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不振イオン、打開策・規模拡大戦略の成算は?スーパー業界、「価格重視」からの転換点か(Business Journal)
http://www.asyura2.com/14/hasan91/msg/628.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 11 月 14 日 08:42:05: igsppGRN/E9PQ
 

不振イオン、打開策・規模拡大戦略の成算は?スーパー業界、「価格重視」からの転換点か
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141114-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 11月14日(金)6時0分配信


 国内小売業最大手イオンが深刻な不振に陥っています。

 10月に発表された2014年3-8月期(上期)の決算において、連結売上高に関しては新規出店やダイエーの連結化により3兆4315億円と15.1%増えたものの、営業利益は41.2%減の433億円、当期利益に至っては91.4%減の20億円と、ぎりぎりで最終黒字を確保したことが明らかになったのです。深刻なのはGMS(総合スーパー)事業であり、半期で営業赤字が131億円に達するなど、浮上の兆しさえ見えない状況です。

 赤字の原因としては、4月の消費増税で多くの消費者が買い控えに走ったことや、天候不順による消費意欲の減退、円安による原材料費やガソリン価格の高騰などのコスト高、競争面から見ればライバル企業の出店加速など、競争が激化したことなどが挙げられます。

 このような厳しい決算に終わった理由について岡田元也社長は「消費増税後の戦い方が、相対的に不十分だった。競争激化に対して現場の反応が遅かったり、対応を実現するだけの能力が本部に不足していた」と分析。もちろん、イオンも消費増税に対して事前の対策は十分に練っていたと思われますが、消費者の反応は予想以上に冷え込み、シナリオ通りに事が運ばなかったというわけです。

 ただ、イオンは予想を大きく下回る上期の業績にもかかわらず、通期の業績予想は据え置きました。つまり、下期は急速な回復を見込んでおり、価格政策の強化で顧客を呼び戻し、経費のコントロールでコスト削減を図り、通期目標を必達していく覚悟なのです。

●規模の拡大で窮地脱出を図る

 この業績不振から脱却するために、イオンは規模の拡大を急いでいます。9月24日には、傘下のダイエーを2015年1月をメドに完全子会社化することを発表。これでかつて小売業界で隆盛を極めたダイエーは完全にイオンに吸収され、「名門ダイエー」の名前が総合スーパー業界から消えることになりました。また、10月22日にはグループのドラッグストア4社を統合する方向で最終調整に入ったことが明らかになりました。東証1部上場のウエルシアホールディングスを中心に残りのグループ3社が加われば、売り上げ規模は5000億円を超え、マツモトキヨシホールディングスを抜いて一躍業界首位に躍り出ることになります。

 このような戦略からは、イオンとして規模を追求しバイイングパワー(商品調達力)を高めて仕入れ価格を低くしたり、ブランドの統一によるオペレーションコストの削減に努めたり、コストリーダーシップで競争を優位に展開し、低価格を武器に窮地を脱しようという狙いがはっきりと見えてきたのです。

●値下げで消費者を呼び戻せるか

 確かに低価格は消費者に対して強力なアピールになります。ナショナルブランドの商品であれば、顧客は基本的にどこのお店で購入しても同じものを手にすることができます。だとすると、合理的な消費者であれば、1円でも安いところで購入することはなんら不思議ではありません。ですから、小売業者にとって規模を拡大して事業の効率化を推進し、薄利多売で競争を勝ち抜こうという戦略は、あながち間違った考えではないかもしれません。ただ、総合スーパー業界で安売りを武器に破竹の勢いで成長を遂げてきたダイエーの戦略が破綻したことを考えれば、イオンが同じ道を進んでも大丈夫なのかという不安が頭をもたげてきます。

 実際に最近業績が堅調な総合スーパーを分析すると、その要因が価格ではないことが浮き彫りになります。例えば、同じイオン傘下のマルエツは上期の業績が既存店売上高で前年同期比4.9%増、営業利益に至っては230%増と消費増税をものともせずに快進撃を続けています。

 この快進撃の要因となったのが、「上質商品」「大量品目」「素材回帰」の3点だとマルエツの上田真専社長は分析しています。マルエツでは、高品質のものを中心に、ある程度のボリュームを重視して販売する戦略に切り替えてきました。これは、最近多くなった独り暮らしの家庭用に小分けパックなどで安く販売するスーパーの戦略の真逆といっても過言ではありません。また、素材にもこだわり、あえて高価格での販売に力を入れ、単価の向上を目指したのです。

 ただ、このマルエツの逆張りの戦略は、例えば中国での消費期限切れ原材料の使用が発覚して食に対する不安が高まった消費者の安心安全を求める心理をうまく捉え、イオンをはじめとした多くの総合スーパーが苦戦する中で、快進撃につながったのです。よって、「価格にこだわるスーパーの不振」と「価値にこだわるスーパーの好調」を踏まえれば、最近の消費者は価格よりも価値を重視する傾向に潮目が変わってきたといっても、あながち間違いではないでしょう。

●イオンは「変化」できるか?

 顧客に商品やサービスを購入してもらう原理は、「顧客の望むもの」を「望む価格」「望むタイミング」で提供すればいいという非常にシンプルなものです。ただ、難しいのは、この3つの要素が環境に応じて常に変化しているという点です。さっきまで「あれが欲しい」と言っていた顧客が、舌の根が乾かないうちに別の商品に気を引かれたというのは日常茶飯事です。それほど顧客の心は変化しやすいのです。

 そして、企業がこの顧客の心の変化に対応できなければ、どんなに巨大な企業でも生き残ることさえ難しくなることは、ダイエーの栄枯盛衰が如実に物語っています。

 かつて生物学者のダーウィンは生物の進化を研究する課程で、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である」という結論に達しました。

 この原理をビジネスに当てはめれば、イオンが今後復活できるかどうかは、強大になることでもスマートになることでもなく、唯一顧客の変化に対応できるかどうかにかかっているのです。

 組織は巨大化すればするほど小回りが利かなくなります。冒頭に紹介した岡田社長の「競争激化に対して現場の反応が遅かったり、対応を実現するだけの能力が本部に不足していた」という言葉が、イオンの現状を物語っています。一方で顧客はかつてないほど急激に変化し、イオンにその対応を求めているのです。果たしてイオンは下期、顧客の期待と本部や現場レベルでの対応のギャップを埋められるかどうか――。イオンは大きな岐路を迎えているといっても過言ではないでしょう。

安部徹也/MBA Solution代表取締役CEO


 

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