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トヨタの燃料電池車「MIRAI」
トヨタの水素燃料電池車「MIRAI」に700万円の価値はあるか
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141124-00000005-pseven-bus_all
NEWS ポストセブン 11月24日(月)7時6分配信
トヨタ自動車が11月18日に発表した水素燃料電池車「MIRAI(未来)」(車両本体価格は税込み723万6000円)は、究極の次世代エコカーとして普及が期待されているが、肝心の“乗り心地”は従来カーに比べてどうなのか。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が試乗レポートする。
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「MIRAI」はボディの下部に小型化した燃料電池スタックを平置き。さらに水素燃料タンクを2本に分けて搭載するなど、さまざまな工夫を凝らしたことで、SUVではなく4ドアセダンスタイルを実現した。
そのMIRAIをクローズドコースでテストドライブする機会があったので、ファーストインプレッションをお届けしたい。
試乗会場は伊豆・修善寺のサイクルスポーツセンター。普段は自転車競技が行われる全長約5kmのワインディングロードで、結構な高低差のある走り甲斐のあるコースだ。
野外に置かれたMIRAIのたたずまいは、開発責任者である田中義和氏の「まずは皆様に親しみを持っていただけるスタイリングを目指した」との言葉どおり、ハイブリッドカーの存在感を一気に高めた2代目「プリウス」のエアロダイナミクスボディの系譜に連なるもの。
過度な斬新さを盛り込むのではなく、見慣れたスタイリングとすることで、道路交通に溶け込ませようという意図がうかがえた。インテリアもきわめて大人しいデザインを採用する一方、ドアトリムやダッシュボードのフィニッシャーに柔らかな手触りの合成皮革を用いるなど、乗る人に親和性を感じさせることを最優先した設計だ。
MIRAIに乗り込み、メインスイッチをONにする。すでに燃料電池スタックの温度は十分に上がった状態であったため、アイドル時はほぼ無音。スロットルを踏み込むと、水素を送り出すポンプ、燃料電池スタック内に空気を回すブロワ、モーターを制御するインバーターなど複数の装置の音が重なり合い、「キュイイーン」というノイズを立てて発進する。
過去のトヨタの燃料電池車があくまで無音に近づけることを目指していたのに対して、MIRAIはシステムノイズを走りを実感させるのに積極利用しているというイメージだ。
MIRAIのドライブで最もインパクトが強かったのは、乗り心地の良さだった。燃料電池スタックや水素タンクなどの重量物をボディの下側に集中搭載したことにより、重心は普通のクルマよりはるかに低くなったという。
重心の低いクルマは固いサスペンションに頼らずとも、操縦性の良さを確保できる。MIRAIのサスペンションも大型セダンとしてはかなり柔らかい部類に属しており、コース上の比較的大きなギャップを乗り越えても室内は至ってフラットな乗り心地が維持され、静粛性もきわめて高いレベルにあった。快適性ではトヨタのフラッグシップモデル「レクサスLS」と同じかそれ以上と感じられた。
ハンドリングも良好。低重心や前後の重量バランスの良さの恩恵に加え、車両安定装置のチューニングがばっちり決まっていることが奏功して、本降りの雨でヘビーウェットだった試乗路においても安心してハイスピードを保つことができた。
一方、肩透かし気味だったのは動力性能。燃料電池車にはバッテリー式電気自動車と同様、電気モーター駆動のクルマならではの俊敏な運動性能を期待してしまうのだが、MIRAIの加速力はフルスロットル時でも、実用車として必要十分というレベルにとどまっていた。
5年ほど前、ホンダのセダン型燃料電池車「FCXクラリティ」を首都高速道路などでテストドライブしたときは、スロットルとモーターが直結しているかのような高応答性が至って楽しく感じられた。MIRAIの燃料電池スタックの出力は114kW(155ps)と、FCXクラリティの100kWと比べてもランク高いのだが、FCXクラリティより200kg以上重い車両重量が運動性能をスポイルしていた可能性が高い。
ちなみにMIRAIはエコ、ノーマル、パワーの3つの運転モード切り替え機構を持っているが、パワーでもエコでもドライブフィールにはほとんど違いがなかった。せっかく電気モーター駆動を行うのだから、パワーモードの時にはもっと急激にトルクが立ち上がるような演出があってもよかったのではないかと思われた。
総じて、MIRAIは水素燃料電池という、自動車用としてはまだ発展途上のパワーソースを用いながら、普通のクルマから乗り換えても何ら違和感のないハイレベルな乗り味に仕上がっていた。
一方、刺激的なドライブフィールや内外装のプレミアム感については、かなり控えめな演出。このあたりは、富裕層から強い支持を得ているアメリカのバッテリー式電気自動車、テスラ「モデルS」とはおよそ趣を異にしている。
700万円のクルマ相応の価値づけができているかといえば答えはNOだが、保守的なユーザーに抵抗感を抱かせないという目標は十分に達成されていた。
MIRAIは当面、官公庁や地方自治体などのパブリックユーザー向けを主体に販売されるため、味付けとしてはこれでいいという判断もあったのだろう。
オンロードにおける燃料電池スタックの性能、耐久性などの実証が進み、コストもさらに落とすことができれば、たとえばこのユニットを2個積めば一気に2倍の出力が得られる。一般ユーザーが高額車に求めるプレミアム感を持ったモデルが登場するのも、そう先の話ではないだろう。
トヨタ、経済産業省は、燃料電池車が一般に普及しはじめる時期を2020年以降とみている。その実現ための基盤技術がすでに確立されつつあることを証明するモデルというのが、一般ユーザーにとってのMIRAIの最大の存在意義と言えるかもしれない。
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