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消費増税延期を問う衆議院解散・総選挙 その1 その2 (闇株新聞)
http://www.asyura2.com/14/hasan91/msg/667.html
投稿者 五月晴郎 日時 2014 年 11 月 16 日 10:28:21: ulZUCBWYQe7Lk
 

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2014年11月12日

 10月下旬から燻っていた衆議院解散・総選挙が一気に現実化しました。それを受けて本日(11月11日)の日経平均は343円高の17124円と7年1ヶ月ぶりの高値となりました。

 現時点における状況をできるだけ「正確に」お伝えします。

 消費税を2015年10月から10%に引き上げることは、2012年8月に消費増税関連法案が衆参両議院で民主(当時の与党)・自民・公明などが賛成して「圧倒的多数で」成立しており、すでに決定事項でした。

 2014年7〜9月期GDPの一次速報値が11月17日(来週月曜日です)に発表されますが、その結果をみて安倍首相が「消費増税の延期が必要」と判断すれば、速やかに衆議院を解散して「消費増税実施を2017年4月に(つまり1年半)延期する法案提出」を巡り国民の信を問うことになります。

 7〜9月期のGDPそのものは前期比年率で2.0%前後のプラスのようで、同じく7.1%もマイナスだった4〜6月期と合せると、とても増税に踏み切れる状況ではなさそうです。消費増税実施決定には一応「景気条項」が付与されていますが、具体的な数値が規定されているわけではなく「日本経済は順調に回復している」との奇怪なコメントと共に実施されてしまうはずでした。

 そこで総選挙で消費増税延期(あくまでも延期で中止ではありません)に賛成する議員が多数を占めると「消費増税実施を2017年4月に延期する」法案が可決されるはずです。

 政党単位で考えると自民・公明の連立与党も、野党の民主党も、隠れ与党のみんなの党も、まとまりの悪い維新の会もすべて消費増税には「賛成」で、あくまでも実施時期を1年半だけ延期するかどうかで国民の信を問うことになります。

 繰り返しですが消費増税は中止されず、また中止あるいは仕切り直しの法案提出を巡り国民の信を問うわけでもありません。

 また安倍首相とすれば「消費増税を強行した政権担当者として自分だけが不人気となることを避け、同時に隠れ消費増税大賛成派でありながら知らん顔であわよくば後釜に座ろうとしている某財務大臣や某国家戦略特区担当大臣らを牽制するため」も、もちろん本音でしょう。

 10月下旬から安倍首相サイドと、消費増税を強行しようとする旧大蔵省(日銀を含む)やこれらの隠れ消費増税大賛成派の自民党幹部との間で「激しい駆け引き」があったはずですが、現時点で安倍首相サイドに流れがハッキリと傾いたようです。

 その直接のきっかけは、北京で開催されていたAPECや日中首脳会談を一応乗り切ったことしかありませんが、その評価や透けてみえた習近平・国家主席の立場などは別の機会に解説します。

 さてここから日本の株式・為替・国債市場はどうなるのでしょう?

 少なくとも年内の消費増税決定はなくなり、その実施が1年半延期される可能性が出てきたので、株式市場にとってはもちろん好材料です。消費増税決定までの「年内限定官制株高」から、さらに持続的な株高が期待できます。

 しかし旧大蔵省(日銀を含む)の反撃も予想されます。つまり「官制株高」を中止してしまい「ほら、消費増税を予定通りに実施しないから株価が下落したでしょう?」としてしまう可能性もあります。

 また国債利回りは少しだけ上昇するはずですが、これは消費増税の延期で市場の日本経済見通しが少し改善するからです。

 しかし日銀の国債買入れのペースをわざと落とし「ほら、消費増税を予定通りに実施しないから日本国債利回りが上昇したでしょう? このままだと国債市場も株式市場も大暴落しますよ」としてしまう可能性もあります。

 「いくらなんでも」と思われるでしょうが、旧大蔵省(日銀を含む)の執念と底力を決して侮ってはいけません。

 為替(円)はどうでしょう? 

 やや意外だったのですが本日の欧州時間に入った日本時間午後7時前に1ドル=116.10円まで円安が加速しました。為替に関しては消費増税延期に対する外国人投資家の反応と、旧大蔵省(日銀を含む)の反撃方法については、もっと考えて改めて書くことにします。

2014年11月13日

 昨日の続きです。突然、安倍首相による衆議院解散・総選挙が騒がれ始めたので、世間ではもうすっかり消費増税が延期されたと考えられていますが、決して楽観的な状況ではありません。

 とりあえずヘッジファンドが猛烈な勢いで株式先物買い・債券先物売りを持ち込んでいます。本日(11月12日)の日経平均は午後1時過ぎに319円高の17443円まで続伸したものの、先物の大口売りに押され結局72円高の17197円で終わりました。

 その一方で国債市場では債券先物が断続的に売られ、10年国債利回りは日銀が追加量的緩和に踏み切った直後の0.44%から0.53%へ、20年国債利回りは1.19%から1.29%へ、30年国債利回りは1.44%から1.54%へと、かなり上昇しています。

 本当に消費増税が1年半延期されれば、ある程度は株高・国債安(利回り上昇)になります。国債利回りは財政規律が守られないので国際的な信認を失うからではなく、日本経済の見通しが改善するため「健全に少しだけ」上昇するはずです。

 しかし本日の値動きをみていると、株式市場は基本的に上昇するものの大口売りも出現して今後も「疑心暗鬼相場」が続きそうで、国債市場ではこれ以上利回りが上昇すると間違いなく「パニック相場」となります。

 「消費増税を見送れば国債市場が暴落して株式市場も暴落する」など消費増税のためのネガティブ・キャンペーンがここになって思い出され、ますます市場の変動幅が大きくなりそうです。

 またしてもヘッジファンドに収益機会を提供してしまうことになります。

 その原因の一端が、何で消費増税を延期するために衆議院を解散させるのか? あるいは衆議院が解散されたら本当に消費増税が延期されるのか? さらに消費増税を延期したらどんな弊害があるのか? などが大変にわかりにくいところにあります。

 旧大蔵省(日銀を含む)はもちろん、自民党・公明党の連立与党だけではなく、野党の民主党や、隠れ与党のみんなの党や維新など、消費増税延期のための衆議院解散・総選挙など誰も望んでいません。

 産業界でも、消費増税が延期されれば法人減税も延期されるので解散・総選挙は困ると、つい本音が出てしまっています。

 安倍首相は海外出張中に重要なことを言い始める傾向がありますが、今回もわざわざAPECなどの東南アジア歴訪中に煙を立てておきながら、ご本人は(やむを得ませんが)はっきり打ち消すなど、少なくとも金融市場を疑心暗鬼にさせることは間違いありません。

 だいたい消費増税関連法案は2012年8月に成立しており、2014年4月から地方税を入れて8%に、2015年10月から同じく10%にとスケジュールも決められているため、消費増税の実施を延期するためには法律改正が必要です。

 しかし法律改正のために衆議院を解散してしまう必要はありません。確かに法案成立時に民主・自民・公明で3党合意がなされていますが、べつに反故にされることは珍しくなく、今のままでも堂々と法案を提出し審議すればよいだけです。またどうせ法律改正するなら、消費増税そのものを白紙に戻して仕切り直すこともできるはずです。

 仮に解散・総選挙を経ても予定通り2015年10月から消費税が10%に引き上げられてしまう可能性もあります。消費増税延期の法律改正が行われると決まったわけではありません。与野党を問わず衆議院議員の大半は本音では消費増税に賛成だからです。

 そもそも「景気条項」といわれる消費増税関連法案の附則18条・2項には「消費税率の引き上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに(中略)それぞれの施行前に(中略)経済状況等を総合的に勘案したうえで、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる」と書かれているだけです。

 つまりいつまでに「経済状況等を総合的に勘案したうえで所要の措置を講ずる」必要があるのかどこにも書かれていません。今回はこの「景気状況」を発動するわけではないので、2015年10月まではいつでも消費増税を決定することができることになります。

 このような仕掛けをしておくことは官僚(特に旧大蔵官僚)が最も得意とするところです。つまり解散・総選挙が行われるとは、また行われたとしても消費増税が延期されるとは、確定的でも何でもありません。

 そして間違いなくヘッジファンドは、この辺りの「あやふやさに伴う市場の不安心理」を攻撃してきます。

 身構えておく必要がありそうです。  

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コメント
 
01. 2014年11月17日 07:30:19 : jXbiWWJBCA

森信茂樹の目覚めよ!納税者
【第82回】 2014年11月17日 森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
消費再増税延期はアベノミクスの失敗を意味する
消費税率の10%への引き上げを延期するかどうかが大きな政治問題と化している。仮に延期したとすれば、それはアベノミクスの失敗の始まりである。なぜなら現在わが国経済の停滞の要因は、消費税8%への引き上げに加えて、円安でも輸出が伸びない経済構造、公共事業を追加しても資材や労働者の不足により事業が進まないというアベノミクスの第1の矢、第2の矢に想定外の事態が生じていること、加えて第3の矢は全く行われていないことにある。これをすべて消費増税だけのせいにして先送りすることは、アベノミクスの失敗を意味する。

わが国経済が抱える課題

 現在わが国経済の停滞は、消費税8%への引き上げに加えて、円安でも輸出が伸びない経済構造、公共事業を追加しても資材や労働者の不足により事業が進まないというアベノミクスの第1の矢、第2の矢に想定外の事態が生じていることではないか。

 第1の矢である異次元の金融緩和で想定されていたストーリーはこうである。金融緩和による円安を通じて輸出が伸び、企業業績が改善され株価も上昇するというものである。しかし現実には、円安による輸出(数量ベース)は増加していないし、1ドル110円台を超える、これ以上の円安は輸入原材料価格の引き上げにつながるので、家計の購買力を奪い望ましくないという見解が出始めた。

 デフレ・円高経済の20年で、わが国企業の海外への移転は予想以上に進んでおり、また経常赤字の状況では、わが国経済にとって望ましい通貨レートは安ければ安いほどいい、というものではなくなっている。

 第2の矢である機動的な財政政策として行われた公共事業も同じである。

 公共事業を拡大して需要を追加し、消費税率引き上げの経済インパクトを緩和しよういうのが想定されたストーリーであった。しかし現実には、資材や労働者の不足などにより公共事業はさっぱり進捗しない。無理やり執行させれば、コスト高で赤字となりかねず、また民間建設事業の足を引っ張ることになる。

 このように、わが国経済の抱える問題は、需要不足ではなく、少子高齢化に伴う労働力不足という供給側に要因があることが分かってきた。これへの対策は、消費税増税を延期することではないはずだ。

なぜ消費税増税が必要とされたのか

 今回の消費税率引き上げは、社会保障・税一体改革として行われたものである。その趣旨は、少子高齢化の下でわが国の社会保障を持続可能なものにすること、社会保障の財源を可能な限り、現役世代で責任を持ってまかなうようにすること(後世代へのつけ回しを慎むこと)の2点である。

 とりわけ前者においては、これまで消費税収が年金、高齢者医療、介護という高齢者3経費にしか使うことができなかったものを、少子化対策にまで広げたという意義もある。

 つまり、一体改革は、わが国の少子高齢化などの社会・経済構造を変えていくことを目的として合意されたもので、短期的な経済情勢とは本来関係がないのである。そうはいっても、増税の結果、経済自体がこけたり、リーマンショック並みの経済変動が押し寄せるようなことも考えられるので、その際には実施時期を見直そうというのが、12年に成立した消費増税関連法の経済条項の趣旨である。

 このような目で見ると、7〜9月のQE(GDP速報値)が年率2%前後成長している限り、経済の腰が折れたとはいえず、法律に決められた通り税率引き上げを行うべきだ。

国家に対する信認問題

 もう一つ大きな問題は、日本という国家への信認の問題である。一度法律で決めたのだが、国民に不人気な政策なので延期する、という決断は、国家の信認を失いかねず、外国の投資家、国際投機マネーに「すき」を見せることになる。

 国際投資家の中には、「日本は経常収支が赤字で、国内貯蓄も高齢化で底をついた、巨額の国債発行を国内だけでは引き受けることができない」というストーリーを作り、「日本売り」を仕掛けて儲けようとたくらんでいる連中がいる。民主党政権時代にも何度もこのような仕掛けを行ったが、失敗した経緯もある。

 今は、“クロダノミクス”によって、日銀がほぼ無制限に国債を買い支えるので、国際価格が暴落するという事態は生じないが、このような異次元の金融緩和政策には必ず正常化に向けた「出口」が来る。

 その際に国債市場で生じるかもしれない、国債価格暴落・金利高騰のリスクは、わが国にとって制御できないものとなる。

 経済さえデフレを脱却すれば、増税なしで財政再建できるという意見があるが、金利が正常化する「出口」の姿は、2%の物価目標が達成された時とすると、金利もほぼその程度であろう。

 その際、「名目成長率を金利以上に高く維持できれば、経済成長による税収増の方が、国債利払いより多いので、毎年その余剰分を国の借金の返済に充てることができ、その結果財政再建は可能だ」ということになる。

 しかし「経済成長が金利より高くなる」ような経済運営が持続可能かどうか。その保証はどこにもない。デフレ脱却という事態が収束すれば、米国のように、「出口」を模索し始めることになるが、その際、金利の急騰(国債の暴落)を食い止めるためには、今から財政健全化に向けた努力が行われていなければならない。

 金利が上がれば、わが国財政健全化が吹っ飛ぶくらいのマグマが生じる。1%金利が上がれば、平均的な国債の残存期間は7〜8年程度なので、その年数かかって国債残高に対して1パーセント分増えていく。1000兆円の国債・地方債残高があれば、1パーセントの金利上昇で10兆円の利払いが増えていく。1年当たりに直すと10÷8(国債の平均残存既刊が8年として)=1.25兆円となり、3%上昇すると4兆円弱の利払い増加となる。これに元本の償還が加わるわけで、そうなれば少々の消費税率の引き上げでは追いつかない。

 今回の日銀の追加金融緩和は、まさにそこに向けてのメッセージ、つまり、日本銀行は与えられた職務を全うするので、政府のほうも財政健全化に向けた努力をきちんと行ってほしいということであるはずだ。

ほとんど実行されていない第3の矢

 消費税率を引き上げた場合に問題になるのは、デフレ脱却は可能なのかということだ。このカギを握っているのは、成長戦略がどこまで実行されるかという点である。

 法人税率については、数年かけて20%台へ引き下げるという方向で話が煮詰まりつつある。しかしそのほかには、ほとんど手がついていないといってよい。

 政府が取るべき対策としては、従来型の経済政策ではなく、わが国の体質を変える構造改革を行うということである。それは、少子高齢化対策を柱とすべきだ。その意味で、冒頭述べたように、社会保障・税一体改革により、これまで高齢者に偏っていた財源を勤労世代にシフトしていくこと、これから生まれてくる若者に、借金を背負わせることは可能な限り避けることである。

 手が付いていない政策として、女性労働力の活用のための配偶者控除の廃止や年金制度改革がある。女性就労の妨げとなっている103万円や130万円の壁を打破する改革であるが、この点について政府の動きは鈍い。

 このような成長戦略と消費税率の引き上げをパッケージで行うことが、「成長と財政再建」の両立ということになり、わが国経済は活力を取り戻しデフレ経済からの脱却につながっていく。

http://diamond.jp/articles/-/62220


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