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GPIFの年金資産、100%株式運用が最も良い?株式市場全体の上昇にも寄与?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141027-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 10月27日(月)6時0分配信
今国会のひとつの焦点として、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用する国民の年金資産約130兆円に占める日本株式の比率を、現在の17.26%(6月末残高)から20%程度に引き上げる議論が注目を集めている。国民の大切な年金資産をリスクの高い株式で運用することの是非と、枯渇する年金資産を少しでも高い利回りで運用する必要性を天秤にかけた国会での討議が繰り広げられている。
今回は、より安心かつ安定的な利回りを確保できる年金資産運用を考察するため、あえて非常識と思われる仮説を立ててみたい。
「日本株式の比率を20%などという低い水準ではなく、2020年ぐらいまでゆっくりと時間をかけて100%にまで増やしていったらどうなるだろうか?」
つまり、国民の大切な資産をすべてリスク資産で運用すると何が起こるのか、考察してみたい。
実はこのような一見大胆にみえる運用は、ある前提条件さえ満たせば非常に良い運用効率を達成することができる。つまり年金運用は非常にうまくいくのだが、その“ある前提条件”とは、まず第一に130兆円のポートフォリオをTOPIX、つまり東証一部の株価全体に連動させることである。
巨大な資産を運用するためには、プロのファンドマネジャーの運用力が必要だと一般的には考えられている。ところが、100%株式で運用したケースを真面目に研究した人々の成果によれば、プロのファンドマネジャーの運用成績は、市場平均(TOPIXのような市場指標の平均)を常に下回っているのである。そして、90年代にリスクやリターンを取り扱う金融工学の研究が進んだ結果、結局のところ最も安全かつ安定した収益率を実現できる投資方法は、市場全体に長期的に投資をすることだと証明されてしまった。
株というものは、短期的には上がったり下がったりが激しい。その上、6年ぐらいのサイクルで定期的に不況が起きたり、株式市場全体のクラッシュが起きたりする。21世紀に入ってからでも、インターネットバブルの崩壊やリーマンショックで株価は大きく下落している。最近は欧州の経済不安やエボラ出血熱の拡大、新興国の成長鈍化などの要因で、また大きな株価下落が起きそうな兆しがある。
しかし6年でみると上昇と下落を繰り返す株式市場だが、30年単位の長期でみれば世界全体の株価は常に成長を続けている。
●TOPIX連動が最適?
では、なぜ株価は長期的には成長するのか?
それは30年のような長い期間では、世界経済は必ず成長するからである。そう、市場全体の株式に投資をするということは、世界経済の成長に投資をすることと同義なのである。なので、最初のポイントとしては、年金を100%株式で運用するのであれば、市場全体に投資をするということを絶対的な前提条件にすべきなのである。この条件が満たされない場合、特定の企業や業界の株式を購入しろといった政治的な思惑が介入してしまう。もちろん個別の投資に年金を巻き込んでしまえば、国民の資産が減ってしまうことはいうまでもない。
では、具体的にどのような投資ポートフォリオが最適かといえば、MSCIワールド・インデックスのような世界全体の株式に連動するポートフォリオということになる。いや、ワールド・インデックスでは先進国だけが対象のため、新興国も含めたすべての株式市場を網羅するインデックスがより良いということになるはずだが、筆者はこの常識にも異論を挟みたい。
第2の前提として、年金資産の運用を世界の株式全体のポートフォリオ連動にするのではなく、日本の株式市場だけ、わかりやすく絞ればTOPIX連動にしてしまうのがいいというのが筆者の意見である。
昔から、経済が成長するから株価が上がるのか、それとも株価が上がるから経済が成長するのか、という議論が存在する。一般的には株価は経営の結果であるべきなのだが、実際は株価が下がると資金調達が困難になったりして経営の足を引っ張るものだ。一方で株価が順調に上がっていれば、企業は長期的な投資もやりやすくなり、経営は良い方向に回っていく。
年金資産もまた、全体で130兆円もの規模の資金が毎年一定の量でTOPIXに連動する株式に流入すると、東証の株価は確実に上がっていく。買う需要が大規模に増えるから、株価が上がるのは当然である。そうすれば、バブル崩壊以降トレンドがぱっとしなかった日本株は、継続的に上昇基調に戻っていくはずである。
●株式市場全体の成長にもつながる?
実際に、このような事実がある。
アメリカでは企業年金は確定拠出型に切り替えられて久しい。確定拠出型とは、社員と企業が毎年一定額を社員の将来の年金原資として拠出するものだが、その運用先は社員自身が決めるというものである。その際、銀行預金に預けていても、たいして資産は増えない。プロがこういった社員に行うのは、「結局、S&P500(アメリカの主要な株式指標)に連動する投資信託に投資するのが一番確実ですよ」というアドバイスである。
そして何が起こったかというと、アメリカの株式市場には毎年S&Pに投資をする巨額な買い手が登場することになった。因果関係はともかく結果だけをみると、確定拠出型に年金が切り替えられて以降、S&P500の指標は長期でみれば安定してこれまで以上のペースで右肩上がりを続けている。結果として、アメリカの上場企業は平均すれば株価が安定して上がっている会社のほうが多いということになり、実際にアメリカ経済は成長している。これと同じことが日本の株式市場で起こせるのではないかというのが、筆者の考えである。
これから先、年金も国民の資産運用先も、個別株ではなくTOPIX連動で運用していくのが常識になってしまえば、結果として日本経済は成長していくのである。そして経済さえ成長してしまえば、人口減少や日本衰退への危惧もなくなっていくはずだ。
ところで最後に、長期的な運用資産の一定量には株式よりも安心な債券を組み込むことが常識であるにもかかわらず、なぜ筆者は年金資産を100%株式で運用することを提案しているのか?
その答えは、日本国債が一番危ないと思っているからだ。たとえ日本国政府の財政が破たんしても、民間企業すべてが一緒に消滅するわけではない。日本財政がデフォルトしても、トヨタ自動車や東芝、ファーストリテイリング、ソフトバンクなどの企業が国民の未来の生活を支えてくれる。その可能性に投資をしようというのが、今回の非常識発想のベースにある。
鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役
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