http://www.asyura2.com/14/hasan91/msg/370.html
Tweet |
大前研一:大型上場で話題を集めたリクルート、その将来は本当に有望か
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141029-00000000-fukkou-bus_all
nikkei BPnet 10月29日(水)8時18分配信
リクルートが東証1部に新規上場した。市場はリクルートという企業を高く評価しているようだが、その将来性には疑問も残る。
■1990年以降で3番目の大型上場
リクルートホールディングスが2014年10月16日、東証1部に新規上場した。初値は3170円で公募売り出し価格を2%上回った。初値で換算した時価総額は1兆8100億円。1990年以降に新規上場した企業では、NTTドコモ、JTに次ぐ3番目の大型上場となった。
リクルートというのは非常に歴史のある会社だ。創業者である江副浩正氏が、東京大学在学中に学生新聞で広告取りを始め、卒業後の1960年に、リクルートの前身となる広告会社「大学新聞広告社」を設立した。1963年には「日本リクルートセンター」(後の「リクルート」)に社名変更し、就職情報誌などの人材サービスを中心とした巨大企業グループ会社として成長してきた。
ただ、1988年に発覚した「リクルート事件」により、同社は曲がり角を迎える。江副氏も有罪判決を受け、経営者としてのキャリアを途絶させた。なお、2013年2月8日に亡くなった江副氏との思い出については、本コラムにも以前書いた。「「経営者の青春」をつぶされた江副浩正氏の思い出」を読んでいただきたい。
江副氏の時代には、リクルートは上場しないということをポリシーにしていた。その後、江副氏なきリクルートは江副イズムを継承しながら再び成長軌道に乗り、多くの優秀な人材も輩出してきた。長い歴史を持つリクルートが、ようやく今年になって、新規上場を果たしたというわけである。
■時価総額では花王や三菱重工と肩を並べる
今回の上場規模を実感してもらえるように、ここで「リクルートの時価総額と近似の時価総額の企業」を見てもらおう。
今回の新規上場で、リクルートの時価総額は2兆300億円となった(2014年10月17日時点)。それに近い時価総額の企業を調べると、ヤフー(2兆2800億円)、コマツ(2兆2700億円)、野村ホールディングス(2兆2000億円)、花王(2兆700億円)、三菱重工業(2兆300億円)、大塚ホールディングス(1兆9900億円)、伊藤忠(1兆9700億円)、ソニー(1兆9600億円)、クボタ(1兆9100億円)などとなる。
日本の名だたる企業に肩を並べたわけである。それほど市場がリクルートに寄せている期待は大きい。ただ、リクルートの事業内容をつぶさに見ていくと、そこまでの将来性が本当にあるかどうかは疑問が残る。
ここで「リクルートのセグメント別業績」をご覧いただきたい。
確かにこの3年間で、リクルートの業績は右肩上がりとなっている。売上高も利益も3年連続で伸びている(教科書通りの)完璧なタイミングでの新規上場となったので高い株価がついたのもうなずける。
■主要事業は国内市場での成長が難しい
しかし、人材派遣事業、販促メディア事業、人材メディア事業といった主要事業を見るかぎり、少なくとも国内市場については将来性がないと言わざるを得ない。今後も大きく成長を続けていくのは難しいのではないか。
リクルートが今回調達した資金を使って成長を図るには、国内なら既存事業の周辺にあるネット関連事業を拡充していくしかない。たとえば、LINEのような事業をM&Aなどで取り込んでいくことが考えられる。
一方で、より大きく成長するためには、やはり海外展開ということが重要になってくる。ただ、海外では既にスイスのアデコ、アメリカのマンパワーとアレジス、オランダのランスタッドなど、人材サービスの売上高ではリクルートよりも大きな会社がいくつか存在する。
同業に比べて圧倒的な2兆円の時価総額がついたので、これらの会社を買えないことはないが(おそらく投資銀行は競ってその手の話をリクルートに持ち込んでいるだろうが)、いままで内弁慶できた強烈な個性と企業文化を持つリクルートが海外の巨大人材会社をうまく経営していけるかどうかははなはだ疑問である。
かといって中途半端な規模の人材サービス会社を買ったところで、成果は期待できないだろう。
リクルートを上場させないというポリシーを貫いた江副氏は、資金調達という意味では随分と苦労した人だった。
晩年は好きな株の売買だけでなく若手音楽家の育成やサービスド・アパートメント事業などに手を出していた江副さんだが、もし今元気だったら、今回の新規上場で得た資金を元に、“新規事業を10個くらい始められる”と大喜びしていたのではないだろうか。
現在のリクルート経営陣も、今回手にした資金を是非とも江副イズムで(同業の買収ではなく)新規事業開発に有効活用してもらいたいものだ。
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。