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実は、外国人投資家は黒田東彦・日銀総裁に疑心暗鬼だった。爆騰後、外国人投資家はどう動くか(新華社/アフロ)
続伸か反落か、爆騰後の株価はどうなる?外国人投資家は黒田日銀に敬意、政治にブーイング
http://toyokeizai.net/articles/-/52304
2014年11月02日 馬渕 治好:ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト 東洋経済
つい最近まで、外国人投資家の多くは、日本の「2つのブーメラン」にあきれていた。
そのひとつは、日銀だった。というのは、まず外国人投資家は、日銀の「異次元の緩和」の効果に限界を感じ始めていたからだ。
日銀は国債を銀行から大量に買い入れ、銀行に現金を流し込んできたが、景気回復の足取りが弱く、借り入れ需要が増えづらいため、銀行から融資という形で、外にお金が流れ出にくかった。
■黒田日銀に疑心暗鬼だった外国人投資家
このため日銀がばらまいた現金は、銀行に溜まるばかりだった。日銀が散布した資金量を示すマネタリーベースは、前年比で4割以上増えているが、経済全体に出回っている資金の量であるM2は、3%程度しか増加していない。また、日銀の緩和の成果とされる円安は、輸出をほとんど増加させていない。
量的緩和策が「期待に働く」という点も、景気浮揚効果のひとつだと、黒田総裁は指摘してきた。すなわち、日銀が「インフレになる」「景気が良くなる」と語り続ければ、皆がそれを信じてお金を使い始め、結果として景気が回復する、という考え方だ。
このため黒田総裁は、「元気の応援団長」として、「消費者物価上昇率(生鮮食品を除き、消費増税の影響も除いた前年比)が1%台を割る可能性はない」「今年度の実質経済成長率が、インフレを生じるどうかの分かれ目と言われる0.5%前後を下回るようなところに行く可能性はあまりないと思う」といった主旨の発言を繰り返していた。
外国人投資家は、「そんなカラ元気の威勢を張り、具体的な数値まで挙げて大丈夫なのか。物価上昇率が低迷し、日銀自身が経済成長率見通しを下方修正すれば、インフレや景気回復の期待は壊れ、いやいやながら追加緩和に追い込まれよう。自分が放った具体的数値のブーメランに攻撃されて、金融政策は破たんする」とあきれ顔だった。
■黒田流に敬意示した市場、国民生活人質にとる民主党
筆者は、10月31日発表の9月全国消費者物価上昇率(前述のベース)は、1.0%にまで低下し、同日公表の日銀「展望レポート」では、実質経済成長率見通しが0.5%近くまで引き下げられて、ブーメランが日銀自身に突き刺さり、11月に追加緩和に追い込まれる公算があると考えていた。
実際、物価も成長率見通しの修正も予想通りであったが、いわば、ブーメランを自ら「前進して」受け止めに行ったのが「黒田流」だった。すなわち、一歩先んじて10月中に追加緩和に踏み切ったわけだ。
内外株価が急騰し、大幅な円安が生じたのは、黒田日銀が自ら放ったブーメランをしっかりと受け止めたことに、市場が敬意を表したのだと言えよう。
ところがもう1つのブーメランについては、収拾がつきにくくなっている。
民主党は政治とカネの問題で安倍政権に集中砲火を浴びせ、小渕前通産相と松島前法相を、閣僚辞任に追い込んだ。他の閣僚も、さまざまスキャンダルを追及されている。しかし政治資金収支報告書では、民主党の枝野幹事長も記載漏れがあったと指摘され、民主党は自ら放ったブーメランに傷つく展開となっている。
外国人投資家からは、「いつまで、ごたごたともめごとを続けているのだ。日本の経済政策は進まないのか」と不安を抱いている。このまま経済政策を人質にとったような審議遅延が続くのであれば、外国人が再度日本株の売りを強めるような事態も否定できない。
さて、ブーメランを受け止めた日銀にいったんは敬意を表した国内株式市況ではあるが、投機筋が「売り持ち」をあわてて買い戻したことが、先週末の日経平均急騰に大きく寄与したと推察される。
■株価は買戻し一巡後反落、実態確認して上昇基調へ
ただ、こうした買い戻しは短期で一巡する。また前述のように、追加緩和しても、銀行に資金が滞留する状況は容易には改善せず、中長期的な景気押し上げ効果は怪しい。国内政治のごたごたもあり、いったん株価は下押しするのではないだろうか。
それでも、日銀の緩和が効こうが効くまいが、最終的には株価は企業収益に沿って動く。
足元発表が続いている、7〜9月期の企業業績は、想定を上回る好決算が優勢となっている。したがって、昨年「異次元の緩和」を受けた、同4月から5月下旬にかけての行き過ぎた楽観による株価の高騰と、その直後から6月半ばにかけての大幅な反落のような、大ブレはないだろう。
今回の追加緩和を受けての市場の反応は、小楽観と小反落にとどまるのではないだろうか。すなわち、目先の日経平均は早晩反動で下押しするが、1万6000円台にとどまりつつ底値を確認する。その後、実態経済・企業収益の持ち直しに沿った、緩やかな上昇基調へと進んでいくというのがメインシナリオだ。
今週(4日〜7日)は国内企業の決算発表に加え、米雇用統計(7日)など重要な材料が多いが、米国を中心とした世界的な景気持ち直しに揺らぎは少ないと見込む。経済政策やGPIFの資産配分変更などに、過度な期待も悲観も持たず、淡々と押し目を拾う姿勢が望ましいだろう。
今週の日経平均株価の予想レンジは1万6000円〜1万7200円と少し広く取りたい。追加緩和による、さらなる株価高騰を期待して、高値で大いに買いを進めれば、それがブーメランとなって今度は投資家に突き刺さりかねないので、中期では注意が必要だ。
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