04. 2014年11月03日 06:40:26
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小笠原誠治の経済ニュースに異議あり 黒田総裁がバズーカ砲を撃った理由 2014/11/01 (土) 11:12 昨日は、日銀の追加緩和が市場に衝撃を与えた1日でした。まさに黒田バズーカ砲の炸裂という表現がぴったりです。 しかし、それにしてもこれほどの株価の急騰と円安が起ころうとは。 そうお思いにはなりませんか? だって日経平均は755円ほど上げ、それにドル円は112円台になっているのですから。 では、何故これほどまでにマーケットは反応したのか? それは、余りにも驚きが大きかったからです。確かに一部では追加緩和策を催促する声があったものの、大勢は、これまでの金融緩和策が継続されるだろうとみていたことは否定できないからです。 それに、黒田総裁は我が国の経済の現状について強気な姿勢を保ってきていたではありませんか。海外での講演でも強気の姿勢を保っていました。そのような認識からすれば、追加の緩和策を打ち出す理由などなかった筈です。 さらに言えば、追加緩和策の決定に関し9人いる政策委員のうち4人の委員が反対しているのです。そのような状況にあったのに、誰が追加緩和策が採択されると予想できたでしょう? いずれにしても、それほどの意外性があったからマーケットは反応したのです。 では、何故黒田総裁は、この段階で追加緩和策を打ち出したのか? 強気の発言とは矛盾しないのか? 私は、景気が落ち込み、インフレ率が再び鈍化しつつあるうえに、10%への消費税率の引き上げの判断時期が差し迫ってきていることが大きかったと思うのです。 第一に、異次元緩和策を成功させるためには、何としても目標インフレ率の2%を達成する必要があるが、このままでは目標が達成できるか覚束ないという思いが強まってきていた。さらに、黒田総裁はそもそもは財務省出身であるばかりでなく、主税畑育ちのタックスマンでもあり、どうしても増税を延期する声を封じる必要があると考えた、と。 そこで、追加緩和策を打つ選択肢が浮上したのではないのでしょうか。但し、追加の緩和策は、何も今打つ必要はなかったかもしれません。例えば、増税を判断する直前でもよかったし、と。 しかし、そこにはこれまでの彼の経験が影響しているのではないでしょうか。 彼は主税畑育ちであると言いましたが、国際金融畑の経験も長く、最後は財務官まで務めた人です。そして、当時の国際金融局の主な仕事の一つは、債務問題の解決のため資金貢献をすることでしたが...そこから彼はヒントを得ているのではないでしょうか。 日本はかつて債務問題解決のために先進国のなかでは突出してお金を出していた国ですが、それだけお金を出しても褒められることは少なかったのです。 何故か? それは、日本はいつもしぶしぶお金を出していたからです。 何故しぶしぶお金を出していたのか? それは、我が国は、先ず他の先進国がどれほどお金を出すのかを見てから自分が出すべきお金の額を決めるようなところがあったからです。 で、そうやっているとどうしても決定が遅れる、と。それに、他の国がどのような行動を取るかが分からないと財政当局(主計局)がお金を出すことにゴーサインを出さなかったというような事情もありました。 結果として、多額の資金を日本は出しながらも日本が感謝されることは少なかったのです。 だったら、最初から日本が率先してお金を出すと言えば、どれだけ効果があったか、と。 そのような思いが黒田総裁にはあったのではないでしょうか。 似たようなことは日銀でもあったのです。日銀批判をする人々には悪いイメージしか残っていない総裁の一人に速水さんがいます。しかし、あの人の時代に量的緩和策を打ち出した訳ですし、日銀が株を購入する禁じ手にまで手を出したのです。信じられますか? 決して何もしなかった訳ではないのです。 しかし、繰り返しになりますが、評価は芳しくありませんでした。 何故か? それは、しぶしぶそのような政策を打ち出したからです。 そのようなことを黒田総裁は十分すぎるほど認識していたのではないでしょうか? 新政策を打ち出すなら、促されて打ち出すのではなく率先して打ち出すべきだ、と。しかも、意外性があればなお効果があるだろう、と。 ということで、10%への消費税率の引き上げの布石という意味もあり、ここで黒田総裁は勝負に出たということなのでしょう。 確かに奇襲攻撃は成功したと言えるでしょう。これだけ株価が上がったのですから。 でも、急激な円安についてはどう思っているのでしょうか? 為替に関しては、水準自体よりも急激に乱高下することが一番困ることだというのは、専門家の常套句ではなかったのではないでしょうか。 いずれにしても、奇襲攻撃は成功したものの...カードは切り尽したという不安もあるのです。 以上 http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2014/11/01/022633.php GPIFの運用比率変更で株価暴落のリスクはむしろ高まる! 2014/11/02 (日) 10:59 黒田総裁が放ったバズーカ砲のためにGPIFの運用比率の変更のニュースが霞んで見えます。
それにしても、こんなに株価が上がるなんて... ところで、昨日、私は黒田総裁がバズーカ砲をこのタイミングで撃った理由について考えましたが...でも、よくよく考えるともう一つ大きな理由があることに気が付きました。皆さんは、お感じになっていませんか? 実は、今回の追加緩和策は、安倍政権の人気挽回策ではなかったのか、と。 小渕大臣と松島大臣の辞任に加えて様々な政治資金の問題が取りざたされるようになってきて、何やら第一次安倍政権の時代の悪夢がよみがえりそうななか、そうした雰囲気を一掃するための苦肉の策ではなかったのか、と。 どうやったら悪いムードを一掃できるのか? 答えは、株価を上げること! 第二次安倍政権が比較的高い支持率を維持してこられたのも、全て株価回復のお蔭であるのです。 でも、株価を上げのはそれほど容易いものではないのです。やれるならとっくにやっているでしょう。但し、何も策がない訳ではない、と。 では、どうしたら株価を上げることができるのか? 株価も、他の商品と同じように需要と供給の関係によって決まる。そこで、株に対する需要を増やせば株価は上がる訳ですが、例えばGPIFなどに株を沢山買わせることについては、大切な年金の原資ですから、なるだけリスクの低いもので運用すべきだという縛りがあるのです。 それに、仮にGPIFの株式運用比率を高めると、その分国債での運用比率が低下し、国債の価格が下がるという反作用が伴うのです。 政府としては、確かに株価を上げたいものの、その一方で国債の価格が下がるのも困るのです。国債の価格が下がるというのは、国債の金利が上がることを意味するので、国の利払い負担が増加してしまうからです。 でも、GPIFが保有する筈であった国債を日銀が肩代わりすると? そうなると、株価が上がるだけではなく、国債の価格が下がることもないと。というよりも、国債の価格はもう少し上がる可能性もあるのです。プラス、日銀自身がETFの購入額を増やせば、これまた株価を上げる要因になるのです。 いずれにしても、GPIFが約120兆円ほどある資産のうちの半分の約60兆円を内外の株式で運用することになったと発表された直後に、それをさらにダメ押しするように日銀のバズーカ砲が放たれたのです。 ドカーン! 株価が上がったのだから結構なことだ、と貴方は思いますか? しか〜し...私は怖い! だって自分たちの大切な年金の原資の半分が株で運用されるなんて、とても危険だと感じるからです。常識から言っても株式運用の比率が高すぎる! もっとも、私のこのような意見に対しては、長い目で見れば株価は少しずつ上昇するのだから、下がったから売るなんてことをしなければ...つまり長期保有に徹すればそれほどリスキーではないという意見もあるでしょう。 私は、そのようなことを言う人に対しては「現実を知らないな」と言いたい! 確かに、株式投資には調子の良い時も悪い時もあるでしょう。だからずっと持っていれば一時的な損が現実化しない可能性もあるのです。 しかし、実際問題として、株価が暴落したような場合に冷静を保つことができるのでしょうか。 私はそれは不可能だと思うのです。何故かと言えば、何らかの理由で株価が暴落し大切な年金の原資が毀損されてしまえば、国民が黙ってはいないからです。そうなれば恐らく政治家たちも、今度は態度を豹変させるでしょう。何故価格が低下し続ける株をいつまでも保有しているのだ、と。GPIF叩きが始まると言ってもいいでしょう。 それに、一般論としても、株式運用に際してはロスカットルールを儲けることが多いために、価格がある一定限度を超えて下落すると強制的に株を処分する必要に迫られるのです。 でも、もしGPIFが株価が低下する局面で、今回とは逆に株式運用比率を低下させるようなことをすれば、株価の低下は一層激しくなってしまうのです。 そうでしょう? そのようなことが簡単に予想できるのに、GPIFの運用比率の変更を認めてしまった厚生労働省。 今回の件で、黒田総裁と塩崎厚生労働大臣の表情に明るさが感じられませんでした。 彼らは自分たちのやっていることが如何にリスクが大きいかを感じているのではないでしょうか。 泣く子と地頭には勝てない! 否、泣く子と安倍ちゃんには逆らえない! 以上 http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2014/11/02/022634.php
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