http://www.asyura2.com/14/hasan91/msg/420.html
Tweet |
10月31日、日銀が断行した追加緩和は、現行の量的・質的緩和をめぐってさまざまな限界説がささやかれていた中、日銀の本気度を実力行使で示し、先手を打った格好だ。写真は黒田総裁(2014年 ロイター/Issei Kato)
焦点:黒田日銀がQQE限界説に実力行使、期待転換へ本気度示す
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0IK12720141031
2014年 10月 31日 20:36 JST
[東京 31日 ロイター] - 日銀が31日に断行した追加金融緩和は、円安進行の副作用や短期国債市場でのマイナス金利発生、目標達成時期の延期観測など現行の量的・質的金融緩和(QQE)をめぐってさまざまな限界説がささやかれていた中、レジームチェンジ実現に向けた日銀の本気度を実力行使で示し、先手を打った格好だ。
ただ、票決は5対4の僅差となり、今後の政策運営や市場との対話などに大きなリスクを背負う決断ともなった。
追加緩和決定後に会見に臨んだ黒田東彦総裁は、追加緩和の狙いについて「政策によって人々のマインドに定着したデフレマインドの抜本転換させる」と、昨年4月のQQE導入時を彷彿(ほうふつ)とさせる強い口調で宣言した。
導入から1年半が経過し、これまで総裁は「(QQEは)所期の効果を発揮している」「日本経済は2%の物価安定目標の実現に向けて道筋を順調にたどっている」など政策効果を繰り返し強調していた。
それだけに、突然の追加緩和に意表を突かれた市場では、急速に株高・円安が進行。黒田緩和第2弾は市場のサプライズを演出し、日銀の狙い通りの反応になったといえる。
もっとも、市場の中では総裁の強気発言の裏で、QQE限界説がささやかれていたのも事実。円安進行による原材料価格の上昇が中小企業や地方経済に与える影響に懸念の声が広がり、短期国債市場では、日銀による大規模な買い入れが需給をひっ迫させ、マイナス金利が頻発する異常事態が発生。物価目標達成が難しくなっても、日銀は追加緩和に躊躇せざるを得ない、との見方が増えていた。
また、QQE導入時に宣言した2年程度での物価2%達成の期限が視野に入る中で、消費増税後の景気低迷や原油価格の急落に伴う消費者物価の伸び悩みが次第に鮮明化し、市場では日銀が目標達成期間をいずれ延期するとの思惑も浮上していた。
こうしたQQE限界説の台頭は、「目標実現に強くコミットする」(黒田総裁)ことでデフレマインドの転換を目指す日銀には、看過できない事態。総裁は会見で「金融政策は為替レートを目標にやっているわけではない」「マイナス金利が特に問題あるとは思っていない」「2年程度を念頭にできるだけ早期にとの考えは変わらない」と、これらの思惑を一蹴。「政策余地は依然としてある」と市場の期待をつなぎながらも、今回の追加緩和で目標達成は可能と自信を示した。
総裁が指摘したように、今回の追加緩和がリスク顕在化を未然に防ぐ措置とはいえ、直前まで順調と繰り返していた中での追加緩和は、金融政策に対する予見性を後退させ、市場とのコミュニケーションに支障をきたす可能性がある。
また、もともとQQEに対して政策委員内でさまざまな意見があった中で、今回の採決では9人の政策委員の票数が5対4に分裂。今後の委員会の議論に禍根を残す懸念もある。
さらに追加緩和の効果が、昨年4月に打ち出したQQEのように劇的に出るのかどうか、市場の一部では懐疑的にみられている。QQEは、円安と株高で個人や企業の心理を好転させ、投資余力を高めることに貢献してきた。
ただ、今回の追加緩和で円安と株高が持続するのか、疑問の声が早くも市場関係者の一部から出ている。仮に停滞感が早めに出ると、物価2%の目標達成が難しくなるシナリオにはまり込む可能性もある。
また、黒田総裁は否定したものの、安倍晋三首相による12月に消費税再増税の是非の判断を間近に控えたタイミングでの追加緩和になった。財政再建の重要性を強調する黒田日銀の増税サポートとみられる可能性もあり、こうしたさまざまリスクをとった追加緩和の成否がこれから試される。
(伊藤純夫 編集:田巻一彦)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。