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増税と景気とメディア
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52665991.html
2014年11月09日 在野のアナリスト
10月、米雇用統計は非農業部門の雇用者数が21.4万人増。失業率は5.8%に低下しました。全体でみると、労働参加率も0.1%上がっていますし、時間あたり賃金も0.03$上昇、雇用比率もあがるなど、全体的にはよい内容でしたが、それより良い内容を期待していた市場は若干の失望、と受け止めました。最近、アナリストがまとめた市場予想より、マーケットがさらに良い内容にベットする、ということが続いており、史上最高値圏にある米株の上値は重たくなっています。
日本では9月景気動向指数速報値が発表され、一致指数が前月比1.4pt上昇して109.7。先行指数が1.2pt上昇して105.6。両指数とも上昇したのに、内閣府は基調判断をすえおきました。見かけの数字以上に、中身が悪いので、据え置きどころか下方修正しても良かったほどです。まず一致指数は生産指数、及び出荷指数がのびた。これは9月の特殊要因で、半期の締めがあったための伸びです。一方で大きく下がったのは電力使用量、有効求人倍率など、今後の景気に不安を残します。
先行指数は在庫指数が大きく寄与していますが、これは8月に大きく下がった分の戻し、であり、9月の棚卸しの影響もあるでしょう。一方で下がったのが消費者態度指数、中小企業売上げ見通し、日経商品指数など、これも将来の景気に不安をのこす内容です。9月の特殊要因さえなければ、全体も悪化していた可能性が高く、景気は依然として下方に向かっている、とも言える中身です。
消費税再増税にむけた点検会合とは別に、ノーベル経済学賞をとったクルーグマン氏が安倍首相と会談、再増税を否定しています。しかしノーベル経済学賞はほとんど新自由主義者で占められており、聞けばほとんどこう応じるでしょう。参与の浜田氏や本田氏も同様、新自由主義者は経済成長をめざす。これだけ悪い景気指標が並ぶ中、再増税など有りえない、というところです。
しかし新自由主義者が、日銀の金融緩和の効果で雇用が伸びた、というのも間違いです。安倍ノミクスは金融緩和と財政出動が重なっているため、簡単に効果は語れません。それに150万人増えた、というそのほとんどが非正規雇用で説明がつきます。退職、再雇用等も含まれるため、正規雇用の伸びはほとんどない。若年層の雇用がのびた、といっても賃金の安いうちに使い捨てられる可能性もあって、長期の安定した雇用につながるか、その判断はまだ先でもあります。
つまり増税判断ができるほど、景気指標が改善していないだけでなく、日本全体の体力があるか? が重要なのですが、その議論をする人がほとんどいません。歳出が増えるから歳入を増やさなくては、という意見があっても、国民の支出が増えるから、収入を増やすような施策を、という意見がありません。結局、この国ではメディアに登場する経済の有識者、と称する方々も、国目線で語るばかり、という実態を示すのでしょう。増税反対で登場する人々が、ふだん滅多にメディアに出られないのもそうした事情であって、こういうときに顔を見たことがある有識者の意見に、国民が引っ張られ易い、ということを弁えてふだんからメディアも行動しているなら、この国で財務省に逆らうことが如何に怖いことか、を示す議論になっている、ということでもあるのでしょうね。
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