02. 2014年11月21日 16:08:38
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またかw http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141120-00000002-bloom_st-bus_all 中国の裕福な中流階級がアベノミクス押し上げ−内需不振補う 11月20日(ブルームバーグ):中国・北京の民間企業に勤める侯京燕さんが1997年に初来日した時の旅費は宿泊費や食費、交通費に土産代も含めて1週間で20万円だった。今年、日本を再訪した侯さんは銀座にあるルイ・ヴィトンでほぼ同額のハンドバックを購入した。 侯さん(45)のように中国の裕福な中流階級が休暇を海外で過ごすようになり、日本の国内消費を下支えしている。円も対ドルで7年ぶりの低い水準となり、日本への観光旅行の魅力は増している。2013年の訪日外国人は初めて1000万人を突破。観光庁によると今年1月から10月の累計で約1100万人と早くも前年の記録を塗り替えた。安倍晋三政権は20年の東京五輪開催までに2000万人にまで倍増させる方針だ。 安倍政権の成長戦略が医療や雇用、農業など岩盤規制の分厚い壁に阻まれるなか、観光分野の障壁は比較的低い。今年4月の消費増税後の反動減が予想外に大きく、国内総生産(GDP)は2四半期連続のマイナスとなった。安倍首相は18日、個人消費を押し下げ、デフレ脱却を危うくするとして来年10月からの消費税率2ポイント引き上げの先送りを決断。外国人旅行者の購買意欲は内需不振を補う切り札だ。 輸出の低迷で経常収支が振るわないなか、海外からの外国人旅行者と日本からの海外旅行者が使用した金額を差し引きした旅行収支は今年4月、大阪万博が開催された1970年以来44年ぶりに黒字となり、黒字幅は177億円と過去最高を記録した。今年上半期では510億円の赤字となったが、前年同期の2843億円の赤字から大幅に縮小した。 15年は暦年でも黒字化 第一生命経済研究所の高橋大輝副主任エコノミストは、訪日外国人の数と連動性が高い旅行収支が同様のペースで増加すれば、15年には暦年でも黒字化すると予想している。高橋氏は「まだまだ伸びしろがある。近くに中国をはじめ成長している大きな経済がある。どんどん取り込むことができれば日本経済に与える影響は大きい」とみる。 侯さんは日本で過ごした10月の1週間で約100万円を使った。その半分は洋服にアクセサリー、化粧品に子どものためのポケモンのフィギュアなどの買い物だ。銀座三越で友人に頼まれたハンドバックや化粧品を購入した侯さんは「日本には中国にはないスタイリッシュな商品が沢山ある。化粧品は中国より安いくらい」と語った。 世界観光機関(UNWTO)によると、13年に1290億ドル(約15兆円)を支出した中国人旅行者が今、世界で一番お金を使っている。観光庁によると、訪日外国人の旅行消費額は今年9月までに1兆4677億円に上り、昨年1年間の1兆4167億円を既に超えた。7−9月の旅行消費額は前年同期比41%増の5505億円と初めて5000億円を超えるなど好調だ。国別では中国が1847億円と最も多く、全体の34%を占めた。 大賑わいの免税店 全国百貨店売上高が今年4月以降、6カ月連続で減少しているなか、伊勢丹三越ホールディングス 傘下の銀座三越の売り上げは黒字が続いている。特に免税販売部門の売上高が約2倍と好調で、今年に入り中国語や英語ができる免税カウンター対応の店員を6人から21人に増員。手続き用のパソコンも3台から8台に増やした。 免税販売の好調を受け、同店は来年秋をめどに8階の1フロアを使って消費税だけでなく関税なども免税となる空港型免税店を展開することを決めた。お客様サービス担当マネジャーの吉田佳代氏は「8階で買い物をされた方に下の階で足りない商品を買っていただきたい」と、免税店を訪れた買い物客の「シャワー効果」に期待を掛ける。 外国人観光客の購買力に狙いを定め、政府は今年10月からこれまで免税対象から除外されていた化粧品や薬品、たばこのほか食料品などの「消耗品」も免税の対象とした。吉田氏によると消耗品の免税売り上げのうち9割以上が化粧品で、中国人客を中心に数万円単位でまとめ買いするケースが多いといい、その効果は大きい。 地域振興にも期待 外国人旅行客急増の恩恵は安倍政権が重点を置く地域振興にもつながっている。東京−富士山−京都・大阪を結ぶ日本の代表的な観光コース「ゴールデンルート」から大きく外れた人口3万6000人の鳥取県境港市もその一例。日本海を挟んで中国や韓国に近く、観光船で訪れる外国人旅行客は今年1年間で1万6000人に達する。 10月のある日、世界最大規模の米国の船会社ロイヤル・カリビアン・インターナショナルが保有するアジア専用の大型クルーズ船が同港に入った。旅客数は約3600人でそのほとんどが中国人客。約100台のバスが用意され、県内や隣接する島根県の観光地に繰り出した。 東京一極集中が進み、地方都市の人口減少が深刻化するなか、地域経済を下支えするため外国人観光客への期待が高まっている。境港市観光協会広報担当の古橋剛氏は「人口減少で国内に伸びしろがないなか、外国人観光客の重要性は増している。国と歩調を合わせてこれからは外国人観光客に目を向けている」と意欲を示す。 今年に入って同港に入港した客船は13隻。1昨年の5隻に比べて急増した。境港管理組合は約2年前からクルーズ船の寄航を増やすための検討会議を立ち上げ、海外の船会社への誘致活動を始めた。大型客船に対応するため来年度から新しい岸壁の整備もする計画だ。 高い宿泊費用 円安によって日本での買い物の割安感が高まる一方で、課題となっているのは宿泊費の高さだ。東京や京都で外国人旅行客向け宿泊所9軒を展開している万両は宿泊代を抑えたい顧客に格安の宿泊施設「ホステル」を提供することで解決策を示している。うち3軒はラブホテルを改装したものだ。東京の浅草にあるホステルは一番安い部屋で1泊2200円と、5500−1万円のビジネスホテルに比べ格安だ。 同社の小沢弘視社長は「外国人旅行者が多く来ているのに安く泊まれるゲストハウスの集積がない都市は世界的に珍しい。旅行者数が伸びなくても足りない。需要はある」と述べ、参入障壁となっている旅館業法や複雑な建築基準法の見直しの必要性を指摘する。 政府は30年までに外国人旅行者を3000万人まで増やす方針だ。JTB総合研究所の太田正隆主席研究員は「2000万人は達成できるかもしれないが、それ以上増やすには泊る場所、食べ物、エンターテインメントすべての中身を改善しなければならない。数の競争ばかりではいけない」と述べ、観光大国へ本格的な取り組みの必要性を強調した。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 下土井京子 kshimodoi@bloomberg.net;東京 岩本正明 miwamoto4@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net 淡路毅, 浅井秀樹 更新日時: 2014/11/20 11:57 JST
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