のランキングで有名な『食べログ』でもランキング操作を標榜する業者の存在が問題になりましたが、食べログ側は、ランキングの適正維持のためにかなりの労力を割いており、目立つレビュアーには実際に会って人物像を確認することまで行っています。11年に問題が発覚してから、そのチェック体制はさらに強化されているのですが、ランキングを作成する場合、どれほど公正性が大切かがよくわかります」
ちなみに森永氏によれば、今後、同類のランキングは数が増えていくと予測する。
「方向性は2つあるでしょう。1つはビッグデータ解析など、人為的な評価をなるべく少なくしようとするタイプ。もう1つは逆に選考委員の主観を思いっきり前面に押しだすタイプですね。その結果、これまで一定の社会的評価を受けてきたランキングやコンテスト、賞などでも、選考委員が明らかになっていないものは、生活者からの受け取られ方や重要度が変化していく可能性があると思います」
いずれにせよ企業や消費者の行動に一定の影響を与える商品ランキングには、透明性と公正さが求められているといえよう。
編集部
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