02. 2014年11月26日 21:34:25
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コラム:原油安、株高要因だがデフレリスクにも=サフト氏 2014年 11月 26日 17:13 JST James Saft[25日 ロイター] - エネルギー価格の下落は今後もしばらく続き、経済成長と株などのリスク資産を押し上げる一方で、デフレのリスクも高まるだろう。原油価格は6月以降すでに3割下落した。27日の石油輸出国機構(OPEC)総会の出す結論についてコンセンサスが得られない中で、油価が反発する可能性は低く、むしろ一段の下落の方が可能性が高いだろう。 現在起きている異例の原油価格の下落は欧州やアジアの景気減速に伴うものではあるが、市場の構造変化の方が大きく関係している。最も重要かつ持続的で根底にある問題は、シェールオイルに代表される米国の新たなエネルギー供給であり、リビアなど一部の生産中止の影響が薄れていることだ。このことは、低いエネルギー価格が相当長引くことを示唆している。 ソシエテ・ジェネラルのコモディティ調査部門のグローバルヘッド、マイケル・ヘイ氏は「原油相場は構造変化に見舞われている。われわれは10年か20年に一度しかない原油市場の根本的な変化の真っただ中にいる」と顧客向けノートで指摘した。 ヘイ氏は、おそらく40%という高確率で北海ブレント原油先物LCOc1が1バレル=70ドル、米原油先物CLc1が60─65ドルに達すると予想している。 多くの点で油価の下落は、現在の世界経済が直面する個別の問題を解決する格好の薬になる。金融政策は株式や債券の価値を急騰させたが、株などを保有する人々は一般的に以前からの富裕層であり、新たに得た富のごく一部しか消費しない。 対照的にエネルギー価格の下落は、大型の退職年金プランや株式を持たない人々の懐を豊かにする景気刺激策として作用する。 ソシエテ・ジェネラルの推計によると、原油価格が20ドル下落すると翌年の世界経済の成長率は0.25%押し上げられる。 他の条件が同じだとすると、成長率の上昇は株式などのリスク資産を支援する。 エネルギー価格の下落は経済のファンダメンタルズ悪化を反映ししたものだという懸念を全く無視しているわけではない。一部は反映しており、例えば中国や日本、ユーロ圏の問題が悪化する限りにおいては、エネルギー価格が低迷し、かつグローバル市場が下落したり不安定化する可能性は十分ある。 <低インフレと中銀> エネルギー価格の下落が金融市場に与える影響を予想するのは難しい。それによって経済運営や金融政策を複雑化させる可能性があるためだ。 米国産標準油種は1バレル=約76ドルで推移しており、来年の消費者物価指数(CPI)の上昇率に与える影響は多大だろう。 債券トレードの第一人者であるダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏は24日、「原油価格がこのまま1バレル=75ドルで推移した場合、CPIはゼロ%に向かって低下すると思う」と語った。 これは一流トレーダーの予想とはいえ、かなりコンセンサスからは遠い見方だが、その根底にある問題は明らかだ。すなわちインフレ率があまりに低すぎる。 この状況はリスク資産にとって諸刃の剣だ。インフレ率はこのところ米連邦準備理事会(FRB)が掲げる2%の目標を一貫して下回っており、原油価格がコアのインフレ率にも同様にインパクトを与えるようになると、FRBが来年利上げをするのは困難になる。 安価な原油によってファンダメンタルズの改善と異例の金融政策の長期化の双方が進み、強気相場の期間が伸びる可能性がある。 これは米国に限った問題ではなく、デフレ心理と戦っている日本銀行と欧州中央銀行(ECB)にも同様の金融緩和策を促す効果がある。 金融政策と景気刺激効果という予期せぬ後押しは一見、株価には朗報に思えるが、この種の政策の効果はわずかなものに限られる。 FRBが何年にもわたって異例の政策を続けて労働市場はかなり好調に推移しているが、インフレ率は安心できるほどの水準に比べて低すぎする状況だ。 投資家は、グローバルな勢いで事態が日本化しており、安心はできないという結論を簡単に下すかもしれない。緩和的な金融政策をもたらすような状況は、金融政策の効果に対する信頼を損なわない限りにおいて市場に好影響を与えるのだ。 結局のところ、原油価格がもたらす恩恵には、可能性は低いもののおそらくは影響力の大きなリスクが付随する。 (筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています) http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKCN0JA0JI20141126
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