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中国のスマホにも日本の電子部品が多く使われている(写真は中国ZTEの工場、Getty Images)
中国スマホが救世主、沸騰する電子部品業界 日本の電子部品大手が軒並み好業績に
http://toyokeizai.net/articles/-/54125
2014年11月22日 渡辺 拓未:東洋経済 編集局記者
「スマートフォンが大きく業績を牽引した。スマホ業界が変わりつつある中、過去最高の売上高を達成した」。10月末、電子部品大手、村田製作所の藤田能孝副社長は、2014年度中間期(4〜9月)決算説明会でこう誇らしげに語った。
中間期の売上高は前年同期比15%増の4765億円で、営業益は同32%増の891億円と、期初計画を180億円上回った。これを踏まえて通期の業績予想も上方修正。今期は14年ぶりに、最高純益を達成する見通しだ。
元気なのは村田だけではない。京セラやTDKも中間期売上高が過去最高を記録した。通期ではアルプス電気や日東電工などの電子部品メーカーが最高純益を更新すると見込まれている。
好業績を牽引するのは旺盛なスマホ向け需要だ。米アップルの「アイフォーン6」の販売が世界的に好調だったこともあるが、ここへ来て急激に存在感を増しているのが中国のスマホメーカーである。
■小米の躍進が追い風に
中でも北京小米科技(シャオミー)の躍進は大きい。米IDCによると、同社のスマホ出荷台数シェアは7〜9月期5.3%と、世界3位に浮上。小米は今年、前年比3.2倍の6000万台という、販売計画を掲げている。
これに日本の部品メーカーも沸いた。京セラでは今期、中国スマホ向け売り上げが前期比3倍になる見通し。村田も中国メーカーのLTE対応スマホの出荷台数予想を期初から2倍に引き上げた。
中国勢の躍進は、売り上げ拡大以上の意味がある。スマホ2強のうち、韓国サムスン電子は内製化比率が高い。大口取引先が実質アップルしかない部品メーカーは多く、これまでアイフォーンの需要動向に振り回される傾向が少なからずあった。そこへ中国メーカーが顧客に加わったことで、より安定した需要が見込めるようになった。
が、先行きには懸念もある。一つ目は新興国で台頭する低機能・超格安スマホの存在だ。年間150台以上のスマホを分解・分析するフォーマルハウト・テクノ・ソリューションズの柏尾南壮氏は、「今後の主戦場は小米の格安機より安い100ドル以下のスマホ。が、こうした製品を分解しても、日本製部品はほとんど見つからない」と語る。日本メーカーは従来、高機能や小型を売りに比較的高額で販売してきたが、超格安スマホに採用されるには、価格を見直す必要性も出てくる。
二つ目は技術革新。一つの部品が複数の機能を果たすようになっており、部品の統合によって自社の部品が“切られる”可能性がある。
一方、環境が変わっても、不可欠な部品はある。「通信回線のLTE化が進むため、携帯電話の価格が下落しても高周波部品は搭載量が増加し、売り上げが増加するだろう」とある外資系証券アナリストはみる。使わざるを得ない部品を持っているかが、明暗を分けるわけだ。現状、高周波部品に強みを持つのは村田や太陽誘電、TDKだ。
■車載向けに熱い視線
事業環境の変化が見込まれる中、各社は「スマホの次」を模索し始めている。
有望株の一つが車載向けだ。京セラは7月に自動車プロジェクトチームを発足。自動車関連売上高を17年3月期には3000億円と、3年間で2倍にする大胆な計画を打ち出している。ロームも目下、営業部員を積極的に自動車向けに振り向けている。
自動車はエンジン制御から安全機能まで、あらゆる面で電子化が進みつつあり、電子部品の需要も高まっている。スマホと違い、一度受注すれば、その後安定的な需要を見込める。耐久性や信頼性が重視されることも日本メーカーにとっては強みとなろう。
ただ、猫もしゃくしも、とはいきそうにない。「自動車業界は実績が重視され、参入までに時間がかかる。これまで実績を積み上げてきた企業が自動車の電子化の恩恵を受けやすい」(前出の外資系証券アナリスト)。
自動車メーカーとの付き合い方も難しい。ある電子部品会社幹部は「自動車メーカーはコントロール圧力が強い。密着しすぎるとまるで傘下企業のごとく扱われるようになってしまうが、密着しないとそもそも部品提供ができないし……」と打ち明ける。
活況を呈する電子部品業界だが、今後はより勝敗が分かれやすくなりそうだ。
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