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[羅針盤]米量的緩和、結局その効果は
バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)前議長は回顧録を執筆中だ。誰もが知りたいのは議長がどこまで量的緩和(QE)の効果を確信していたかだ。先週、終結が決まったQEは最後まで謎だらけだった。
最大の謎はQEが景気を刺激するからくりだ。FRBが世の中に出回るお金の基となるベースマネーを増やしても、融資などの形でにじみだす量は限られた。企業の投資などがもたつき物価も上がらない一因だ。
それでも米景気を明るくしたのは株価への貢献が大きい。QEのたびに株高が進み、家計の資産増や心理改善を通じ、「消費増→企業の業績改善→雇用の改善」という循環を後押しした。
ではQEは株価にどう作用したのか。これもはっきりしないが、「いざとなればFRBが動く」との安心感は無視できない。実際、景気が勢いを失うとQEをめぐる観測が強まり、逆に相場が上がるパターンが繰り返された。バーナンキ氏自身も最近「金融政策は2%が行動、98%が言葉だ」と発言している。
QEと株高の関係では「ポートフォリオ・リバランス」がよく言われる。安全資産である国債の利回りが下がると、運用難から民間機関がお金を社債や株式などのリスク資産に移す、との理屈だ。だが実はQEの発動で金利は逆に上がる現象が目立った。これも大きな謎の一つだ。
カギとされるのは物価だ。QEで物価が上向くとの予想が増え、これを反映して金利が上がったという。金利の上昇を理由にQEの効果を否定する声もあるが、物価が上向く期待を高めたのならQEが本来の効果を上げたとの見方も成り立つ。
ただ金利が上がれば物価や景気への好影響を打ち消す面もある。すると差し引きでQEの効果はどれほどなのか。結局、謎は深まるばかり。前議長の回顧録で本音が聞きたい。
(米州総局編集委員 西村博之)
[日経新聞11月2日朝刊P.13]
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