04. 2014年11月26日 00:41:32
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為替は経済反映し安定望ましい、目標達成へ賃上げ期待=日銀総裁 2014年 11月 25日 16:01 JST [名古屋市 25日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は25日、名古屋市内で記者会見し、外国為替市場で円安が進行していることについて、為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましい、との見解を示した。これまで主張してきた円安は日本経済全体にとってプラスとの考えは「特に変わってない」と語った。 <円安が日本経済にプラスとの考え「特に変わってない」> 会見では、日銀による量的・質的金融緩和(QQE)の拡大などを背景に、為替市場で1ドル=118円台に進行した円安について見解を求める質問が相次いだ。 総裁は「為替相場の水準やスピード、日々の動きについて具体的なコメントは控える」としながら、「為替相場は経済・金融のファンダメンタルズを反映して、安定的に推移することが望ましい」と指摘。これまで主張してきた経済実態を反映した円安は日本経済全体にとってプラスとの認識に変わりはないか、との質問に対して「特に考えは変わってない」とし、為替変動が実体経済に与える影響について「十分に注意深く見ていく」と語った。 そのうえで、日銀として「あくまで物価の安定を目標に金融政策を運営している」と述べ、「政府が為替安定を達成する役割分担がある」との見解を表明。2%の物価安定目標の達成には「途半ば」とし、「引き続き量的・質的金融緩和をしっかり、着実に実施し、早期に目標を達成する必要がある」と語った。 円安が進行しているにもかかわらず、輸出は勢いを欠いた状況が続いているが、総裁は「輸出数量が横ばい圏内で推移しているのは事実」と指摘。もっとも今後については、海外経済の回復などを背景に「輸出数量はある程度伸びていく。循環的にも輸出は緩やかな増加が期待できる」との見通しを示した。 また、大幅な円高の是正に伴って「これまでのようなペースの海外移転は弱まっていく」とし、「国内での設備投資を強化する動きもみられている」と述べた。 <賃金動向が物価上昇に大きな影響> 今後の物価動向については、「物価が安定的に上昇する際には、賃金の安定的な上昇が必要」とし、今冬のボーナスと来年の春闘でのベースアップの行方が「今後の物価上昇に大きな影響を与える」と指摘。雇用情勢と企業収益の改善が続く中で、「十分な賃上げが行われることを期待している」と語った。 追加金融緩和を決めた10月31日の金融政策決定会合の議事要旨によると、複数の委員が追加緩和の効果を疑問視していることが明らかになったが、総裁は「効果は十分ある」と主張。追加緩和によって2015年度を中心とする期間に2%の物価安定目標を達成する可能性が高い、との見解を示した。 (伊藤純夫) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0J90GU20141125 アングル:来年もデフレ対策が課題、「過剰QE」の解消みえず 2014年 11月 25日 15:22 JST [ロンドン 24日 ロイター] - 世界の課題は2015年も「デフレとの戦い」になりそうだ。主要中銀の最近の動向を踏まえると、世界的な「過剰QE(量的緩和)」は当面、解消されそうにない。
主要中銀の金融政策は、協調とは程遠い状態にある。米連邦準備理事会(FRB)が債券購入を停止した2日後、日銀は追加緩和を発表。 その3週間後には欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が、あらゆる手段を使ってインフレ率を押し上げるべく「可能な限り迅速に」動くと表明、市場では国債買い入れに踏み込むシグナルと受け止められた。 同日、今度は中国人民銀行が2年超ぶりの利下げ実施を発表した。 <デフレとの戦い続く、一段の金融緩和も> 一連のサプライズをこなした市場は、FRBでは利上げが検討されているが、世界的には「デフレとの戦い」が進行中だと確信している。 一方で、金融政策の方向性がFRBは「引き締め」、その他の主要中銀は「緩和」とかい離が広がっていることで、米ドルが急激に上昇する可能性があり、世界の物価と米経済に想定外の影響が及びかねない。 市場関係者の多くが予想しているように、ドルの上昇が今後も続けば、コモディティ価格が下落し、世界のインフレ率も一段と低下する。一方、新興国の金融はタイトになり、米国の輸出は圧迫されるだろう。 そうなれば、世界の需要が急増する見込みがないなか、中銀は一段の金融緩和に迫られる可能性がある。FRBも利上げを先送りし、場合によっては停止した資産買い入れプログラムを再開するかもしれない。 投資家は、先進国の株式・債券の堅調地合いが続くと予想することに、ためらいを感じている。FRBだけでなく、日銀やECB、中国人民銀行も含む「ビッグ4」の政策を全体で勘案する必要があるからだ。 パリを本拠とする資産運用会社アムンディのパスカル・ブランク最高投資責任者(CIO)は「実体経済の停滞を踏まえると、金利は長期間、極めて低い水準にとどまる見通し」と指摘。「われわれは来年も、QEの過剰状態に対処していくことになるだろう」と語った。 *見出しを修正して再送します。 (Mike Dolan記者 翻訳:吉川彩 編集:宮崎亜巳)) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0J90CJ20141125 中曽日銀副総裁:大規模緩和で意図−リスク資産高など 11月25日(ブルームバーグ):日本銀行の中曽宏副総裁は25日午後、都内で開かれたパリ・ユーロプラス主催のフォーラムで講演し、「リスク資産価格の上昇やボラティリティ低下といった市場の動きは非伝統的な緩和策の意図するものと言える」との見解を示した。 日銀が公表した講演の和訳によると、中曽氏は「大規模な金融緩和は確かに金融市場に対し大きなインパクトを与えており、市場の動向をよく見ていかなければならない」との考えを示した上で「市場機能が深刻に阻害されている様子はみられていない」と語った。 中曽氏は、ポートフォリオの再構成でさまざまなリスク・プレミアムを縮小させることが量的・質的金融緩和の波及経路として期待されていると述べた。ただ、利回り追求の動きが自己実現的なサイクルに入ると市場や経済を不安定化させるリスクがあるために、過熱感が生じていないかどうか注視していく姿勢を示した。 市場のマイナス金利については、「投資家がマイナス金利を受け入れるもっともな理由がある」とした上で、国債先物の取引高が緩和導入以降、「さほど変化していない。影響はさほど受けていない」との認識を示した。 一方で国債市場の機能で「楽観的になれない理由もある」とした上で、新発債の借り入れが困難な場合や経済・物価情勢といったファンダメンタルズよりももっぱら金融政策に注目が集まっている点を挙げた。中曽氏は「市場をモニターするに当たって心に留めておくべき論点だ」と述べた。 さらに「金融政策の意図した効果と金融市場の機能とのトレード・オフが生じるのは避けがたい側面がある」としながらも、副作用を極力少ないものにするために「市場との不断の対話が何より重要だ」と語った。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 淡路毅 tawaji@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net 上野英治郎, 淡路毅 更新日時: 2014/11/25 15:10 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NFKYVH6JTSED01.html 資産価格過熱の兆候ない=中曽日銀副総裁 2014年 11月 25日 15:18 JST [東京 25日 ロイター] - 日銀の中曽宏副総裁は25日都内で開かれた仏ユーロプラス主催のイベントで講演し、日銀の大規模な金融緩和により資産価格が過熱するなどの兆候はないと強調した。 一方、大規模な国債買い入れによって市場機能が低下しているなどの指摘に対しては、市場動向を注視する姿勢を示した。 <市場機能が深刻に阻害されている様子みられない> 中曽副総裁は先進国の中央銀行による量的緩和が、市場機能に、ときには負のインパクトを与えているとの指摘に対して「完全には同意しかねる」と反論。「これまでのところ市場機能が深刻に阻害されている様子はみられない」と指摘した。 「リスク資産価格の上昇やボラティリティ(変動率)の低下といった市場の動きは、(量的緩和などの)非伝統的な緩和策の意図するもの」だと説明。これまでのところ「国内金融市場において、自己実現的なサイクルで上昇するといった意味で資産価格が過熱する兆候はない」として、バブルは生じていないとの見方を示した。同時に「言うまでもなく、金融市場に過熱感が生じていないか、引き続き注意深く見ていかなければならない」とも付け加えた。 <副作用極力少ないものにするには対話が重要> 昨年4月の日銀による「量的・質的緩和」導入以来、日銀による大規模な国債買い入れで、国債市場の機能が損なわれかねないと懸念されており、10月末の追加緩和で「懸念は一段と高まっているように思われる」とも指摘した。 一方、「国債先物の取引高は量的・質的緩和導入以降、さほど変化していない」、「日中の値幅・出来高比率も低位で安定している」とも指摘し、「国債市場の取引は量的・質的緩和の影響をさほど受けていないように思われる」との見方も示した。 一方、市場機能について「楽観的になれない理由もある」とし、「新発債の借入が困難な場合があるなど、国債市場や関連する短期市場の機能の低下を伝えるエピソードが聞こえてくる」と指摘。債券市場サーベイの開始など市場との対話を拡充し、今後はサーベイ結果を公表するとした。「金融市場の機能への副作用を極力少ないものにするには、市場との不断の対話が何より重要」とも強調した。 <マイナス金利の背後にドル調達コスト上昇> 短期市場でのマイナス金利について、「外国の投資家も、円の金利をマイナスに押し下げるうえで重要な役割を果たしている」と説明。今年の夏以降ドル調達コストが上昇したことで「ドルを保有する外国投資家が、為替スワップを通じて非常に安いコストでドルを円に転換できること」と指摘した。 ドル調達コストの上昇の背景には、「市場参加者によれば、ドル調達需要の高まりと、ドル供給姿勢の消極化の双方の要因が働いている」とし、「米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ開始観測の下でドルの出し手の貸出態度がタイト化」「国際的な金融規制強化の影響」との声を指摘し、「今後も注視が必要」と強調した。 (竹本能文 編集:宮崎大) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0J90E120141125 コラム:来春の日本株を占う総選挙6つのシナリオ=丸山俊氏 2014年 11月 25日 15:30 JST 丸山俊 BNPパリバ証券 日本株チーフストラテジスト
[東京 25日] - 金融機関のエコノミストやストラテジストはマクロ経済や金融政策について詳しく調べることはあっても、こと政治については初めから所与として深く立ち入らないことが多い。 消費再増税をめぐる議論も、断行すべきか否かの「べき論」に執着してしまい、安倍晋三首相の立場に拠って増税が衆議院解散と密接不可分の関係にあるという視点が忘れ去られていたようである。 しかし、筆者が普段接する米系マクロファンドは政治アナリストを抱えており、独自の情報網や分析力を生かして、かなり前から「増税先送り解散」の可能性を把握していた。実際、マーケットがそのことを織り込み始めたのは11月10日以降であったが、安倍首相はすでに10月中旬にはこの選択肢を真剣に考え始めていた可能性が高い。 <日本経済の未来を左右する大転換点> 最近の世論調査によれば、消費再増税の延期には賛成だが、解散総選挙には反対という意見が多い。実際、海外投資家からも「なぜ今、解散をしなければいけないのか」という質問は多い。法律で定めた景気条項に従って景気が悪いと判断したから増税を延期する、でいいではないかと皆が言うのだ。 確かに、増税延期がなぜ解散総選挙の理由になるのか、国民にはピンとこないだろう。また、メディアで書き立てられている、その他の理由は、ざっと挙げるだけでも、1)2005年の郵政解散を想起させる自民党内の増税容認派へのけん制、2)2016年の衆参同日選挙(ダブル選挙)の選択肢を嫌う公明党への配慮、3)比較的高い内閣支持率、4)野党の貧弱な選挙態勢、5)2015年に控えた原発再稼働や集団的自衛権の行使容認などの難題、6)2人の女性閣僚辞任と、枚挙にいとまがないが、いずれをとっても政治的な思惑ばかりが透けて見えてしまい、心にいまひとつ響かない。 安倍首相は会見で重大な税制改正を行う以上は国民に信を問うと述べたが、2017年4月に景気弾力条項抜きで消費再増税を行うことに賛成か反対かを直接国民に問うということなのだろうか。本稿ではあまり深く立ち入らないが、過去を見ても大義のある解散などあまりなかったわけであり、上記で挙げた理由のほかにも今やらなければいけない理由があるのだろう。 いずれにしても、4月の消費増税の反動減が大きく、予想以上に景気の足踏みが長引くなど地方・中小企業・低所得者を中心に経済政策に対する不満が鬱積(うっせき)しつつある中で行われる総選挙はアベノミクスへの賛否が争点になるだろう。このままだと投票率が前回衆議院選挙時の過去最低59.32%を下回るのではないかと心配である。 ただ、大義名分はどうあれ、アベノミクスへの賛否を問う総選挙の結果は、そのまま今後の株式市場を占う「試金石」になるだろう。10月以降の相次ぐ経済政策、すなわち年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの公的年金基金の運用見直し、日銀の追加金融緩和、消費再増税の延期、2014年度の補正予算は、金融緩和(第一の矢)と財政支出(第二の矢)によりデフレ脱却を図るというアベノミクスの原点回帰である。 そのため、アベノミクスへの賛否を問う総選挙の結果は安倍政権の政治基盤だけではなく、日本経済の行方をも左右する大きな転換点になりそうだ。アベノミクスに反対する国民がアベノミクスによって消費や(設備)投資を増やすとは考えられないように、4月の消費増税により頓挫してしまった経済の好循環を取り戻す(あるいは確実にする)ためには経済政策(アベノミクス)に対する国民の信認(共感)が必要不可欠だからだ。 株式市場(海外投資家)も総選挙における自民党の勝利をもってはじめて、国民がアベノミクスを支持していることを再認識し、アベノミクスが成功すると信じるのである。特に中長期投資家にとって、国民の高い支持を背景とした安定政権による経済重視路線、そして投資期間内(1―2年以上)に景気大変動を招く消費増税が行われないことの安心感は大きい。 <自民圧勝なら日経平均1万9000円超え> しかし、そもそも自民党の勝利は確実なのだろうか。世論調査では自民党支持層が約30%、野党支持層が合算で約30%と五分五分の勢力を保つ中で、マスコミ報道などによって風向きが変わる無党派層が40%も占めるため、直前まで選挙の趨(すう)勢を読むことは難しい。 安倍首相は連立与党で過半数獲得を勝敗ラインと会見で述べたが、現有議席数(自民党295、公明党31)と40%台の内閣支持率を考慮すれば低過ぎるハードルだ。 ただし、後述する「敵失」を追い風に地滑り的な勝利を収めた前回衆議院選挙(2012年12月)を上回る議席数を自民党が獲得できるか否かは不透明である。というのも、前回衆院選で自民党は圧勝したものの比例代表の得票率は伸びず、比例の獲得票自体も減少した。実際、獲得議席は前々回から2議席しか増えなかった。 自民党が小選挙区を制したのは、政党乱立により民主党や日本維新の会などの第三勢力がそれぞれの小選挙区に候補者を擁立したため票を食い合って共倒れとなった「敵失」が大きな要因であると言われているからだ。 今回もまた、維新の党の勢いこそ衰えたとはいうものの野党の候補者擁立と選挙協力の進展が自民党獲得議席の大きな鍵を握っている。みんなの党(衆院8人、参院12人)はすでに解党を決めて所属議員らのほとんどは野党各党に合流する見込みであり、今後は二大野党の民主党と維新の党の選挙協力の成否が自民党の獲得議席に直結するだろう。筆者は、自民党の獲得議席数によって来春に向けた6つの株価シナリオを想定している。 ●現有議席(295)を上回り圧勝、安倍長期政権樹立へ、日経平均株価は1万9000円以上に上伸 ●270―294の議席を維持し辛勝、安倍政権は当面安定、日経平均株価は1万8000円に好伸 ●250―270に議席を減らし事実上の引き分け、安倍政権続投も政権運営は難航、日経平均株価は1万7000円で膠(こう)着 ●238―250に議席を減らし事実上の敗北、安倍政権続投も政権運営は難航、与党からも責任論、日経平均株価は1万6000円へ下落 ●自民党単独過半数(238)割れとなり安倍内閣退陣、日経平均株価は1万5000円に急落 ●連立与党過半数割れ(公明党を現有議席31とすると自民党207)となり安倍内閣退陣、日経平均株価は1万4000円以下に暴落 <官邸・財務省・日銀の蜜月は続くか> 最後に、今回の増税先送り判断に伴って浮上している別の懸念を検証しておきたい。安倍首相の決断によって、増税を支持してきた財務省・日銀との蜜月関係が壊れるのではないかとの懸念だ。 しかし、これはおそらく杞憂だろう。まず財務省だが、政策が官邸(政治)主導で決められるようになり、国家公務員人事改革により幹部人事に官邸の意向が強く働くようになった結果、予算権限を握り自民党の派閥政治と結託して政策に大きな影響力を持った昔日の面影はもはやない。 財務省寄りの発言が多い麻生太郎財務相も、支持率が10%台に落ち込んだ麻生政権を末期まで支えてくれた森喜朗元首相や安倍首相には恩があり、最後は政治判断に傾いた。財務省としても増税を盾に経済対策の規模が膨れ上がっては元も子もないため、景気弾力条項を取り除くことを条件に増税延期を受け入れる余地はあったわけだ。 一方、意表を突く追加緩和によって結果的に消費再増税の環境づくりをしたと言われる黒田東彦日銀総裁はどうであろうか。もともとアベノミクスには前政権時代に決定した消費増税というメニューはなかったとも言えるし、増税に賛同する黒田元財務官を日銀総裁に任命した以上は安倍首相も消費増税を前提にしていたとも言える。したがって、追加緩和は増税が前提と考えていた安倍首相にとって、増税の決断前の追加緩和はむしろ増税延期の判断を後押しした可能性すらある。 その場合、安倍政権と黒田日銀の「協調」は反故になるわけだが、そもそも追加緩和は10月前半の株価急落や原油価格の下落、9月の都区部消費者物価の前年比1%割れなどが直接的なトリガーとなったものである。そして、11月19日の日銀政策決定会合後の記者会見では、元財務官僚で衆参両院の同意を経て内閣に任命された黒田日銀総裁は増税延期という「政治判断」に十分な理解を示した(むしろ十二分に政治を理解し過ぎてしまっているからこそ異次元緩和を実施できたのだ)。 それどころか、ゼロ金利下でいまだに銀行貸出が伸び悩む日本経済においては、増税延期というある種の財政拡張によってはじめて、長期国債の大量買い増しを決定した追加緩和の効果が生きるし増幅されるのである。皮肉なことに増税延期によって家計のインフレ期待が高まれば、日銀の物価安定目標2%への到達が早まるかもしれない。 案外と増税延期で救われるのは日銀なのかもしれないし、遠からずインフレ率が高まれば日本版テーパリング(緩和縮小)の前倒しで思わぬしっぺ返しを食うのは安倍政権なのかもしれない。中長期的には消費増税を可能にする経済環境をつくるという必要がなくなった日銀が、政治の要請よりも物価(目標)により忠実に金融政策を運営する可能性が高まったことに留意するべきだろう。 *丸山俊氏は、BNPパリバ証券の日本株チーフストラテジスト。早稲田大学政治経済学部卒業後、三和総合研究所に入社し、クレディ・スイス証券を経て2011年より現職。 http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKCN0J904S20141125
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