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ホンダのアキュラRLXを使用したプロトタイプ自動運転車(写真=テクノメディア)
世界の自動車産業、自動運転実用化へ「競争・協調」本格化 国・企業間で“認識の差”も
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141110-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 11月10日(月)6時0分配信
9月にITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)世界会議がアメリカ・デトロイトで開催された。今回は自動車メーカー、サプライヤー、政府、学会などから約9000人ものITS関係者が集まったが、その背景には「いよいよ自動運転の時代がやってくる」と多くの関係者が感じつつあるからだろう。
自動運転というと、昨年グーグルが発表した無人車が一般的にはメジャーだが、世界の自動車メーカーは無人の自動運転車は考えていない。この点に関して、日米欧の自動車産業の認識は一致している。しかし、現在実用化されている「加速・減速と車線維持」は自動運転の定義ではレベル2の段階にいるが、2020年頃の実用化を目指すレベル3に関しては日本と欧米で若干の認識の違いがある。
それは自動運転をしている時、ドライバーはすぐに運転できる状態を維持しなければならないという点だ。自動運転中にドライバーは運転状況を監視する義務があるのかどうか? あるいは携帯電話を使うことが許されるべきなのかどうか? 日本の法律では、運転しながら携帯を使うことは禁じられている。
では欧州メーカーはどう考えているのか。メルセデス・ベンツやBMWは「あくまでも運転支援」というスタンスで開発していたが、最近になって「自動運転中は寿司を食べることができる(実際メルセデスの広報誌には、その写真が掲載されている)」と柔軟な解釈に変わりつつある。
●ホンダは自律走行型、トヨタは現状の技術を拡張
さて、デトロイトのITS世界会議では、公道でデモ走行したのは本田技研工業(ホンダ)とトヨタ自動車のみだった。ホンダは、アキュラRLXを使ったプロトタイプ自動運転車に試乗できた。車線変更や合流も自動的に行うものだ。ホンダのシステムの基本は、詳細な地図データ(複数レイヤーのビッグデータ)によって走行し、カメラとレーダーで実際の道路状況を確認しながら走行する自律走行型だ。ルーフにはライダーが載り、360度の情報を入手し、より詳細な道路状況を得ている。今後、機材を小さく安価にする必要があるだろう。ホンダは2020年頃の実用化を考えているようだ。
一方、トヨタは、レクサスGSをベースに現状の技術を拡張した簡易的な自動運転であった。基本的には道をまっすぐ走行する程度の自動運転で、車線変更は人間が判断して行う。このシステムは量産を前提としており、おおまかに3つの機能がある。その1つ目は従来よりも高性能なDRCC(ダイナミックレーダークルーズコントロール)。2つ目は積極的に車線維持を行うLTC(レーントレースコントロール)。3つ目はプレビューHMIというドライバーモニターシステムでドライバーの顔を監視して、居眠りや脇見に対して警告を出す。この3つの機能は来年にも実用化できる技術である。
ホンダ、トヨタに限らず、世界の主要自動車メーカーは本気で自動運転に取り組んでいる。今までの先進技術のレベルをはるかに超える、大きなイノベーションが起きようとしているのだ。ドイツを中心とする欧州でもボッシュやコンティネンタルなどのメガ・サプライヤーが基盤技術を開発しているが、競争と協調領域を明確にしながら、20年頃のレベル3の商品化を急いでいる。
商品化においては、ユーザーにどのような魅力を提供するのかが問われてくる。つまり、自動運転は事故を未然に防げるという社会受容性だけではなく、個々の自動車ユーザーのメリットを考える必要がある。それゆえ普及のためには、「自動運転中は運転者が寿司を食べられる」(メルセデス)というような具体的なメリットがカギとなってくる。
清水和夫/モータージャーナリスト、日本自動車研究所客員研究員
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