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「生命保険の見直しで家計支出削減」のワナ?老後に生活困窮するケース多数
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141118-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 11月18日(火)6時0分配信
昨今、生命保険を見直すことが賢い家計管理であるかのごとく訴えかけるテレビCMなどを頻繁に目にする。
確かに、何ごともなければ保険が活躍する場面はなく、保険料の削減が家計の合理的な支出削減の筆頭として捉えられるのもわかる。しかし、保険を見直す目的は、保障(補償)の範囲を確認することであり、その結果として保険料が下がりもすれば上がりもする。決して、この点を忘れてはいけない。
●老後の死亡保障、葬儀費用程度で十分?
生命保険の見直しが悪い方向に向かう事例として、最も多いのは、老後の死亡保障を減らしてしまうケースだ。
生計主の死亡保障額は、子の誕生時をピークとして徐々に逓減し、老後は葬儀費用程度を確保すれば十分という考え方をよく耳にする。しかし、その考え方は正しいのだろうか。老後生活は、一般的に公的年金以外に収入はなく、貯蓄を削りながらの生活となる。当初は潤沢なように思えても、予期せず貯蓄を大きく減らしてしまうことだってある。
ファイナンシャルプランナーの筆者は、夫(父)に先立たれた妻(子)からの相談を受けることがあるが、その内容は2つに大別できる。1つは潤沢な資産の活用方法や2次相続対策等に関するもの。もう1つは、生活苦に関するものだ。たとえ同じくらいの退職金を得ていた場合でも、亡くなられた後の明暗は分かれる。いうまでもなく、死に至るまでの過程と遺した生命保険金の差が原因だ。
生活に困窮されて相談に来られる方は、夫の介護期間が長く、介護費や施設への住み替え費等で蓄えを大きく減らしており、文字通り葬儀費用程度の保険金では、今後の見通しがまったく立たない、という場合が少なくない。そのような方の多くは、「夫の現役中に終身保険を減額または解約して割安な定期保険に乗り換えた」「定年を機に保険金額を減らした」といった見直しをされている。
ライフプランに基づくキャッシュフロー分析で、必要となる死亡保障額の長期的な推移を試算すると、老後のそれは一様ではなく、状況に応じてむしろ大きく増加することもある。老後の死亡保障については、遺族が経済的に自立している場合か、年金以外の収入基盤を遺せる場合でない限り、慎重に考える必要があるのだ。
●割安・掛け捨て生命保険への偏重は危険
生命保険の専門性を謳う特集記事やコラムでは、収入保障保険や逓減定期保険などの定期保険タイプを勧奨する意見が相変わらず多い。確かにこれらは、割安な保険料で死亡保障を確保できるので、子の養育期間中などの保障設計としては欠かせない。
しかし、割安・掛け捨て生命保険を勧めていても、貯蓄性のある終身保険等を否定しているわけではないことに注意してほしい。単純な対立構図ではないにもかかわらず、早合点して、既加入の終身保険を定期保険に乗り換えてしまう人も後を絶たない。
終身保険等の保険料は確かに割高だが、保険期間の経過に伴い、解約返戻金が増えていく。よって、解約を前提にすれば戻りの分があるだけ、保険期間のある時期を境に割安・掛け捨て定期保険よりも実質的な保険料は安くなる。途中で保険金額の減額を検討しやすいのも、実は終身保険である。さらに保険料払込満了以後の解約返戻金は、おおむね既払込保険料総額を超える。定期保険の場合は、保険料が安くても戻ってくることはないので、終身保険との保険料差額相当を積立運用し、老後資金と老後の死亡保障の両方を貯める工夫をしなければならない。
前述のように、老後も一定の死亡保障を備えるのが賢明である。従って、実際は契約そのものを解約することは勧めないが、終身保険であれば適宜、一部解約して現金化していく選択肢も選べる。また、商品によっては死亡保障から介護保障等に変更できるものもある。終身保険と割安・掛け捨て定期保険とは、その商品性も活用方法も異なるのだから、バランスを考えて併用していくことが望ましいのだ。
保険を見直し、保険料を落とすということは、保障の質を落とすことにほかならない。その保障とは、抜き差しならない深刻な事態に対処し得る最後の砦である。保険料という一面だけを重視して質を落とし、そして後悔された方を多く見てきたからこそ、読者の皆さんには慎重になっていただきたいと切に願う。
井上信一/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会
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