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3メガバンクが直面する最大の危機 2行の根幹業務が「赤字」という深刻事態!
http://toyokeizai.net/articles/-/52313
2014年11月03日 福田 淳:東洋経済 編集局記者
「総資金利ザヤが一部の銀行でマイナスになっているのは、たいへん危機的な事態だ」
10月18日、東京・大手町の全国銀行協会(全銀協)で開かれた記者会見。同協会の会長を務める平野信行三菱東京UFJ銀行頭取は、厳しい表情で記者の質問に答えた。
一部の銀行で総資金利ザヤがマイナス――。つまり調達した資金を運用して得られる利回りが調達資金の原価を下回るという事態に陥っている。これは商業銀行の根幹業務が赤字に陥っていることを示す一大事だ。
「なぜこのような状況になるかというと、基本的には需給の問題。これを個別行のレベルで大きく変えることは難しい」
■貸せる資金は増えているが…
銀行に預金が多く集まり、銀行が貸せる資金は増えているのだが、企業や個人など資金の借り手の需要の伸びがいま一つ。その結果、銀行間の貸出競争が激しくなり、貸出金利の低下が続いている。
そしてこの危機的事態に陥っている一部の銀行、それがまさに平野頭取が率いる三菱東京UFJ銀行なのである。
この総資金利ザヤの計算では、役務収益(投信・保険の販売など)にかかる経費も含まれる一方、役務収益は加算されない。三菱東京UFJ銀行は役務収益が拡大しており、その経費のみがカウントされる総資金利ザヤは低く算出される傾向にある。総資金利ザヤがマイナスであっても、投信・保険販売やM&A仲介など手数料ビジネスで収益を上げられていれば、銀行全体として赤字決算に陥ることはない。
だが、国内の資金運用業務は多くの人員を割いている本業中の本業。そこで利益が稼ぎにくくなっている状況は、まさに「危機的な事態」なのである。
2014年3月期の三菱東京UFJ銀行の総資金利ザヤはマイナス0.03%。みずほ銀行もマイナス0.00%(少数第3位以下も含めるとマイナス、2013年4〜6月の統合前のみずほコーポレート銀行を含む)。3メガバンクでは三井住友銀行だけがプラス圏を維持しているが、それでも0.44%と極めて低い。
3メガバンクはともに2014年3月期に連結ベースで過去最高純利益をたたき出しているが、単体ベースの国内の主力業務は極めて低収益に喘いでいるというのが実態だ。
そのような中、三井住友銀行は今年4月に国内営業体制を15年ぶりに刷新した。総資金利ザヤのプラス維持でもわかるように、三井住友の営業力の強さには定評があるのだが、それでも大改革に着手せざるをえなかった。過去最大規模の人事を発令し、より顧客のニーズに合わせた形の組織に再編した。
特に力を入れているのが、中小企業オーナー向けの営業だ。オーナーは経営者であると同時に、個人としては富裕層。相続や資産運用などで悩みを抱えていることが少なくない。そうしたニーズに対応できるような組織に変えたのだ。
ただ、このことが現場で戸惑いを生んだ。オーナーに対して法人向け営業と個人向け営業の両者で対応するようにしたのだが、両方を経験している営業員はごくわずか。それぞれの担当者が、これまであまり経験をしていなかった新しい営業に取り組まなければならない。
■「新体制に合った営業手法が見えない」
4〜6月ごろは「新体制に合った営業手法が見えない」という中堅営業員の戸惑いの声が上がった。7月以降はこうした新たな体制による営業の手法を各拠点で編み出しつつあるが、それが利益という形で数字になって表れるにはまだ少し時間がかかりそうだ。
みずほ銀行は国内営業体制の立て直しへ向け、まずはガバナンス(企業統治体制)を強化する必要があった。みずほ銀行の親会社であるみずほフィナンシャルグループ(FG)は、メガバンク初となる委員会設置会社へ6月に移行した。ガバナンスの高度化は昨年2月に掲げた中計からの課題だったが、昨年秋に発覚した反社会的勢力への融資問題で、「縦割り組織の弊害などガバナンスを含めた根本的な問題の洗い出し」を金融庁から迫られ、一部業務の停止などの行政処分を受けたことが直接の引き金になっている。
委員会設置会社のポイントは、社外取締役の活用だ。みずほFGの取締役は13人中6人が社外取締役という体制になった。昨年までは12人のFG取締役のうち社外は3人だけという状況だったから大幅な拡充だ。
新しく就任した日立製作所の元会長、川村隆取締役は、佐藤康博社長に取締役会で厳しい質問を浴びせている。「国際業務におけるみずほのリスクの取り方は保守的なのではないか」など。取締役会議長を務める大田弘子元経済財政政策担当相も「みずほ銀行とみずほコーポレート銀行を昨年7月に統合した効果が十分に出せていないのではないか」と取締役会で指摘した。
3メガバンクは11月13〜14日に第2四半期決算を発表するが、貸出金利は第1四半期よりも第2四半期のほうが低下している可能性が高い。また、10月31日に日銀が追加緩和を発表したことで、金利は一段と低下傾向にある。今後、貸出金利はさらに低下を続けると思われ、銀行の貸出業務の収益はますます苦しくなるだろう。銀行はいま、存在意義すら問われかねないほどの危機に直面している。
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