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日銀の黒田総裁は「松岡修造効果」を狙っていた?(撮影:(左)今井康一、(右)アフロスポーツ)
黒田総裁は、「松岡修造効果」を狙っていた?株価急騰後の、海外短期筋の売りに注意
http://toyokeizai.net/articles/-/53539
2014年11月16日 馬渕 治好:ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト 東洋経済
■量的緩和の肝は「松岡修造効果」だった
前回のコラムで、異次元の緩和に限界が生じ始めていた、と述べた。日銀が国債を買って銀行に資金を流し込んでも、借り入れ需要が弱く、融資などの形で資金が銀行の外に流れ出にくいため、経済に出回るお金の量を測るM2は、前年比で3%しか伸びていない。
お金の出口が詰まっているところに、追加緩和で入口からさらに資金を注ぎ込んでも、M2の伸びは高まりにくい(他の経済政策で景気が改善し、その結果借り入れ需要が増えれば、M2は大きく伸びるだろう)。実体経済だけではなく、株式市場にも外貨資産にも不動産にも、資金はなかなか流れ込まない。
では、なぜ追加緩和直後に株価が上がり円安になったのか、それは、「気分」、「誤解」、「錯覚」による。日銀自身も、量的緩和の効果は「期待に働きかけること」と語っている。日銀が、景気が良くなる、インフレになる、と語れば、皆がそう信じてお金を使い、それで本当に景気が良くなる、という展開が狙いなのだ。かなり危ういと言える。今のところ、家計や企業はなかなかそれを信じない。だが、株式市場や外為市場は、信じてはいないが緩和を売買の口実として、株高・円安が進んでいる、ということなのだろう。
どうも、黒田日銀が目指しているのは、松岡修造氏のようだ。彼は熱い(暑苦しい?)キャラとして、「熱くなれよ〜!!!」と叫んで勇気づけてくれる。日銀も、「熱くなれよ〜、景気がよくなるんだ、思い切って金を使えよ〜!!」と叫びたいのだろう。ただ、スポーツであれば、メンタルはとても大事だが、家計管理や企業経営、投資計画においては、熱くなるだけでは危険だ。
黒田総裁が目論んだのは、景気への「松岡修造効果」だけではなかろう。「安倍ちゃん、熱くなれよ〜、俺が追加緩和で景気を支えるから、思い切って予定通りに消費税率を上げろよ〜!」という意図もあっただろう。実際、追加緩和直後には「これで消費税率引き上げの外堀が埋められた」との声が多く聞かれた。
■黒田総裁は、自分で穴に落ちた?
ところが安倍首相は、消費税率引き上げを先送りする方針を、国民に総選挙で問うようだ。この場合、財政再建の遅れと投資家に判断され、国債に売りが嵩んでも、日銀が買い向かう、という形になってしまう。ある意味、黒田日銀が熱い思いで国債を買うからこそ、首相は憂いなく再増税を先送りできるとも言える。
つまり、黒田総裁は、自分が意図したのとは全く逆の役割を演じるという、落とし穴にはまったのかもしれない。
黒田総裁は13日に参議院財政金融委員会で、「追加緩和は予定通りの消費再増税が前提だった」と、質問に答える形で表明したが、後の祭りだろう。
実は、日銀が10月中に追加緩和を検討している、との気配は、どの情報筋からも、事前には全く聞こえてこなかった。
追加緩和の議決が5対4と僅差であったことからも、どうやら黒田総裁の独走に近い形だったと推察される。
その点では、穴に落ちても自業自得と言えなくはないが、勝手に走って勝手に落ちたとなれば、総裁の求心力は著しく失われた恐れがある。今後の金融政策に支障が生じなければよいのだが。
その首相の消費税率引き上げ先送りと総選挙について、外国人投資家がどう解釈しているか、ということだが、株価上昇材料との判断が優勢なようだ。
これは、まず消費税に関しては、先送りは景気にプラスとの考えによる。財政再建の遅れという点については、「景気が悪いのに無理して増税しなくても」「増税の単なる後ろ倒しであり、撤回でなければ、特に懸念するほどではない」との声が多いようだ。
また、総選挙については、現与党の勝利(議席数を多少減らしても過半数は確保)という前提で、さらに最長4年間安倍政権が続くかもしれない、これは政治体制の安定を意味するので株価にプラス、との意見が聞かれる。
■急騰後は、いったん反落しそうな日本株
しかし今後の株価については、目先は警戒を持って臨みたい。足元の株価上昇の主因は、追加緩和や消費増税先送りを口実とした、外国人短期筋の日経平均先物買いだ。海外投資家でも長期筋は、急な株価の上振れに対し様子見姿勢を強めており、国内勢は総じて利食い売りに回っている。
このため、個別銘柄の物色は盛り上がらず、日経平均採用銘柄ばかりが先物との裁定取引で買い上げられているので、NT倍率(日経平均株価÷TOPIX)は11月13日に12.5倍と、今年に入っての最高値を記録し、現在の相場付きが歪んでいることを示している。
外国人短期筋が、株価の勢いが鈍ったとみて一転利食い売りに走れば、短期的には大きく株価が下振れするリスクがある。
ただし、米国を中心とした世界的な景気の持ち直しや、そのなかでの国内企業の増益基調といった、実態面の緩やかな改善は変わらない。日経平均株価は一旦17000円を割れた後、年末年始辺りに1万8000円水準を奪回すると予想する。
今週の日経平均株価の予想は下値1万6500円程度、上値は1万7700円程度としたい。
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