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2014年11月12日
10月下旬から燻っていた衆議院解散・総選挙が一気に現実化しました。それを受けて本日(11月11日)の日経平均は343円高の17124円と7年1ヶ月ぶりの高値となりました。
現時点における状況をできるだけ「正確に」お伝えします。
消費税を2015年10月から10%に引き上げることは、2012年8月に消費増税関連法案が衆参両議院で民主(当時の与党)・自民・公明などが賛成して「圧倒的多数で」成立しており、すでに決定事項でした。
2014年7〜9月期GDPの一次速報値が11月17日(来週月曜日です)に発表されますが、その結果をみて安倍首相が「消費増税の延期が必要」と判断すれば、速やかに衆議院を解散して「消費増税実施を2017年4月に(つまり1年半)延期する法案提出」を巡り国民の信を問うことになります。
7〜9月期のGDPそのものは前期比年率で2.0%前後のプラスのようで、同じく7.1%もマイナスだった4〜6月期と合せると、とても増税に踏み切れる状況ではなさそうです。消費増税実施決定には一応「景気条項」が付与されていますが、具体的な数値が規定されているわけではなく「日本経済は順調に回復している」との奇怪なコメントと共に実施されてしまうはずでした。
そこで総選挙で消費増税延期(あくまでも延期で中止ではありません)に賛成する議員が多数を占めると「消費増税実施を2017年4月に延期する」法案が可決されるはずです。
政党単位で考えると自民・公明の連立与党も、野党の民主党も、隠れ与党のみんなの党も、まとまりの悪い維新の会もすべて消費増税には「賛成」で、あくまでも実施時期を1年半だけ延期するかどうかで国民の信を問うことになります。
繰り返しですが消費増税は中止されず、また中止あるいは仕切り直しの法案提出を巡り国民の信を問うわけでもありません。
また安倍首相とすれば「消費増税を強行した政権担当者として自分だけが不人気となることを避け、同時に隠れ消費増税大賛成派でありながら知らん顔であわよくば後釜に座ろうとしている某財務大臣や某国家戦略特区担当大臣らを牽制するため」も、もちろん本音でしょう。
10月下旬から安倍首相サイドと、消費増税を強行しようとする旧大蔵省(日銀を含む)やこれらの隠れ消費増税大賛成派の自民党幹部との間で「激しい駆け引き」があったはずですが、現時点で安倍首相サイドに流れがハッキリと傾いたようです。
その直接のきっかけは、北京で開催されていたAPECや日中首脳会談を一応乗り切ったことしかありませんが、その評価や透けてみえた習近平・国家主席の立場などは別の機会に解説します。
さてここから日本の株式・為替・国債市場はどうなるのでしょう?
少なくとも年内の消費増税決定はなくなり、その実施が1年半延期される可能性が出てきたので、株式市場にとってはもちろん好材料です。消費増税決定までの「年内限定官制株高」から、さらに持続的な株高が期待できます。
しかし旧大蔵省(日銀を含む)の反撃も予想されます。つまり「官制株高」を中止してしまい「ほら、消費増税を予定通りに実施しないから株価が下落したでしょう?」としてしまう可能性もあります。
また国債利回りは少しだけ上昇するはずですが、これは消費増税の延期で市場の日本経済見通しが少し改善するからです。
しかし日銀の国債買入れのペースをわざと落とし「ほら、消費増税を予定通りに実施しないから日本国債利回りが上昇したでしょう? このままだと国債市場も株式市場も大暴落しますよ」としてしまう可能性もあります。
「いくらなんでも」と思われるでしょうが、旧大蔵省(日銀を含む)の執念と底力を決して侮ってはいけません。
為替(円)はどうでしょう?
やや意外だったのですが本日の欧州時間に入った日本時間午後7時前に1ドル=116.10円まで円安が加速しました。為替に関しては消費増税延期に対する外国人投資家の反応と、旧大蔵省(日銀を含む)の反撃方法については、もっと考えて改めて書くことにします。
2014年11月13日
昨日の続きです。突然、安倍首相による衆議院解散・総選挙が騒がれ始めたので、世間ではもうすっかり消費増税が延期されたと考えられていますが、決して楽観的な状況ではありません。
とりあえずヘッジファンドが猛烈な勢いで株式先物買い・債券先物売りを持ち込んでいます。本日(11月12日)の日経平均は午後1時過ぎに319円高の17443円まで続伸したものの、先物の大口売りに押され結局72円高の17197円で終わりました。
その一方で国債市場では債券先物が断続的に売られ、10年国債利回りは日銀が追加量的緩和に踏み切った直後の0.44%から0.53%へ、20年国債利回りは1.19%から1.29%へ、30年国債利回りは1.44%から1.54%へと、かなり上昇しています。
本当に消費増税が1年半延期されれば、ある程度は株高・国債安(利回り上昇)になります。国債利回りは財政規律が守られないので国際的な信認を失うからではなく、日本経済の見通しが改善するため「健全に少しだけ」上昇するはずです。
しかし本日の値動きをみていると、株式市場は基本的に上昇するものの大口売りも出現して今後も「疑心暗鬼相場」が続きそうで、国債市場ではこれ以上利回りが上昇すると間違いなく「パニック相場」となります。
「消費増税を見送れば国債市場が暴落して株式市場も暴落する」など消費増税のためのネガティブ・キャンペーンがここになって思い出され、ますます市場の変動幅が大きくなりそうです。
またしてもヘッジファンドに収益機会を提供してしまうことになります。
その原因の一端が、何で消費増税を延期するために衆議院を解散させるのか? あるいは衆議院が解散されたら本当に消費増税が延期されるのか? さらに消費増税を延期したらどんな弊害があるのか? などが大変にわかりにくいところにあります。
旧大蔵省(日銀を含む)はもちろん、自民党・公明党の連立与党だけではなく、野党の民主党や、隠れ与党のみんなの党や維新など、消費増税延期のための衆議院解散・総選挙など誰も望んでいません。
産業界でも、消費増税が延期されれば法人減税も延期されるので解散・総選挙は困ると、つい本音が出てしまっています。
安倍首相は海外出張中に重要なことを言い始める傾向がありますが、今回もわざわざAPECなどの東南アジア歴訪中に煙を立てておきながら、ご本人は(やむを得ませんが)はっきり打ち消すなど、少なくとも金融市場を疑心暗鬼にさせることは間違いありません。
だいたい消費増税関連法案は2012年8月に成立しており、2014年4月から地方税を入れて8%に、2015年10月から同じく10%にとスケジュールも決められているため、消費増税の実施を延期するためには法律改正が必要です。
しかし法律改正のために衆議院を解散してしまう必要はありません。確かに法案成立時に民主・自民・公明で3党合意がなされていますが、べつに反故にされることは珍しくなく、今のままでも堂々と法案を提出し審議すればよいだけです。またどうせ法律改正するなら、消費増税そのものを白紙に戻して仕切り直すこともできるはずです。
仮に解散・総選挙を経ても予定通り2015年10月から消費税が10%に引き上げられてしまう可能性もあります。消費増税延期の法律改正が行われると決まったわけではありません。与野党を問わず衆議院議員の大半は本音では消費増税に賛成だからです。
そもそも「景気条項」といわれる消費増税関連法案の附則18条・2項には「消費税率の引き上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに(中略)それぞれの施行前に(中略)経済状況等を総合的に勘案したうえで、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる」と書かれているだけです。
つまりいつまでに「経済状況等を総合的に勘案したうえで所要の措置を講ずる」必要があるのかどこにも書かれていません。今回はこの「景気状況」を発動するわけではないので、2015年10月まではいつでも消費増税を決定することができることになります。
このような仕掛けをしておくことは官僚(特に旧大蔵官僚)が最も得意とするところです。つまり解散・総選挙が行われるとは、また行われたとしても消費増税が延期されるとは、確定的でも何でもありません。
そして間違いなくヘッジファンドは、この辺りの「あやふやさに伴う市場の不安心理」を攻撃してきます。
身構えておく必要がありそうです。
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