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世界最古の旅館・西山温泉「慶雲館」
1000年超存続する超長寿企業がダントツで日本に多い理由解説
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141109-00000001-pseven-bus_all
週刊ポスト2014年11月14日号
創業200年を超える企業は、なんと3000以上。世界髄一の老舗大国である日本は、同時に世界一の「温泉大国」でもある。中でも1300年の歴史を誇る癒しの湯が兵庫、石川、山梨にある。時代を超えて日本人をもてなしてきた「千年旅館」について、ノンフィクション作家・野村進氏が解説する。
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日本は世界一の“温泉大国”である。温泉の質、量や施設の充実ぶりはもちろん、幅広い階層の国民が、昔からこれほど温泉に親しんできた国はほかにない。
ヨーロッパの温泉は、長らく貴族・支配階層の占有物であった。庶民が温泉を楽しめるようになったのは、意外にも19世紀以降のことなのである。アジアでも台湾や中国の温泉が最近にぎわいを見せているが、いずれも日本文化の影響が色濃い。
日本はまた、世界一の“老舗大国”でもある。世界最古の企業として知られる大阪の建設会社・金剛組は、古墳時代末の西暦578年の創業で、なんとムハンマドがイスラム教を開いた年よりも前から続いている。
200年以上存続する企業の数は、韓国0、中国9、インド3に対して、日本は実に3000以上。次点はドイツの約800だから、ダントツの1位である。さらに、1000年以上の“超”長寿企業も、ベストテンのほとんどを日本の会社が占めている。老舗は、この極東の島国に集中しているのである。
つまり、日本は世界一の温泉大国にして、老舗大国なのだ。それを象徴するのが、業歴1300年余を誇り、世界最古の旅館としてギネスブックにも認定された山梨県・西山温泉の慶雲館である。52代目の当主・深澤雄二社長は、こう語る。
「いまにして思いますと、とにかく立地条件がよかった。私も若いころは、こんな辺鄙な山奥にどうして、と思ったこともありますが、ここには戦乱も及ばなければ、外からの資本も入ってきません。すばらしい自然環境もずっと保たれていて、いまでは得がたい立地条件だなと感じるようになりました」
侵略や内戦に見舞われた期間が長ければ長いほど、老舗は存在しえない。これは世界各地に当てはまる“法則”である。
かたや日本列島では、平穏無事な時代が長く続いてきた。その土台の上に、「継続」をことのほか重んじる日本人の価値観や、「自然」と「ものづくり」を愛する独特な気風が重なり合って、老舗文化と温泉文化の両方が大きく花開いた。
こうした諸条件が奇跡的にそろったからこそ、老舗も温泉も、1000年の時を超えて存続できたのだ。われわれがいま温泉を心置きなく楽しめるのは、その恩恵に文字通り「浴している」からなのである。
◆野村進/1958年生まれ。1997年、『コリアン世界の旅』で大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞をダブル受賞。『千年、働いてきました』がベストセラーとなり、近著には『千年企業の大逆転』など。
撮影■二石友希
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