04. 2014年11月12日 17:13:10
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日銀総裁、国債大量購入は「財政ファイナンスに当たらず」 2014年 11月 12日 16:49 JST [東京 12日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は12日、衆院財務金融委員会に出席し、政府が消費税10%への引き上げを延期した場合でも、日銀による多額の国債購入は財政ファイナンスに当たらないとの認識を示した。財政への信認が低下し国債金利が相当動いても、金融システムの頑健性から影響は限定的としたが、財政運営に対する信任確保は重要だと指摘した。 黒田総裁は、増税延期に伴い国債への信認が低下した場合に、日銀の大量の国債買入れや保有が通貨の番人としてどうか、との質問に対し、「大量の国債購入はあくまでも金融政策運営上、2%の物価目標実現のための手段として行っており、財政ファイナンスが目的ではない」との認識を示した。そのうえで「消費税率引き上げについては政府・国会において経済状況等を総合的に判断して決められるものと理解している」と述べるにとどめた。 10月31日の金融緩和(QQE)の拡大に関連し、日銀が国債を買い入れるほどにマーケットの玉が不足し、何かのショックで長期金利が跳ね上がるとの懸念があることについて、「国債市場の流動性が極度に低下している状況にはなっていない」と述べた。国債市場の動きをかなり丹念に点検しいることや市場参加者との密接な意見交換を行いながら市場の安定を図っていると述べた。今後も注意深く点検し、市場の安定に努めていくとした。 さらに国債の金利が相当動いたとしても金融システムに大きな影響はないとして、90年代、2000年代初めと比べ相当頑健なものになっているとした。ただ、 政府債務とGDPの比率でみると非常に高く、財政運営に対する信任をしっかり確保することが重要だと指摘した。 総裁はQQE拡大に踏み切った理由について、原油価格の下落などが足元の物価の下押し圧力となる中、「これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがある」とし、「こうしたリスクの顕在化を未然に防ぎ、好転している期待形成のモメンタムを維持するため、ここで量的・質的金融緩和の拡大が適当と判断した」と語った。 またQQE拡大により出口政策が困難になるとは考えていないと述べた。「2%の物価安定目標の達成・維持のために機動的な金融政策を運営することは十分可能だ。今回の量的・質的緩和の拡大で出口が困難になるとは考えていない」と指摘。現時点で資産市場や金融機関行動の強気化を示す動きは観察されていないとし、「悪性インフレやハイパーインフレという状況になるとは考えてないし、そういう懸念があれば適切な措置をとる」と語った。 出口政策については、あらためて「時期尚早」と発言。出口やその後の政策運営は「その時々の経済物価情勢や市場の状況によって変わり得る」とし、「早い段階から具体的なイメージを持って話すことは適当ではなく、市場との対話という観点からも、かえって混乱を招く可能性が高い」と述べた。 <麻生財務相、消費再増税延期は決まってない> また、麻生太郎財務相は、消費税再増税の延期が「決まったということは全くない」と強調。景気対策については、何らかの対応をする必要があるとしながらも、赤字国債の発行が必要なるような補正予算を組むつもりはない、と語った。 *内容を追加します。 (伊藤純夫・中川泉 編集:宮崎大) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0IW0C420141112
コラム:日銀追加緩和、「劇薬」の副作用リスク=山口曜一郎氏 2014年 11月 12日 16:13 JST 山口曜一郎 三井住友銀行 シニアエコノミスト [東京 12日] - 相場の値動きには落ち着きが出てきたものの、10月31日の日銀「サプライズ緩和」の余韻は根強く残っており、日経平均は1万7000円、ドル円は115円を挟んだ推移となっている。非伝統的手段を用いて期待に働きかける金融政策において、市場の価格形成に影響を与えたかどうかを成功の判断基準とすれば、今回は大成功と言えるだろう。 それでも、今回のサプライズ緩和は誰のためだったのかという点はやはり気になる。日銀は声明文で「これまでに着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスク」を指摘しており、好転している期待形成のモメンタムを維持することを政策変更の理由とした。日銀にとっては、企業、家計、投資家、その他市場参加者、と全ての経済主体のためだったのだろう。政策当局は、物価を上げるためには何でもやることを示さなければ企業も家計も信じない、との決意を持って金融政策に臨んでおり、今回、中銀は揺らいでいないというメッセージは間違いなく伝わった。 しかし、このサプライズ緩和は、金融市場関係者、中でもデフレマインドから抜け出せていない一部の投資家やエコノミストの背中を強く押すという意味では大きな効果があったが、実体経済を担う企業や家計に対してはインパクトが強すぎた恐れがある。 筆者は、企業も家計もモノの値段が上がることはすでに実感し始めていると見る。大手小売業者が8月に値上げに踏み切るなど、企業は少しずつ価格転嫁を始めている。一方、家計は、名目所得の増加を感じながらも、持続的な賃金上昇に対する不確実性と足元の消費増税の影響で、財布のひもを緩めていいものかどうか考えあぐねている状況だ。デフレマインドからインフレマインドへの漸進的な転換も手伝って、先を見据えた企業行動から設備投資が堅調な動きとなる一方、消費動向には不透明性があり、消費増税後の反動減の長期化から在庫が増加し生産活動に調整が入っている。 総合的な消費者の行動を示す消費総合指数は9月までの発表しかないが、前月比プラス0.5%の106.4にとどまっており、これは3月の114.1に遥か及ばないどころか、2012年10―12月の水準に過ぎない。大手小売業者の決算発表でも、高価格帯の商品が売れているといった明るい話題がある一方で、前回の増税時よりも売り上げの戻りが鈍い、消費者が慎重になっている、日本の景気は良くなっておらず良いのは東京だけ、といったコメントが出るなど、不透明感は拭えない。 経産省が発表した9月の小売業販売額は前年比プラス2.3%と3月の11.0%以来の高い伸び率となっており、秋に入ってからの持ち直しに期待したいところだが、大手百貨店の10月の売り上げ速報は前年同月比でプラス、マイナスまちまちであり、明確な回復トレンドは描けていない。円安に伴う観光客の消費増を取り込んでいるはずの百貨店にしてはやや失望的な状況だ。 これらに呼応するように、生産面では、9月の鉱工業生産が前月比プラス2.7%と8月のマイナス1.9%から反発したが、7―9月期は前期比マイナス2.0%と鈍い着地だ。先行きを見ても、生産予測調査で10月が前月比マイナス0.1%、11月がプラス1.0%となっているように、本格的な生産回復期待は11月以降に先延ばしされている。 <中小企業と消費者は劇薬に耐えられるか> このような環境下で、サプライズ緩和によって株価が上昇したら、人々は資産効果で消費を増やすだろうか。おそらく、もうその段階ではないだろう。サプライズ緩和によって一段の円安が進んだら企業収益はどうなるだろうか。大手輸出企業は恩恵を受けるが、輸入比率の高い内需型の中小企業は苦しいだろう。 ドル円が3桁水準に定着し、105円、110円と円安が進む中で、輸入企業はもちろん輸出企業も、今後のビジネスモデルや戦略において様々なケースを検討し始めているであろうことは想像に難くない。多くの専門家が、円安にもかかわらず予想ほど輸出が伸びなかった要因を分析し、企業の現地生産シフトという構造変化、販売数量ではなく収益確保に対する強いインセンティブ、製品競争力の低下などを指摘しているが、それ以上に、これらの分析を通じて強く感じるのは、5年にわたって2桁の為替レートを経験し、円高継続を想定したビジネスモデルを構築した企業は、急に円安が進んだからといってすぐに構造や戦略を変えることはできないということだ。 2年前、ドル円は80円だった。再び3桁の為替レートが定着すれば、内外価格差や海外進出コストを考慮し、徐々にグローバルな生産拠点のアロケーションを見直す動きが出てくると予想される。しかし、戦略見直しには時間がかかる。為替や株なら、環境や方向性が変われば、ポジションを閉じたり、買い持ちから売り持ちに変更すればいいが、操業を始めたばかりの工場を閉鎖したり、違う国に移転することは不可能だ。 特に心配なのは、今回の追加緩和に伴う急激な円安が、生き残りをかけてビジネスモデルの転換を図ろうとしていた内需型企業や中小企業に致命的な打撃を与えてしまわないだろうかという点だ。 誤解しないでほしいのは、筆者は第二次安倍政権および黒田日銀体制の発足から、一貫して両者の支持者であり、ここは全くブレていない。2012年秋から2013年春にかけて、当時、筆者は海外駐在だったが、海外投資家から質問されるたびに、自分自身も期待に胸を膨らませながら「日本は変わる」と熱く語ったものだ。 今回も、日銀は本気だというメッセージを打ち出したこと自体は評価できるものであり、筆者もインフレとインフレ期待のアンカーのためには追加緩和を実施すべきと考えていた。ただし、サプライズ緩和は、劇薬の投与が必要な患者に、まだ薬は打ちませんよ、と伝えておいて、いきなり打った感がある。その結果、突然の劇薬投入で驚いた患者は、初期に強い回復反応を示したが、影響が強すぎて反動や副作用が出てくる恐れがある。 果たして、一部の市場参加者を除く、多くの人々は足元の急激な円安と株高についてこられるのだろうか。すでに述べたように、企業も家計もモノの値段が上がることを実感し始めているというのが筆者の見立てだが、企業行動が変わるには一定の時間がかかる。中小企業庁によれば、中小企業の数は総企業数の99%以上を占め、従業員数は全体の約7割を占める。彼らはわずか2年間でドル円が80円から115円に上昇した為替相場に耐えられるのだろうか。 同様に家計の資産ポートフォリオのシフトにも一定の時間がかかる。一部の富裕層を除けば、多くの家計はいろいろと悩みながら、少しずつポートフォリオに占める株式の割合を増やしていくだろう。そのような中、いきなり日経平均が1万7000円レベルまで上昇してしまった。海外勢でさえ若干躊躇(ちゅうちょ)するような水準で果たして家計が株式投資に積極的に乗り出してくるのか、また乗り出してきた場合に株価は彼らの資産形成にプラスとなるような値動きを見せてくれるのか、10月末のサプライズ緩和を経て、筆者の疑問は深まるばかりだ。 この疑問に政府はどう対応すべきか。ゾンビ企業を延命させる必要は全くないが、現時点で最も重要な政府の経済政策は、マクロ景気刺激策よりも、内需型企業や中小企業に対して急激な円安の打撃を和らげる措置を講じることだと考える。 さて、最後に相場見通しだが、実体経済への不安要素をよそに、日銀の追加緩和を受けて株高と円安は継続する公算が大きい。短期的には金融市場と実体経済の乖(かい)離を懸念する動きから、相応の調整局面があると見るが、米国で連邦準備理事会(FRB)が年央から利上げを開始し、日本で日銀が年間80兆円のバランスシート拡大を実現するようであれば、来年のドル円は120円台まで上昇するだろう。また、それに伴って上場企業の増益が期待できるため、日経平均は1万8000―1万9000円に値を上げる可能性がある。 ただし、これが実体を伴った価格水準となるかどうかは、今後の企業、家計の行動および政府のサポート次第だ。第2弾の消費税率引き上げ判断についても、この文脈の中で検討すべきだろう。柔軟性と機動力をもったアベノミクスの実行が期待される。 *山口曜一郎氏は、三井住友銀行市場営業統括部副部長兼調査グループ長で、シニアエコノミスト。1992年慶應義塾大学経済学部卒業後、同行入行。法人営業、資本市場業務、為替セールスディーラーを経て、エコノミストとして2001―04年にニューヨーク、04―13年ロンドンに駐在。 http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPKCN0IW0CQ20141112
河合氏:消費増税先送りなら日銀の金融政策のかじ取り困難に 11月12日(ブルームバーグ):日本銀行の河合正弘参与は、来年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げが延期されれば日銀の金融政策のかじ取りが困難になるとの見方を示した。 河合氏は11日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、日銀が金利低下とインフレ押し上げのために大量の国債を購入しており、「消費増税が先送りされたら、安倍首相は財政の信頼を失いリスクプレミアムが高まり、日銀の金融政策は一段と困難になる」と述べた。 新聞の世論調査などで消費増税に反対する声が多いことから、安倍晋三首相が早期の衆院解散に踏み切るとの見方が強まり、与野党は総選挙に備える準備を始めた。黒田東彦日銀総裁は消費増税が先送りされた場合のリスクに対処するのは難しいとの考えを示している。 河合氏は「消費増税は予定通り行うべきだ。アベノミクスは異次元の金融緩和とともに始まっており、消費増税が先送りされれば財政再建への信頼を失い緩和の力を弱める」と述べた。同氏は2001−03年に黒田総裁が当時の財務省の財務官だったころ、副財務官を務めた。 追加緩和 日銀は10月31日、追加緩和を決定しマネタリーベースの目標額を年間約80兆円に引き上げた。 BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは決定後のリポートで、この決定の背景について「黒田東彦総裁にとっては、インフレ目標達成の重要性もさることながら、消費増税を可能とする政治的環境を整える、ということも同時に重視していたのだと思われる」との見方を示した。 河合氏は「選挙をしている時間はない。安倍首相には経済を再生する仕事が山積している。選挙を行うより、TPPや地域創生などの構造改革にエネルギーを使うべきだ」との考えを示した。 安倍首相は11日、APEC首脳会議後に北京で会見し、「解散のタイミングについては、私は何ら決めていない」と述べた。首相は12月末までに消費増税の是非を判断する方針を示している。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 藤岡 徹 tfujioka1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net 淡路毅, 持田譲二 更新日時: 2014/11/12 10:37 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NEWHHF6KLVRA01.html
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