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【ビジネス解読】中国“金融開国”「強き通貨」目指す 「人民元」が「円」を駆逐する日
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20141027/frn1410270853001-n1.htm
2014.10.27 夕刊フジ
時価総額で一気にトヨタ自動車を抜いた中国の電子商取引最大手、アリババグループの米ニューヨーク証券取引所上場。中国の安邦保険グループによる米高級ホテル「ウォルドルフ・アストリア・ニューヨーク」の買収。国際金融市場の話題をさらった中国資本の進撃はこれで終わらない。
■世界2位の巨大株式市場誕生へ
「時価総額で世界2位、売買高で世界3位の巨大な中国株市場が生まれる」。
米投資銀行最大手のゴールマン・サックスがこう指摘し、その動向に注目するのが近く始まる香港と上海の証券取引所の相互接続だ。
売買注文の相互乗り入れで、中国本土の個人投資家が上海経由で香港証取の株式を取引することが可能になり、日本を含めた海外の個人投資家が香港証取経由で上海に上場する中国株を売買できるようになる。すでに技術的な準備は完了、当局のゴーサインは時間の問題とみられている。
中国政府は、ヘッジファンドなど投機マネーの流入や本土からの資産流出が経済運営を乱すことを嫌い、資本取引を厳しく規制している。現在、中国国内市場に直接投資ができる海外投資家は、政府から割り当てを得た資産運用会社などの特定の機関投資家のみだ。
一国二制度。中国本土と香港の政治制度の違いは、金融市場にも当てはまる。世界に開かれた香港市場と中国独自の規制管理の下で閉じられていた本土の株式市場。両市場の相互乗り入れは、平たく言えば香港を窓口として中国本土が鎖国をやめて市場を開放する形だ。そう考えれば、投資に詳しくない人でもいかに重要な変革かが、イメージしてもらえるはずだ。
相互接続には投資額の上限があり、本土から香港への投資では金融口座残高が50万元(約800万円)以上という資格要件を設けるなど制約が残るため、完全な開国とはいえない。だが規制の緩和で中国株に流れ込むマネーは確実に増えるはず。中国株市場の盛り上がりは、第2、第3のアリババの登場や安邦保険に続く大型買収を後押しする。
■日本の投資責任者が香港に流出
習近平政権は香港の民主化デモを押さえ込もうとする一方、市場政策では自由な香港への接近にかじを切ったのはなぜか。株取引の規制緩和は中国企業の成長を促すためだけ、まして日本や欧米の個人投資家に喜んでもらうためでもない。香港を利用して国際金融市場における通貨、人民元の勢力を拡大する大きな政治的狙いがあるからだ。
国際金融市場の現在の主要通貨といえば、ドル、ユーロ、ポンドそして円。貿易取引や国際決済に広く使われる「強い通貨」を持っていることは経済・外交上の大きな影響力につながる。米国と対等の“大国”を自任する中国にとって、強い通貨のカードを手にすることは欠かせない条件というわけだ。
中国の規制緩和の動きは市場の透明性向上や公平な競争条件につながる期待があるが、人民元の勢力拡大でもっともあおりを受けるのは日本だ。
「日本で活躍している投資責任者が香港に流出している」。国内証券最大手の野村証券の幹部からは、アジアの金融センターとしての香港の台頭と東京の地盤沈下への危機感が漏れる。
■中国版インフラ銀行の脅威
さらに、中国はかねて提唱していた国際金融機関「アジアインフラ投資銀行」の設立で、東南アジアなどの21カ国と24日に基本合意した。この銀行構想も、巨大な中国株市場の創出と同様、「アジアでの人民元の影響力拡大への布石」(財務省関係者)だ。中国が中核となって各国から出資を募り、低利融資でアジアのインフラ整備を支援しようというものだが、その機能は日本が最大出資する「アジア開発銀行」と重複する。
アジア開銀は、日銀の黒田東彦総裁ら財務省OBが歴代の総裁を務め、開発支援を通じて日本とアジア各国との関係強化に重要な役割を果たしてきた。いわばアジアでの円の影響力を象徴してきた国際金融機関で、中国主導のアジアインフラ銀はその地位を脅かしかねない。
麻生太郎財務相が24日の閣議後会見で、中国が最大の出資国になるとみられるアジアインフラ投資銀行に関して「融資の審査能力があるだろうか。他の参加国に発言力があるのか」と、注文をつける姿勢をみせたのもこのためだ。
中国の新華社(電子版)によると、中国人民大学国際貨幣研究所は、今後3〜5年で「人民元はポンドと円を抜き、ドル、ユーロに次ぐ世界3番目の通貨になる」と分析しているという。
突然現れた巨人にその立場を奪われる。アニメファンならピンとくる人気漫画「進撃の巨人」のストーリー。円がそんな構図に陥らないよう、中国政府が手を替え品を替え繰り出す人民元の影響力拡大策への警戒は怠れない。
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