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優待狙いの東京會舘株が2年で10倍に!
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141030-00010000-shikiho-biz
会社四季報オンライン 10月30日(木)11時30分配信
今回は【株式】欄の「優待」についてだ。
この欄に「優待」の記載がある銘柄は「株主優待」を実施している会社だ。ちなみにこの「優待」の有無は2000年4集から記載されている。当時の編集後記によると、その時四季報は創刊以来3度目となる紙面刷新が行われ、大幅にリニューアルされたらしい。
そもそも「株主優待」とは何かだが、決算期末の一定株数以上の株主に対して、配当とは別に、自社製品や割引券、優待券、地元の特産品などがもらえる制度だ。ただし優待を受けるには、優待の権利確定日に株主になっていなければならない(つまり株を買っていなければならない)。また権利が確定しても株主優待を受け取れるのは、株主総会が終了する約3カ月後になるため、ちょっとした辛抱が必要だ。
さっそくだが、私は「株主優待」ではいい思い出しかない。まず一番に思い出すのは東京丸の内にある結婚式場、宴会場、レストランの名門、東京會舘 <9701> だ。
02年3集夏号に以下のコメントがあった。
「【個 人】前期末、人数ベースで96%が個人株主に。株主優待が貢献か。個人客比率アップに向け株主への働きかけを検討。」
このコメントを見た時は、「個人株主を大事にしながら、うまく本業に結び付けようとしているなぁ」と感心はしたが、特にそれ以上の感慨はなく、ちょっと気に留める程度だった。しかし、その1年9カ月後。04年2集春号のコメントに私は心を動かされた。
「レストランは株主優待(期末に1万円相当の食事券)を軸に個人顧客開拓」
私はこの時に初めて東京會舘の株主優待がレストランでの1万円分の食事券ということを知ったのだ。当時の株価は140円程度、単位株1000株で14万円の投資だ。それに対して1万円という金額は約7%の利回り換算である。
ここに至ってようやくこの会社について真剣に調べる気になった。いろいろ見てみると、予想以上に魅力的なことがわかった。まず一つは好財務なのに割安に放置されている点だ。自己資本比率63.4%、一株当たり純資産262円に対して株価は140円前後と、PBR0.5倍程度で放置されている。東京丸の内に自社で保有する超一等地にかなりの含み益があることもわかった。
二つ目は、本業である法人需要が回復している点だ。当時私は証券会社に在籍しており、仕事柄でほぼ毎日のようにセミナー会場として東京會舘を使っていたが、だんだん予約が難しくなっていることを肌で感じていた。事実、景気は回復局面に入り、セミナーや宴会など法人需要が徐々に戻りつつあり、ビジネス上恵まれた立地にある東京會舘はその恩恵をフルに享受していたのだ。
その後、東京會舘の株価は、本業の回復に加え、保有している東京丸の内の一等地の価値が評価され、機関投資家の買いも伴って2年間で高値1315円まで約10倍になった。
(参)現在の東京會舘の株主優待については以下のページを参照:http://www.kaikan.co.jp/company/stockholder.html
■頭としっぽはくれてやれ、のはずが……
「で、あなた自身はこの大相場に乗れたのか」と聞かれそうだが、実は私も食事券欲しさに一口乗ってみた。
結果はどうなったか。
相場格言に「頭としっぽはくれてやれ」というのがある。上昇相場では、最安値から最高値までのすべての相場は取れないので、真ん中のおいしい所だけ取れば、「ド安値」や「すっ高値」は取れなくてもよい。それを魚にたとえて、おいしい身だけいただけば、頭と尻尾は残してよいとする格言だ。
私はこの銘柄に早めに気づいたため、頭はいただいたのだが、おいしい身もしっぽも全部くれてやるという大盤振る舞いをしてしまった(つまり株価上昇の初動で売ってしまった)。せっかく株主優待という切り口から入ったにもかかわらず、株価変動によって欲が出てしまい、当初のスタンスがぶれてしまったのだ。スタンスがぶれると失敗するという典型例の一つだろう。
本題に戻ろう。このように配当と金額換算した株主優待を合わせた利回りを「実質配当利回り」と呼び、四季報では巻頭に「実質配当利回りランキング」として記載されている。実質配当利回りが5%以上の銘柄は100銘柄以上あるので、これを参考に自分好みの銘柄を選んでみるのも面白いと思う。
■株主優待なんか無駄!?
このように個人的にも楽しんでいる「株主優待」だが、海外ではほとんど行われていないらしく、日本特有のものとされている。また「株主優待」の実施には否定的な意見も多い。それは日本の株式市場の株主構成が関係している。東京証券取引所は毎年度末の株主構成を発表しているが、2013(平成25)年度末の分布状況は次のようになっている。
外国法人 30.8%
事業法人 21.3%
個人 18.7%
信託銀行 17.2%
生損保 5.9%
この構成の何が問題なのかというと、「個人投資家」が20%にも満たないことだ。つまり残りの80%が機関投資家や外国人投資家含む「法人」である点だ。
「株主優待」は基本的に個人投資家を想定しているが、たとえば機関投資家に届いた「株主優待」はどうなってしまうのか?
私はその業務に直接携わった経験がないので正確なところは知らない。しかし、仕事上お付き合いのある関係者にいろいろ話を聞いてみると、以下のようになっているようだ。
・航空券や乗車券、食事券など換金性のあるものは換金する(金券ショップに流れるもののほとんどがこれだと思われる)
・換金性はないが、使用期限の長いもの、たとえばシャンプーや化粧品などの消費財、缶詰などの加工食品は、福祉施設や慈善団体に寄付する(以前テレビで見たことがある)
・換金性がなく保存が効かないもの、たとえばコメや生鮮食品などの食料品は廃棄処分にする(真偽不明)
■金券ショップの店頭には株主優待券がずらりと並ぶ
どこまで本当かは私にはわからない。が、株主優待を実施する企業の思惑とはまったく違った使い方になっているのは確かだろう。つまり法人が中心になってしまった現在の株主構成では、「株主優待」は無駄が多く、必要ないとの意見になるのだ。
現状を考えれば否定的な意見も理解はできるが、私はそもそもこのような株主構成になってしまったこと自体が問題だと思う。私は、個人株主の比率は最低でも50%以上あってよいと考えている。だからこそ「株主優待」を実施して、少しでも個人株主を増やそうと頑張っている企業は全面的に応援したい。
株主優待の切り口から、具体的にどう銘柄を選んでいったらよいのかについては次回コラムで書いていきたいと思う。
渡部 清二(わたなべ・せいじ):大手証券会社に23年間在籍。中堅企業、個人投資家向けの資産コンサルティング、世界の運用会社向けの日本株セールスに携わる。2014年4月四季リサーチ株式会社設立、代表取締役。(四季リサーチHP:http://www.shiki-research.co.jp/)
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
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