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貿易統計について
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52666960.html
2014年11月20日 在野のアナリスト
10月貿易統計が発表され、赤字が35%削減とされます。これは数量指数で、輸出が4.7%増、輸入が2.1%減となったこととも整合的ですが、しかしアジア向けの船舶輸出、という特殊要因もあって、必ずしも好感できません。さらに米国向けの自動車輸出が3.3%減となるなど、米国内でも自動車生産が落ちてきたように、自動車サブプライムローンで活況だった米市場の転換点もうかがえます。しかも米国向けで伸びた建設用、鉱山用機械も、このところの原油価格の下落で、エネルギー関連企業の設備投資が今後、伸び悩むと報じられており、米市場は厳しくなる見通しです。
しかも9月以降、急速に円安がすすんだ側面があり、特にドル建て、ユーロ建てで取引することの多い輸出などには好影響だった一方、円で取引されることの多いアジア向けには悪影響だった面があるなど、円安の功罪も出てきました。今日はさらに円安もすすみましたが、株価は追随しないなど、少し変化もみられます。一部では株価が先に上がったので、円安が追いついただけで、相関が崩れていないとの分析もありますが、一部では日本売りが始まった…と囁かれるなど、その見方も分かれています。即ち軽減税率の話がでてきたところですすむ円安、という背景について、やや日本の財政事情に懐疑的な見方が広がっているのでは? とも指摘されるのです。
安倍首相は解散の大義として、消費税再増税の先送りを掲げ、景気条項をとり払う予定ですが、3年後に機械的に上げられる保証がない、とも囁かれます。さらに軽減税率の議論次第では、現在8%かかっている食料品など、0%に下げられるものがあるかもしれない。内容次第では、財政規律を歪めるのでは? そんな思惑が円安に含まれる、とも噂されるのです。しかも、円安がすすんでも株高にならないと、外国人投資家は損をする。黒田バズーカ第2弾以降、3.6兆円も買ってきた外国人投資家も、先週は1兆円を割れ、今週はさらに低下したとみられます。すでにPERでみるとTOPIXでは17倍に達しており、決して割安とは言えない。為替で円安がすすんで、株価が上がらないと、外国人投資家の投資姿勢も転換する恐れが、今後強まってくるのでしょう。
さらに気になるのが、中国HSBC-PMIが速報値で50.0と、前月より低下したにも関わらず、日本からの輸出が伸びている。日本からは電子部品や工作機械の輸出が多いので、低迷する中国市場との整合性がありません。しかも上海証券報が伝えるところによると、ここ5年で国内の非効率投資が約7兆円に達した、とされます。今年ですら経済成長の投資寄与率は42%とされ、中国の経済情勢はかなり深刻の度合いを増しています。日本の貿易収支の内、4分の1を中国が占めるのですから、ふたたび落ち始めた経済指標など、少し警戒をもってしばらくみておく必要がありそうです。
国内では、10月のスーパー売上高が前年同月比1.9%減と、7ヶ月連続の減少です。全国百貨店売上高も前年同月比2.2%減と、7ヶ月連続の減少。コンビニも前年同月比1.1%減です。内需は深刻な状況で、外国人旅行者の取りこみがすすむ都市部との差、業態間の差も大きくなっています。
懸念するのは、これで外国人依存がすすみ、株式も小売もそれに対応した形ですすんでしまうと、ますます円安礼賛、円安圧力が強まってしまうことです。それはトータルしてみると、日本経済にはマイナスです。安倍氏は政労使会議で、昨年につづいて賃上げ要請を行いましたが、賃金はコスト要因でも最後に検討されます。円安で打撃をうけている企業が上げるはずもなく、円高で恩恵をうける企業でも、還元率は低い。円安で賃上げ、は単純計算で考えても、物価上昇には追いつかないのです。輸入も、輸出も円安で押し上げられている。そして28ヶ月連続の貿易赤字であるのは、即ち安倍政権が始まって以来、ずっと貿易赤字ということなのです。これは政策の失敗であり、やはり安倍ノミクスへの評価を低くする原因ともなるのでしょうね。
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