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日銀の物価予測が展望から願望になる懸念  久保田 博幸
http://www.asyura2.com/14/hasan91/msg/371.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 10 月 29 日 09:45:05: igsppGRN/E9PQ
 

日銀の物価予測が展望から願望になる懸念
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kubotahiroyuki/20141029-00040347/
2014年10月29日 9時33分 久保田 博幸 | 金融アナリスト


10月31日の日銀の金融政策決定会合では、経済・物価情勢の展望(展望レポート)が公表される。この展望レポートの発表があるためか、4月と10月の日銀の金融政策決定会合は月に2回も開催される。果たして2回も開催する必要があるのか。1回にしてその際に展望レポートも発表すれば良いように思う。

それはさておき、この展望レポートは願望レポートと比喩されることがあるが、今回の展望レポートはまさにそのようなものとなる可能性がある。10月28日の日経新聞朝刊では、この展望レポートにおいて2014年度、つまり今年度の成長率見通しを4月時点での見通しである1.0%から0.6%に下方修正する見通しと伝えていた。

これは4月の消費増税後の景気回復がもたついているためとされた。ただし、増税の影響は徐々に和らぎ、2015年度の見通しの1.5%、2016年度の見通しの1.3%は維持する見込みだそうである。

また、物価の見通しについては「おおむね」現状維持となる見込みで、2014年度のコアCPIは前年比プラス1.3%、2015年度はプラス1.9%、2016年度は2.1%に据え置かれるようである(いずれも消費増税の影響を除いたもの)。ただし、2014年度の物価見通しについては下方修正を議論するとの見方も出ている(ロイター)。

今年度の成長率見通しを下方修正したことで、景気回復が物価に与える影響はその分緩和されよう。さらに物価の上昇要因となる円安についてもドル円は10月はじめに110円台をつけてはいたがそれ以降はピークアウトし、ドル以外の通貨に対しては9月あたりでいったん円安はピークアウトしている。

さらに物価の大きな上昇要因となっていた原油価格が、6月あたりから大きく下落してきている。

日銀の黒田総裁は消費者物価指数のプラス幅が縮小しても1%を割ることはないと明言していたが、これも怪しくなってきた。8月のコアCPIは前年比プラス1.1%と1.0%に接近している。31日に発表される9月分についてはぎりぎり1%台は維持されるとみられるものの、10月以降は1%割れの可能性もありうるのではなかろうか。

日銀の関係者からの話としても「年度後半の物価上昇撤回を検討」とか「関係者の1人は、インフレ率が1%を割り込むことはあり得ると」の発言も伝わってきている。むろん、日銀関係者が誰なのかはっきりしていないが、そのような見方をする日銀関係者がいたとしてもおかしくはない。しかし、政策委員を含めて本音ではどのように考えているのか。現状の外部環境を見る限り、物価の上昇に関して、決して楽観視できる状況とは思えない。

原油価格の下落によるガソリン価格の引き下げなどは消費者にとっては良いことであり、これは景気にとってもプラスとなるため歓迎すべきことである。それでも物価は何としても2%にしなければ日本経済は良くならないものなのであろうか。

そもそも国債を大量に買い続け、1年以下の金利は一部マイナスとなり、日本の長期金利も低位安定が続いているが、消費者物価は今年4月に1.5%をつけてから低迷が続いているのはどうしてだろう。

これがもしアベノミクス以前であれば、日銀の緩和が足りないとされていた可能性がある。それで黒田日銀は思い切った異次元緩和をしたのだが、それでも結局、物価を金融政策でコントロールすることに無理があることが次第に明らかになりつつある。

いやいや2012年4月の異次元緩和あたりからのCPIの上昇は顕著であり、前年比マイナスからプラスに転じ、1.5%まで上昇したではないかとの意見もあろう。

このCPIの上昇こそ、その要因をはっきりさせるべきかと思われる。急激な円安と株高、世界的リスクによる景気の回復あたりの効果が、いくつかの物価下落要因の剥落で自然に回復するところにプラスαが加えられただけではなかったのか。

それとも期待がこの物価上昇に大きく影響していたというのであれば、今年4月以降はその期待がはげ落ちてしまったというのであろうか。そうであるとするならば、さらなる異次元緩和が必要になりそうだが、さすがにそれをしてしまうと国債市場はどうなるかはわからない。

いずれにしても今後の物価の動向について、日銀としては楽観的には展望できない状況にあるのではなかろうか。


 

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コメント
 
01. 2014年10月29日 09:52:13 : nJF6kGWndY

原油80ドル代の影響は大きい。

ドル高も進まず、さらに資源価格が低迷するようなら

一時的に1%切る可能性も高い

追加緩和は不可避だろうが、短期債がマイナス、

超長期金利が2%を切るという異常事態になる。


規制緩和などの構造改革では追いつかないから、

短期的には、いかに効率的な財政支出(景気対策)を行うかが重要になるが

過去の例を見れば、非効率なバラマキという長期的には禍根を残すことになるだろう。

まあ、それも必然ということか。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42067
原油安の勝者と敗者(下)
2014年10月29日(Wed) The Economist
 石油消費国の組織である国際エネルギー機関(IEA)は、エネルギー消費に補助金を出すコストが全世界で年間5500億ドルだと推定している(ほとんどが発展途上国)。他の条件がすべて同じだとすると、原油価格の下落はその金額を約4000億ドルまで減らすはずだ。
 このことは、多くの国が選択を迫られることを意味する。この機会を捉えて補助金を廃止するか、それともコストが下がった甘い汁を配り続けるか、どちらかだ。どちらにしても、多くの国が恩恵を受ける。経済的な歪みに終止符を打つこと(ただし、消費者の反発を招くリスクがいくらかある)、あるいはしばらくの間財政コストを減らすことによる恩恵だ。
中東の石油輸入国の選択

 この選択は、中東の石油輸入国で特に際立つ(図参照)。
 2014年はエネルギー補助金のコストがエジプトでGDP比6.5%、ヨルダンで4.5%、モロッコとチュニジアで3〜4%だった。原油価格が20%下落すれば、エジプトとヨルダンの財政収支はGDP比約1%改善するとIMFは言う。
 だが、効率改善だけでは、そうした国の政権、特に不安定な政権が、主に政治的影響力のある中間層に恩恵をもたらす補助金の削減に踏み切らないかもしれない、と世界銀行のジョン・バフェス氏は懸念する。
 他の多くの国も、エネルギー補助金と格闘している。インドネシアは、予算の約5分の1をエネルギー補助金に使っている。ペルシャ湾岸の石油輸出国はさらに浪費しており、バーレーンはGDPの12.5%、クウェートは9%をエネルギー補助金に費やしている。
 ブラジルは、超深海の海底油田(プレサル)への投資を呼び込むために原油高を望んでいる。
 だが、原油安はブラジルの農家にとっては朗報であり、また短期的には、国際価格で石油を輸入しながら、インフレを人為的に低く抑えるために政府が設定した上限価格で販売することを強いられている国営石油会社ペトロブラスにとっても朗報だ。ペトロブラスは何年かぶりに、輸入品の販売で損失を出さずに済んでいる。
一定期間の原油安に耐えられるサウジアラビア

サウジアラビアの首都リヤド〔AFPBB News〕
 世界最大の石油輸出国は大きな損失を出さざるを得ないように見えるかもしれない。原油価格が1バレル115ドルなら、サウジアラビアは石油の純輸出で年間3600億ドル稼げる。85ドルでは、2700億ドルだ。
 同国の財政はまず間違いなく赤字に陥っている。有力実業家のアルワリード・ビン・タラール王子は、価格下落を「大惨事」と呼び、政府が価格を上向かせる努力をしていないことに驚きを露わにした。
 だが、サウジアラビアでは実際、一定期間の原油安が国の長期的利益にかなうかもしれない。大半の石油輸出国と異なり、サウジアラビアは原油安の期間をしのぐ余裕がある。公共支出は近年増加したが、外貨準備はそれ以上に増加した。
 純対外資産は8月時点で2兆8000億リヤル(7370億ドル)――3年分の経常支出を超える額――だった。サウジアラビアは、たとえ原油価格が今より下がったとしても、自身からお金を借り入れることで数十年分の赤字を埋めることができる。
 ロシアや米国などの非石油輸出国機構(OPEC)諸国の生産量は、この1年で日量5500万バレルから同5700万バレルに増えている。サウジアラビアは、原油高の主な受益者は非OPEC諸国だったと結論付けるかもしれない。
 サウジアラビアのものとは違い、新たに生産された原油の中には高コストのものもある。一定期間の原油安は、一部の高コスト事業者を窮地に陥れる一方で他の事業者への投資を思いとどまらせ、サウジアラビアに市場シェアを取り戻させる可能性がある。
 サウジアラビアは1980年代半ば、価格を維持するために自国の生産量を4分の3近く削減した。この策は功を奏し、他国は利益を得た。だが、サウジアラビア自身は多くの収入と市場を失った。サウジアラビアは、再びこのような犠牲を払う理由はほとんどないと思っている。
原油安が響き、デフォルトもささやかれるベネズエラ

ベネズエラは故ウゴ・チャベス氏の負の遺産に苦しめられている〔AFPBB News〕
 サウジアラビアは低価格でも生き残ることができる。なぜなら、原油価格が1バレル100ドルだった時に、思いがけない収入の多くを支出より貯蓄に回したからだ。最大の敗者はそうしなかった国々だ。その中でも目立つのは、米国の辛辣な批判者である3カ国、ベネズエラ、イラン、ロシアだ。
 「原油価格がどれだけ下がっても、我々は国民の社会的権利を常に保証する」。ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は10月16日、こう宣言した。現実はかなり異なる。マドゥロ氏の前任者のウゴ・チャベス氏は、予想外の石油利益を蓄えることを目的とした基金を廃止し、その資金を使い、何百億ドルもの借金を重ねた。
 その債務が今、期限を迎えつつある。10月初め、多額の債務返済によって、ベネズエラの外貨準備は10年ぶりに200億ドルを割り込んだ。原油価格が1バレル1ドル下落するたびに、ベネズエラの輸出収入は約4億5000万〜5億ドル減少する。
 ドイツ銀行の試算によると、ベネズエラ政府は、その支出計画を賄うために1バレル120ドルの原油を必要としている。最近の価格急落前の水準より高い値段だ。
 このため、他の石油輸出国の予算と異なり、ベネズエラの財政はすでに問題を抱えていた。昨年の財政赤字はGDP比17%という無謀な大きさだった。これに対し政府はボリバル紙幣を印刷し、インフレ率を(公式統計でさえ)60%超に押し上げた。鉱業生産は急激に落ち込んでおり、格付け機関のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は9月にベネズエラ債をトリプルCプラスに格下げした。
 アナリストらは長らく、ベネズエラは何としてでもデフォルト(債務不履行)を避けようとすると考えていた。何より、同国は債権者が差し押さえられる外国資産を持っており、金融市場に大きく依存しているからだ。だが、この「D」ワードがますます頻繁に聞かれるようになっている。
 ベネズエラの石油関連の苦難の影響は、国境を越えたところでも感じられるかもしれない。同国は「ペトロカリブ」というプログラムを運営している。カリブ海沿岸諸国にベネズエラ産原油を購入するための低利融資を行う制度だ。
 ガイアナ、ハイチ、ジャマイカ、ニカラグアでは、ペトロカリブに基づく後払いの代金がGDPの4%前後に上っている。だが、ベネズエラ政府にとっても、同制度は年間23億ドルのコスト負担がある。このため、もしベネズエラが気前のいい措置を削減することにしたら、カリブ海沿岸地域全体で衝撃波が感じられるだろう。
制裁とのダブルパンチ食らうイラン

ハサン・ロウハニ大統領〔AFPBB News〕
 イランはベネズエラ以上に脆弱だ。イランが支出計画を賄うためには、1バレル136ドルの原油が必要だ。
 支出計画の大半は浪費的で非効率なマフムード・アフマディネジャド氏の政権から引き継いだもので、イランは昨年、GDP比約25%に相当する1000億ドルを消費者向けの補助金に費やした。制裁は、イランが借り入れによって問題から抜け出せないことを意味している。
 昨年政権を握ったハサン・ロウハニ大統領は、一定のマクロ経済的安定を再確立した。中央銀行はイラン経済が2014年第2四半期に2年ぶりに成長したと述べた。
 
 だが、ロウハニ大統領は、生活水準を向上させる約束で大統領に選ばれた。原油安がさらなる改革を強い、イランの核開発計画を巡る米国との合意に向けた圧力を高めるのか、あるいは、収入減少がすでに大統領の足を引っ張っている保守派への支持を高めるのかは、まだはっきりしない。
スタグフレーションに向かうロシア
 ロシアにとっては、少なくとも当初は、インパクトはそれほど劇的ではない。2015年の予算案は1バレル100ドルの原油価格を想定している。それより安いと、ウラジーミル・プーチン大統領が支出の約束を守るのが難しくなる。1980年代半ばに原油価格が下落した時も同じようなことが起き、債務を抱えたソ連は資金不足に陥った。
 だが、ロシアは今、原油価格変動への備えとなる4540億ドルの外貨準備を持つ。さらに重要なのは、通貨ルーブルが下落したことだ。来年の予算は、1ドル=37ルーブルの為替レートを想定しているため、原油が3700ルーブルなら予算が均衡する。
 ルーブルが今年20%下落したため、原油は今、1バレル3600ルーブルだ(ドル建て価格よりはるかに下落幅が小さい)。原油が1バレル80〜85ドルであれば、ロシアの来年の財政赤字は恐らく、GDP比1%程度にとどまるだろう。
 それでもやはり、ロシアは減速に見舞われる。ロシアでは、公的部門の賃上げのおかげで、長年にわたり実質所得が増加してきた。伸びた支出は、強い通貨によって安くなった輸入品に回された。このため、ルーブルの下落は輸入品を高くすることで生活水準を低下させる。西側諸国の制裁により、資本市場は民間企業も含むロシア企業に閉ざされた。事業活動は鈍っている。
 ある財務省高官は、予算に占める非石油・ガス収入の割合が低下しており、ロシアの石油依存度が高まっていると言う。一部のアナリストは、2015年の成長率が0.5〜2%にとどまると見ている(2010〜12年は約4%)。インフレ率は8%だ。ロシアはどうやら、スタグフレーションに向かっているように見える。
 大半の政府――ベネズエラは例外かもしれない――にとって、原油安は当初、小さな影響しか及ぼさない。プーチン氏でさえ、しばらくの間はスタグフレーションを乗り切れるかもしれない。だが、時間とともに、原油安の影響は大きくなっていくだろう。
 原油が1バレル100ドルだった時代は、経済的な介入主義に傾く「北京コンセンサス」の興隆も起きた。もしかしたら、85ドルの原油の時代は――万一それが起きたら――、態度や想定、政策の新たな変化の到来を告げるかもしれない。
「原油安の勝者と敗者(上)」はこちら
(英エコノミスト誌 2014年10月25日号)


02. 2014年10月29日 09:59:00 : nJF6kGWndY
>>01 超長期金利が2%を切るという異常事態=>超長期金利が2%を切るという異常事態が定着

03. 2014年10月29日 10:58:31 : E7SnLubCIE
ゴールドマンサックスは80ドルと予想している。

まだ高いのでないかな〜。
安くなれば、日本経済には明報。
80ドルでも高い?
世界景気悪化で、需給バランスは崩れてくるはずである。


04. 2014年10月29日 16:19:53 : xEBOc6ttRg

FOMC声明の注目点:低過ぎるインフレ率に焦点

  10月28日(ブルームバーグ):米連邦公開市場委員会(FOMC)はワシントン時間29日午後2時(日本時間30日午前3時)に政策決定に関する声明を発表する。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見はなく、当局者による新たな経済予測の公表もない。注目点は次の通り。
FOMCは今回、量的緩和(QE)第3弾としての債券購入の終了を決める見通しだ。一方、当局者らはインフレ率と期待インフレの鈍化傾向を憂慮している点を強調したいと望むかもしれない。
2004−08年にFRBでエコノミストを務めたジョンズ・ホプキンス大学のジョナサン・ライト教授(経済学)は、当局者らは連邦準備制度の目標を「持続的に下回っているインフレ率の推移に懸念を表明」するだろうと予想している。
FOMCは9月の声明で、「インフレ率が2%を下回り続ける可能性は今年の早い段階以降に幾分か低下したと判断する」と説明。ブルームバーグ・ニュースが調査したエコノミスト62人中、今回もこの文言が維持されると回答したのは33人だった。
ただ、連邦準備制度がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)総合価格指数は、8月が前年同月比1.5%上昇と、2年4カ月連続で目標を下回っている。
コーナーストーン・マクロのパートナー、ロベルト・ペルリ氏は顧客向けビデオコメントで、FOMCが低インフレについて何らかの脅威を認める可能性があるとしつつも、インフレ率押し下げの最大の要因はエネルギー価格の下落であるため、懸念はその分緩和されるかもしれないと語った。
QEは終了へ
ブルームバーグの調査では、今週のFOMCでのQE終了決定を予想したエコノミストは64人中62人。クレディ・スイス・セキュリティーズUSAの米経済調査担当ディレクター、ダナ・サポータ氏は「仮に終了しないとなれば、それはかなりの声明となる」としている。
一方、QE終了後も「相当な期間」にわたって事実上のゼロ金利政策を続けるのが適切とする文言については、変更なしとの回答が80%に上った。スタンダードチャータードのエコノミスト、トーマス・コスターグ氏は、このところの市場のボラティリティ(変動性)の高まりと世界的な成長鈍化の兆しを背景に、当局者らは慎重に対応することになるとみる。
9月の米失業率は5.9%と、08年以来の低水準に改善したが、「労働力の活用がなお極端に低い状態にある」とした文言は声明に残されるとブルームバーグ調査で回答したエコノミストは64%だった。
世界的な需要低迷
今月28、29両日のFOMCで、欧州から中国に至る世界的な需要低迷が米国の成長に脅威となるかが話し合われるのは確実だ。8日に公表された9月のFOMC議事録では、この問題について懸念が示され、米株式市場は金融危機以来、週間ベースで最もボラティリティが高まった。
スタンダードチャータードのコスターグ氏は、世界の成長に言及する場合、当局者らは「細心の注意を払うだろう」と分析。「声明で取り上げたいと当局者が考えるかは不明」で、11月19日に公表の「議事録に盛り込まれるのではないか」と話した。
原題:Fed Decision Day Guide: FOMC Seen Focusing on Too-LowInflation(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Christopher Condon ccondon4@bloomberg.net;アトランタ Steve Matthews smatthews@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Chris Wellisz cwellisz@bloomberg.netMark Rohner, Gail DeGeorge
更新日時: 2014/10/29 12:11 JST

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NE6NXY6S972C01.html



コラム:米中間選挙が問う「林冠経済」の持続力=斉藤洋二氏
2014年 10月 29日 12:08 JST
斉藤洋二 ネクスト経済研究所代表

[東京 29日] - 11月4日に迫った米中間選挙は、もともと争点がないことが特徴であり、市場への影響も軽微と思われてきた。しかし、ドル全面高への懸念や世界経済先行き不安が台頭し相場が荒れていることから、選挙結果のインパクトは当初想定より大きくなる可能性がある。

今回の選挙は、2008年11月に「チェンジ」を掲げて大統領選を制したオバマ大統領の信任が問われるものでもある。大統領2期目の中間選挙は厳しい戦いとなるのが常と言われ、さらにかつて7割近くあったオバマ大統領の支持率が目下4割程度へ下落しているだけに民主党の苦戦は免れない。

民主党が上院(定数100)において改選36議席のうち17議席を確保して多数派を維持できるかが最大の注目点となっている。一方、全議席が改選される下院(定数435)では共和党が勝利する可能性が高いと伝えられている。つまり、現状の予想では、民主党が上下院双方で多数派となり議会のねじれ現象を解消するシナリオは描き難い。

中間選挙が終われば16年の大統領選に突入していくため、在任期間が残り2年となった現政権のレームダック化が加速することは必至である。中間選挙を前にした今、オバマ政権6年間の経済・通貨政策を評価するのによい機会だろう。

<オバマノミクスには一定の成果>

オバマ大統領は格差のない社会の構築を目指し、医療保険改革や金融規制強化など弱者救済と強者の規制を進めてきた。しかし、「結果の平等」を求め福祉政策を進める一方で、富裕層に対する増税を図ったことから、「機会の平等」を主張する共和党の反発が強まった。さらに株価上昇に伴う格差拡大が加わったことから、オバマ政権が目指す平等社会の実現は遠のくばかりだ。

このオバマ政権の6年は、米国が08年9月に起きた金融危機から再生する時期にあたり、積極的な財政政策そして緩和的な金融政策が推し進められた。その過程で米財務省は金融機関やゼネラル・モーターズ(GM)など個別企業に公的資金を注入。さらに大統領が支持するバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)前議長、そしてその路線を引き継いだイエレン議長は、緊急対策として3度にわたる量的緩和策(QE)を実施し大量のドル紙幣を増発した。

このような政策に対し節度ある金融政策遂行を求める共和党や保守層が眉をひそめたのは無理からぬところである。ただ、間もなく出口戦略の一環としてQE縮小(テーパリング)が終了する見通しであり、金融政策の正常化へ一歩進むことになる。

大統領就任直後の09年3月に株価(ダウ工業株30種平均)が6500ドル台になり景気の底割れが懸念される場面もあったが、その後1万7300ドルを超え史上最高値を更新するなど回復を示した。

労働市場も実態は不本意なパートタイムや長期失業者の割合が高水準で推移するなど労働市場のスラック(弛み)が観測されるものの、失業率は一時の10%台から直近(9月雇用統計)では5.9%に下がり、新たな雇用は月20万人のペースで創出されている。実質経済成長率(14年4―6月)を見れば、日本(マイナス7.1%)やユーロ圏(ゼロ%)とは対照的に、4%を超え利上げ期待が高まるに至っている。

このようにオバマ政権による経済政策は一定の成果が出たと考えてよい。しかし、成長力を失いつつある米国経済や、拡大する格差社会など、構造的問題への対処が不十分である点は否めない。

<「林冠経済」の富は一部エリートへ>

米国が経済の成長力を失い長期的な停滞に入っていることは、ローレンス・サマーズ・ハーバード大学教授らが昨年末に提起した通りと言えよう。リーマンショック以降、金融緩和政策により実質金利がマイナスになる状態が継続されたにもかかわらず、労働力人口と生産性の伸びが鈍化し、それにつれて投資需要が減少した。

産業革命から250年を経過した現在、米国に限らず先進国の経済は成熟化し、投資機会が減少して経済の停滞を回避し難くなっている。もちろんITの躍進は目を見張るものがあるが、19世紀から20世紀にかけての技術革新には遠く及ばない。さらに先進国は人口増加率の低下もあり、期待収益率が低いことから投資が増大しない。その結果、インフレを高進させ実質金利を下げる必要性が高まっている。

これまで低成長に喘ぎつつも金融依存による資産バブルに覆い隠されてきたが、そのかさ上げも限界に達する日は近い。今後、成長はこれまで以上に金融政策頼みとなり、その結果としてバブルは循環的に発生する可能性が高まる。

一方、格差は是正されるどころか一段と拡大しており、米国社会はチャールズ・ファーガソン氏が著書「強欲の帝国」(原題=PREDATOR NATION)で指摘するように、まさしく「林冠経済(Canopy economy)」の様相を呈している。

「林冠」とは森の天辺部分の植物相そして動物相であり、太陽光を受けて枝葉が繁茂する「光」の部分である。他方、その枝葉は太陽光が下の層に届くのを防ぎ、「光」と「影」の差は一段と大きくなる。このような生態系の特徴を有した米国は「林冠経済」と呼ぶにふさわしい。

「林冠経済」では最上層にいる一握りの超エリートが富を独占し、中間層そして貧困層とのつながりを失う。つまり、林冠が栄えれば栄えるほど生態系が崩れていくように、富の集中により中間層が崩壊し消費の減退がもたらされる。イエレン議長も10月17日の講演で、上位5%の富裕層の保有資産は全体の6割超に達するなどと指摘し、格差拡大に対して強い懸念を表明している。

ちなみに、林冠に属することができるのはコンピューター・サイエンスを習得するか、経営学修士(MBA)を取得する者を除けば、もともとの富裕層もしくはそれに準じる階層に属した子弟・子女にほぼ限定されている。それがアメリカンドリームを可能にしてきた平等社会の変質、つまり階級化を意味していると言えよう。

<「民主党敗北=ドル安・株安」は本当か>

最後に相場の行方について、言い添えておきたい。このところ、ドルは主要通貨に対して全面高の様相となっており、米連邦公開市場委員会(FOMC)でもこの状況を懸念する声が聞かれ始めている。

では、オバマ政権の通貨政策はいかに運営されてきたのだろうか。クリントン政権下の1995年にドルの信認を守り米国債への投資を促す狙いから、ルービン財務長官(当時)が「強いドルは米国の国益」と強調した。オバマ政権は時にウォール街が望むドル高、時に産業界が望むドル安へとバイアスをかけつつも、基本的にルービン氏が示したスタンスを維持してきたと見られる。

近頃、「意図的な通貨安の誘導があってはならない」とのルー米財務長官の発言が報じられたが、米国が現在のドル高を回避するために日欧と通貨切り下げ競争を挑むつもりがあるとは思えない。

ドル高の経済への影響を考えると、米国の製造業の多くはこれまでオフショアリングを進め、海外へ生産ラインをシフトしてきた。このところの中国での労働コスト上昇により国内回帰(リショアリング)の動きは見られるものの、大半の企業にとってドル高は国外での売り上げを圧縮し、また株価の下押し圧力として働く。

ただ一方で、米国の国内総生産(GDP)の7割は個人消費であり、ドル高に伴う輸入品の値下がりにより家計の購買力が高まるメリットを享受できる。このようにドル高とドル安のどちらが米国へのメリットが大きいか判然としないのが実情であり、積極的にドル安誘導を図る必然性は乏しい。

米国の通貨政策もさることながら、世界経済への不安に疑心暗鬼が高まっている現在の金融市場において、中間選挙で民主党が上院で過半数を割り込むことがあれば、オバマ大統領への不信任としてドルが下落する場面が想定される。ただ、それは一時的と考えてよいのではないか。

ちなみに、株価(S&P500騰落率)について過去の実績を見ると、中間選挙後6カ月は、大半の場合、強含みで推移していた。果たして今回もその経験則が通じるのだろうか。世界の株価が不安定化している今、中間選挙後の米株価動向はとりわけ注目される。

*斉藤洋二氏は、ネクスト経済研究所代表。1974年、一橋大学経済学部卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。為替業務に従事。88年、日本生命保険に入社し、為替・債券・株式など国内・国際投資を担当、フランス現地法人社長に。対外的には、公益財団法人国際金融情報センターで経済調査・ODA業務に従事し、財務省関税・外国為替等審議会委員を歴任。2011年10月より現職。近著に「日本経済の非合理な予測 学者の予想はなぜ外れるのか」(ATパブリケーション刊)。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(here)

http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0II02Z20141029


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