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セブン&アイすら予測外れ目標割れ…出口見えぬ小売り不振、安売り消耗戦突入か
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141108-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 11月8日(土)6時0分配信
セブン&アイ・ホールディングスの2014年3〜8月期の連結決算の本業の儲けを示す営業利益は前年比2%増の1672億円となり、2年連続で過去最高を更新したが、予測していた3%増の1700億円には届かなかった。
セブン&アイ会長の鈴木敏文氏は、3月31日付日本経済新聞のインタビュー記事の中で、消費増税の影響による消費落ち込みからの回復の見極め時期を6月と予測し、「天候に恵まれて夏物商戦がうまく立ち上がればいい方向に行くとみている」と語っている。しかし、6月は天候不順なども影響して景気回復は大きく遅れることとなった。さらに鈴木氏は「社内で『売り上げ不振を天候のせいにするな』と言い続けてきたが、天候の変化で消費心理が左右されるようになっている。今では、どんな天候にも対応できるように全天候型の売り場を目指せと言っている」と、天候によって消費が落ち込んでいる状況を認めた。
消費増税と天候不順の影響が特に大きかったのは総合スーパーだ。客足の鈍化に加え、気温が上がらず夏物衣料の販売が落ち込んだことなどにより、傘下のイトーヨーカ堂は6〜8月に営業赤字に転落した。また、消費増税後に国内コンビニエンスストア各社は、既存店売上高が軒並み前年同月を割り込んでいる。その中でセブン-イレブンは唯一プラスを維持しているものの、6〜8月の夏場の3カ月に限ると2%の営業減益で、増税後の国内消費の厳しさを映し出した。
百貨店、コンビニ、スーパー業界の全体の売上高は6カ月連続のマイナス成長である。このようなデータから、消費の回復はまだ先のことと予測する見方も多い。
●低価格戦略から脱却できるのか?
消費動向の読みに定評のある鈴木氏にも先行きがわかりづらいのか、「週刊朝日」(朝日新聞出版/10月10日号)で行われた作家の林真理子氏との対談では、いつもの自信たっぷりな発言を封印している。
「鈴木:これから5年後のコンビニは大きく変化する。ただ、どんなふうに変わるか、僕にもわからない。
林:会長がわからなかったら、ほかの誰にもわからないんじゃないですか。
鈴木:だから世の中の変化に合わせていく。セブン-イレブンで特徴的な商品というと、最近では、100円コーヒーですね。コーヒーはセブン-イレブン創業のときからずっとやっていて、30年、40年と研究し尽くして100円コーヒーができたんです。そうやってわれわれが世の中に変化を植えつけていかなくちゃならない。5年たったらコンビニは相当変わりますよ」(同誌より)
鈴木氏は「低価格戦略は打開策にならない」を持論としており、林氏との対談の中でもダイエーが衰退したのは「安さから抜けられなかったから」と分析している。だが、100円コーヒーが大ヒットした要因のひとつは、100円という安さである。セブンが100円を前面に押し出したため、他のコンビニも淹れたてコーヒーの値段を100円に値下げして対抗せざるを得なくなった。セブンの100円コーヒーは低価格競争の勝ち組の商品ともいえる。鈴木氏は「値段を下げればいいという時代ではない」と常々語っている。しかし、セブンの価格設定は、「類似した商品であれば、ライバル各社と比べて10円から20円安いケースが多い」と外資系証券のアナリストは指摘している。こうしたセブンの取り組みは、増税による低価格志向を先取りしているとも受け取れる。
一方で、食品メーカーは円安の影響による原材料価格の高騰により製品の値上げラッシュだが、消費増税による売り上げの戻りが鈍い小売り企業としては、消費者を呼び戻すために安売り一色になる可能性もある。
そんな中、東京、神奈川、千葉、埼玉に270店を展開する食品スーパー、マルエツは消費増税後の4月に前年実績を割り込んだが、安い商品と高めの品揃えを同時に強化する二面作戦が功を奏し、5月からはプラスが続いている。14年3〜8月期の営業利益は前年同期の2.3倍の23億円となり、今後、首都圏に年10店以上、新規出店するという。
これから本格化する歳末商戦では、小売り各社が安売りに走らず、鈴木氏が述べるように低価格戦略から脱却することはできるのか。今後の売り上げ回復を占う上で、小売り業界は重要な局面を迎えているといえよう。
編集部
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