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加速する地銀再編、1年で半減か 想定される今後のシナリオ、トップの人脈がカギに
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141123-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 11月23日(日)6時0分配信
地方銀行の雄・横浜銀行と、茨城県の発祥だが東京都を地盤とする第2地方銀行の東日本銀行は、2016年4月に持ち株会社を設立して経営統合する。
統合後の総資産は15兆7928億円(14年3月期の合算)となり、福岡銀行を中核とするふくおかフィナンシャルグループ(14兆1259億円)を抜いて最大の地銀グループが誕生する。
東京都では、東京都民銀行と八千代銀行が10月1日に経営統合して東京TYフィナンシャルグループが発足し、東日本銀は地銀再編に取り残された格好だった。
横浜銀の寺澤辰麿頭取は「経営状態が悪くなってから、(再編を)考えるのは最悪」と述べ、経営環境が悪化する前に手を打ったと説明した。さらに「トップライン(売上高)の向上やシナジー(相乗)効果がないと(合併する)意味がない」と合併の意義を強調した。
寺澤氏は、再編を進める上で3つの要件を挙げている。(1)顧客との密接な関係の維持、(2)シナジー効果の発揮、(3)利害関係者からの理解だ。この“寺澤ドクトリン”が地銀のベストパートナー選びの一つの指針になる。
だが、今回の経営統合の実態は規模が小さく、将来生き残りが厳しい東日本銀を横浜銀が救済したかたちだ。これは従来型の「救済統合」といえる。従って、11月10日に発表された肥後銀行と鹿児島銀行の健全行同士による統合に比べて地銀業界に与えたインパクトは小さかった。
●統合の決め手は頭取の人脈?
2つのケースでは頭取の人脈が統合の決め手になった。肥後銀と鹿銀の頭取は共に慶應義塾大学の同窓生、横浜銀と東日本銀の頭取は大蔵省(現財務省)で先輩後輩の関係だった。寺澤氏は1971年、東日本銀の石井道遠頭取は74年、いずれも東京大学法学部を卒業後大蔵省に入省し、国税庁長官を務めた経歴も同じである。
寺澤氏は財務省時代から剛腕で知られ、理財局長として国債市場改革を進めた。一方の石井氏は90年代の金融危機を大蔵省で経験しており、銀行経営に厳しい問題意識を持っている。このため、両頭取が金融庁の再編要請を受け入れ、経営統合に踏み出したという見方が出ているが、東日本銀の石井氏は「金融庁から言われて協議したことはまったくない」と否定している。
統合のパートナー選びは地縁から始まる。地理的に近い地銀同士の組み合わせが頭に浮かぶが、最後には頭取の人脈が大きな影響を及ぼすことが見て取れる。
●次の再編候補
「1年以内に上場地銀は半減する」
今春、日本経済新聞社が発表したアナリスト人気ランキング4位の山田能伸氏(ドイツ証券)は、このような予想を示した。山田氏はかねてから「上場地銀は、今後数年で半減してもおかしくない」と主張してきたが、11月7日付のレポートで「これを1年以内に変更する」とした。
現在、上場地銀は84行あるが、向こう1年間でこれらが半減するという大胆な予測である。肥後銀と鹿銀、横浜銀と東日本銀の経営統合により、金融庁が主導する国策としての地銀再編が始動し、本格的な「地銀大再編時代」が幕を開けた。
では、どこが消えるのか。PBR(株価純資産倍率)が低い地銀が候補に挙がる。PBRは株価を1株当たりの企業純資産で割った数字であり、企業価値(簿価)が市場で何倍に評価されているかを示すものだ。1倍を割っていれば要注意である。
10月末の各地銀のPBRは横浜銀をはじめ、静岡銀行、千葉銀行といった地銀上位行ですら0.8倍前後で、地銀トップのふくおかFGは0.6倍。十六銀行、第四銀行、肥後銀行、山陰合同銀行、北國銀行など比較的上位の銀行でも0.5倍と厳しい状況で、下位行に至っては推して知るべしだ。極論するなら、有力地銀でも市場では低い評価しか得られていないということになる。
ドイツ証券レポートでは、今回の地銀再編の震源地となった九州での再編候補として十八銀行と佐賀銀行、また西日本シティ銀行と大分銀行の組み合わせを挙げている。
同レポートに付け加えれば、十八銀と佐賀銀、筑邦銀行の3行は株式の相互持ち合いをしており、かねてから統合の可能性が高いとされてきた。また、肥後銀と鹿銀の統合がうまくいけば、宮崎銀行の合流もあり得るとみられている。宮崎銀の大株主に肥後銀、鹿銀が名を連ねているためだ。
西日本シティ銀は親密な関係にある第2地銀の豊和銀行との統合が、以前からささやかれていた。両行の頭取は共に76年に東大法学部を卒業した東大閥で、西日本シティ銀の谷川浩道頭取は旧大蔵省出身、豊和銀の権藤淳頭取は旧三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)出身だ。
九州だけでなく、地銀の再編は全国に広がるだろう。中国・四国と、万年オーバーバンキングの東北が次の震源地になる可能性が高い。
ただ、経営的に追い込まれていない有力地銀同士の統合は難しい。それぞれ「自行がのみ込む側であること」にこだわるため、自行より優位に立っている銀行との合併には消極的になる。この難問を解きほぐすカギの一つとなるのが、頭取の人脈だ。
以上見てきた各地で続く地銀再編の動きに関して、全国地方銀行協会の寺門一義会長(常陽銀行頭取)は11月12日の定例記者会見で、「人口減少や高齢化といった問題に対抗する選択肢の一つとして、(経営統合・合併は)常に経営者の念頭にある」と述べた。企業の資金需要が低迷し、貸出金利も低水準で推移していることから、寺門会長は「経営環境は厳しい」と強調。そのうえで、「行政の仕切りで営業基盤を考えている頭取はほとんどない」と指摘し、都道府県の枠を超えた合併が進む可能性を示唆した。
再編の機は熟しているが、外資系証券会社のアナリストの見方は分かれる。ドイツ証券が上場銀行半減説を主張する一方で、バークレイズ証券は「経営統合が頻繁に起こるとは思えない」と異を唱える。果たして、1年以内にいくつのカップルが誕生するのだろうか?
【地銀の経営統合をめぐる最近の動き】
以下、統合・合併後の社名(統合時期)、傘下銀行名
・ほくほくフィナンシャルグループ(03年9月)、北海道銀行+北陸銀行
・山口フィナンシャルグループ(06年10月)、山口銀行+もみじ銀行+北九州銀行
・ふくおかフィナンシャルグループ(07年4月)、福岡銀行+親和銀行+熊本銀行
・池田泉州ホールディングス(09年10月)、池田銀行+泉州銀行
・フィデアホールディングス(09年10月)、北都銀行+荘内銀行
・関西アーバン銀行(10年3月)、びわこ銀行を合併
・トモニホールディングス(10年4月)、徳島銀行+香川銀行
・十六銀行(12年9月)、子会社の岐阜銀行を合併。
・じもとホールディングス(12年10月)、きらやか銀行+仙台銀行
・東京TYフィナンシャルグループ(14年10月)、東京都民銀行+八千代銀行
編集部
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