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すき家のワンオペ批判や労働者優位の傾向は“正しい”のか?外国人に職を奪われる日?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141027-00010006-bjournal-bus_all
Business Journal 10月27日(月)6時0分配信
先月、牛丼チェーン最大手のすき家を運営するゼンショーホールディングスは、人手不足から店舗の約6割にあたる1167店舗で深夜営業を当面休止すると発表した。深夜(午前0〜5時)に従業員1人で勤務する現状の体制、ワンオペレーション(ワンオペ)を解消するめどが立たないためだ。
事の発端は4月ごろ、人手不足のため休業する店舗が一時約120店に上り、店舗に貼り出された「閉店のお知らせ」の写真を撮られ、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などのインターネット上に次々と公開され、問題視する意見が増えたことだといわれている。
閉店の最も大きな原因とされているのが、ワンオペだ。ネット上にはアルバイト従業員らによる「もう限界」「疲れた」「俺は今月で辞めるって(会社に)伝えたよ」「まじで(みんなで)同時退職しようぜ」などの発言が拡散され、3月下旬にはシフト表がツイッター上に流出していた。今の時代を象徴するように、まさにSNSから始まった今回の騒動であった。
これまで安売り競争を繰り広げていた吉野家、松屋、すき家の大手牛丼チェーン3社は、4月の消費税引き上げに伴う価格改定で、牛丼並盛280円(税込、以下同)だった横並びが崩れ、吉野家は300円、松屋が290円への値上げを決定した。しかし、すき家は270円の価格設定を打ち出し“安さ”を売りに集客力を高める戦略を取った。しかし約4カ月後の8月27日、すき家も291円へ値上げするに至ったが、その大きな原因の一つが人件費の上昇だ。
すき家の深夜アルバイトは時給1400円で高止まりしていたという。それでも人が集まらず、ワンオペなどの少人数の店舗運営でコストを切り詰めてきたが、それも限界に到達したということだろう。ちなみに筆者のオフィスの近く(東京・渋谷)の某外食チェーンでは深夜の時給が2000円を超えているところもある。
●深刻な人手不足
現在、外食や流通、建築、運送業界などのアルバイト・パート従業員の人手不足は深刻な状況になっている。最近、筆者のクライアントの1社である大手物流会社でも、人手不足に陥っているという話を伺った。東日本大震災に伴う復興需要や東京電力福島第一原子力発電所の原発廃炉作業、これから本格化する大規模建設事業(2020年東京オリンピックやリニアモーターカー)など、建設関係に人材が流出し、さらに燃料費の高止まりなどもあり、まさに泣きっ面に蜂状態だという。
大企業がリストラを敢行する中で、日本の「人手不足問題」を皆さんはどう感じるだろうか。筆者自身もツイッターですき家の情報を見ていた。確かにワンオペは大変だろうと思う。しかし、牛丼を280円という価格で提供し、事業を拡大するために出店攻勢をかけていた企業としては致し方ない点も多くあったのではないかと感じる。「昔はもっと働いた」と言っては元も子もないが、かつて「24時間働けますか?」というコピーがなんの抵抗もなく受け入れられた時代もあった。
最近は労働者側の意見がますます強くなる傾向にあるが、リスクを取らずリターンのみを享受したいといった発想は危険な気がしてならない。少子高齢化が進み、このままいくと労働人口が減少の一途をたどり、国力にまで深刻な影響が及ぶのは避けては通れない。そのような中、「移民を受け入れるべきか?」「ロボットが日本の産業を救うか?」といった議論も盛んに行われている。日本の労働者も、今の環境に甘んじていては、いつか外国人やロボットに労働需要を奪われる可能性もあるのだ。
●求人と求職のミスマッチ
08年に起きたリーマンショック後の景気悪化によって、09年7月に5.5%(季節調整値)まで上昇した日本の失業率は、今年7月には3.7%に低下した。日本においては、3%台半ばという失業率の水準は、需要の不足によって生じる失業がほぼ解消されたことを意味していると考えられている。そして、同月の有効求人倍率(季節調整値)は1.10倍となり、1992年6月以来22年ぶりの高水準となった。
不況で企業が求人を行うことができない場合、失業率は上昇するが、企業が求人を行っても一定の失業率は発生する。これは職を求める人材が希望する給与や仕事内容と、企業が提供する内容のミスマッチによって、就職を“しない(できない)”人が一定数出るためだ。一方、7月時点での有効求人倍率では、求職者数よりも求人数が多い状況となっており、人手不足が発生している状態といえる。もちろん有効求人倍率は、ハローワークの求人・求職の状況を示す統計であって、労働市場の正確な状況と言い切ることはできないが、前述したすき家の状況や、子会社を含めた筆者のクライアント企業の状況を考えても、ある程度どの市場においても似たような状況が発生しているのではないだろうか。
さらに求人の数字を細かく見てみると、「事務的職業」の有効求人倍率は1を切っている。つまり、一般的にホワイトカラーと呼ばれる職業については求人が不足しており、人手不足という状態ではないのだ。しかし「専門的・技術的職業」「サービスの職業」「建築・採掘の職業」は倍率が1.0を上回っている。つまり、多くの人は事務的職業を望んでいるが、企業側は専門的な知識を持った人や、サービス業、建築業で働ける人材を求めているのだ。サービス業である牛丼チェーンが、アルバイト代に時給1400円を出しても人が集まらないというのは、このような求人・求職における需要のすれ違いから発生していると言えるのではないだろうか。
世界に目を向けてみると、13年時点で主な国の失業率はスペイン(26.4%)、イタリア(12.2%)、フランス(10.8%)、フィンランド(8.1%)、イギリス(7.6%)、アメリカ(7.3%)、ドイツ(5.2%)で、特に若者の失業率はスペインやギリシャでは60%近く、イタリアも40%に迫り、フランスも26%という高い数値となっている。
こういった現状を踏まえてみると、他の国に比べ日本は恵まれた労働環境なのだと感じてしまう。世界を見渡せば、低賃金でも働きたいと思う人材がいるのではないだろうか。日本は島国のため、海外の人が自分たちの職を脅かすという意識が弱く、経済的鎖国状態といわれることも多い。しかし、今後グローバル化・ボーダーレス化が進み、日本が規制緩和を進めた場合、この状況は一転するだろう。企業側としても同じ賃金を払うなら、能動的にやる気を持って働ける人に働いてほしいと思うものだ。もともと、労働環境が良くない国で働いていれば、日本の労働環境は心地よいと感じるのではないか。最近筆者が行っている研修でも、海外の受講生が確実に増えている。どの受講生も日本語を使いこなし、研修内容を身に付けようと積極的に取り組む様子が印象的だ。企業の強みを議論するグループワークでは、日本の手厚い研修制度を挙げる人も多い。
今まで経験したことのない環境の中で、どの階層であっても、世界レベルで戦うスキルを求められる時代が目前に迫っている。そのためには、与えられた責務に真摯に向き合い、やらされ感なく目の前の仕事から何かを学ぶといった貪欲さと、それによって相手になんらかの価値を与えるといった心構えが必要になるだろう。
岡田和典/経営コンサルタント・大学院客員教授
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