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外食業界、なぜ不振深まる?消えた5兆円をどう取り戻す?迫られるデフレモデルからの脱却
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141027-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 10月27日(月)6時0分配信
●不振にあえぐ外食産業
4月の消費税増税後、外食大手が軒並み不振に陥っている。
復活したといわれたファミリーレストランチェーンでは、サイゼリヤやジョイフルといった低価格ファミレスの既存店売上高は前年割れが続いており、好調を続けていたロイヤルホストも6月からマイナスに転じた。ガストは1〜9月期で100.8%、4〜5月は好調だったが、その後横ばいが続いている。デニーズは上期合計で100.9%とプラスだが、客数は減少している。
牛丼では吉野家が99.6%(2014年度上期)、すき家が96.9%(同)と不振の一方、「プレミアム牛めし」が売れた松屋は102.3%(同)と明暗が分かれた。
ハンバーガーチェーンでは、日本マクドナルドは長く既存店売上高の低迷が続いていたが、7月の期限切れ鶏肉使用事件発生以降2ケタの落ち込みが続き、減少に歯止めが利かない。積極的なメニュー投入が功を奏したケンタッキーフライドチキンは102.8%と、なんとか前年を上回った。
注目したいのは、価格を武器に成長を続けてきた大手外食企業が不振に陥っていることだ。
●デフレビジネスモデルは通用しない
価格を武器に成長してきた企業の基本戦略は、次のように解釈できる。
ひとつは、低価格メニュー・フォーマットの開発である。250円の牛丼、100円マック、全品280円の居酒屋など、他店より安いメニューの業態をつくる。これを実現するためコスト構造を抜本的に見直す。業界では30%といわれる原価率を徹底して削減し、正社員を減らしアルバイトやパートの社員を増やすことで、人件費を変動費化しコスト競争力を高める。
もうひとつは、フランチャイズを活用した大量出店である。直営事業も展開するが、フランチャイズ方式によって一挙に店舗数を増やし、知名度を上げ来店客数を増やすモデルである。
不振の要因は、こうしたビジネスモデルが崩壊しつつあるということである。日本経済新聞の調べでは、外食、小売業主要74社の人件費は前年比で7%と大きく増加した。景気回復に伴う人手不足からアルバイトの賃金が上昇し、人材確保競争に負けているのである。また、大量の出店戦略も限界にきている。人手不足による出店困難化に加え、出店余地も少なくなっていくという、外食産業の宿命というべき問題に直面しているのだ。
●消えた5兆円の市場
では、今後の外食産業をどうみるか、長期的な構造変化を読み取り考察していく。
外食産業の市場規模(13年)は23.9兆円(日本フードサービス協会調べ)を誇る日本最大の市場である。百貨店・スーパーが16.4兆円、自動車市場が16.2兆円であるのと比較すると巨大な産業であることがわかる。店舗数は約75万店、従業員数は442万人となっている(09年)。
だが、最大の市場ではあるが大きく縮小している。市場のピークは1997年の29兆円であり、16年間で5兆円が市場から消えたことになる。特定の業態ではなく全業態が減っていることから、外食産業内の競争ではなく、他業種に需要を奪われていることがうかがえる。
最大のライバルはコンビニエンスストアチェーンだ。セブン-イレブンに代表される弁当・総菜のグレードアップ、淹れ立てコーヒーなどの品揃えを強化し、成功している。コンビニは日々業態フォーマットを変えている。そのターゲットが食品スーパーではなく、外食になってきているのは淹れ立てコーヒーをみれば明白である。もうひとつは宅配・ケータリングである。宅配ピザなどの宅配企業の売上高は約2兆円である。第3は持ち帰り弁当であり、売上高は2.7兆円と推計されている。
外食産業は低価格競争に明け暮れている間に、他業界に顧客を奪われているのだ。
●低価格競争からの脱皮
では今後、外食産業が失われた5兆円を取り戻すにはどうしたらよいか。
味よりも価格を追求した結果コンビニに顧客を奪われているため、低価格競争から脱皮する戦略転換が必要だが、第一は、おいしいメニューへの革新である。セントラルキッチンに代表される調理手法ではおいしい料理に仕上がらず、顧客は満足しない。本当においしいメニューを開発しない限り、奪われた市場を取り戻すことはできない。他業界と比べた外食産業の優位性は、その場で調理できることにある。ここにこだわったメニュー・フォーマットの開発が求められているのである。
例えば、ロイヤルホストは「家庭ではできないプロの味が楽しめる」メニューに切り替えて復活の軌道に乗せた。また、星乃珈琲店は「一杯一杯にじっくり手を加えたコーヒー」と、ゆったりできる店内環境により好調を続けている。このほかに好調な伝統的外食チェーンが、CoCo壱番屋である。この1年間で既存店売上高が前年同月比割れしたのは、1回のみである。現在も同107〜108%と好調を維持しているが、同社は注文ごとにカレールーを温め直しカレーの美味しさを損なわないための取り組みや、店舗が個店としての特色・特長を打ち出していく「ストアレベルマーケティング」というチェーンストアの枠を超える取り組みを積極的に推進している。
消費回復期に入ろうとしている今、低価格ではない、他業界でできない、コスト高であっても味の品質を上げていくことに活路を見いだす必要がある。
第二は、ニッチ企業に学べ、ということである。ニッチ企業とは、大量出店はせず、多様な業態を展開する企業のことである。大量出店のビジネスモデルを否定した業態開発が求められている。「世界一のエンターテインメント外食企業グループ」を目指すダイヤモンドダイニングは、161の業態を開発し、81業態296店舗を展開しているが、各業態の出店数は1〜4店舗に抑えられている。また、行列がいまだに続いている「俺のイタリアン」などを経営する俺の株式会社は、銀座を中心に10業態17店舗を展開し成功している。
大量出店モデルではなく、さまざまな業態を開発し、リスクを避けていくビジネスモデルにトライする必要がある。今後の人口変動を考えると、出店地域は都市部に限定した展開が求められよう。
敵は産業の外にいる。その敵に勝てる戦略が求められているのである。
松田久一/JMR生活総合研究所代表
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