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『まんがでわかるセブン‐イレブンの16歳からの経営学』
加盟店に弁当を廃棄させて儲けるセブン-イレブンのえげつない経営術
http://lite-ra.com/2014/10/post-577.html
2014.10.25. リテラ
国内約1万7000店を超えるコンビニエンスストア業界最大手のセブン-イレブン・ジャパン(以下、セブン)。その経営術が、セブンのマンガコーナーでも売っている『まんがでわかるセブン‐イレブンの16歳からの経営学』(まんが・迫ミサキ 監修・セブン‐イレブン・ジャパン/宝島社)にまとめられている。
同書によると、約40年たゆまず成長を続けるセブンの強さの秘密が「顧客志向の商品開発力」と「発注」だという。
「顧客志向の商品開発力」とはたとえば、2013年1月に登場して1年で4億5000万杯以上売れるという大ヒットしたセブンカフェだ。セブンカフェは「開発担当者が『自分が毎日飲みたいコーヒー』の質を追求して生まれた」ものだという。
また、「発注」とは「店舗で売る商品を本部の情報ネットワークを介してメーカーや取引先に注文すること(略)顧客が欲しい商品をいかに発注するかで売上げは大きく変わってしまうからだ」(同書より)
ここまではまあ、どの小売業にも共通する話だ。しかし、セブンイレブン商法が特徴的なのは、売れ残った商品の廃棄で生じる損失(廃棄ロス)よりも、商品の発注が少なすぎて売上げを逃すロス(機会ロス)を避けることを重視している点だ。
「多くの場合、経営者は、廃棄ロスばかりを気にかけてしまいがち。だから廃棄ロスがゼロとなる『完売』だと万々歳となるお店は多い。だが、セブン‐イレブンの考え方は違う。完売は顧客にとって、その商品を買えないことを意味する。顧客は別の店に商品を探しに行くか、購入を諦めるしかない。(略)このような売り手の満足は、顧客にとっては不満足だと考える必要があるわけだ。セブン‐イレブンが目指すのは廃棄ロスではなく機会ロスの最小化である」(同書より)
つまり、売れ残ってでもいいから、品物を売り切れ状態にするな、というのである。
びっくりするような経営哲学だが、たしかにこのやり方がセブン本部を成長させたというのは事実だ。しかし、それは同書に書かれている「機会ロスの最小化」が客を呼び込んでいるというようなきれいな話ではない。実は、この経営哲学の裏には、加盟店を食い物にし、本部だけを太らせていくコンビニ独特の会計学、フランチャイズシステムを利用した詐欺まがいのカラクリがあるのだ。
そのカラクリとは、商品の「廃棄ロス」分のロイヤリティも加盟店側が支払うという、えげつない取り決めのことだ。
一般的な会計では「廃棄ロス」は「売上原価」に含むために粗利が減り、粗利に一定のチャージをかけた本部に払うロイヤリティは少なくなる。売れ残って廃棄すると、当然、仕入れ金額は払わなければならないが、そのぶんのロイヤリティは払わなくてすむ。
しかし、コンビニ業界では「廃棄ロス」を営業費用(販売費)に含めることになっており、売れ残って廃棄された商品の分も本部にロイヤリティを支払わなければならないのだ。
だから、本部は「機会ロス」を最小限にするため、などというお題目で、加盟店にどんどん商品を発注させる。発注させれば、売れ残ろうが廃棄されようが、本部に入ってくる金は増えていく。
しかし、一方の加盟店は「廃棄ロス」を出せば出すほど、大きな出費になる。『非情な社長が「儲ける」会社をつくる 日本的経営は死んだ!』(有森隆/さくら舎)ではその金額を推計している。
「公正取引委員会が二〇〇九年に実施した調査では、廃棄額は一店舗あたり年平均五三〇万円に達していた。一二年一〇月末現在、国内店舗は一万四六六二店ある。つまり、一日で二億円強、一年では七七〇億円超の商品が廃棄される計算だ。膨大な金額である。これだけのものが捨てられても、セブン-イレブン本部は何の痛痒も感じない。賞味期限切れで廃棄された商品についても、加盟店がロイヤリティを支払う取り決めになっている」
会計の専門家の間でも、このマイナスからプラスを生む「ロスチャージ会計」には疑問が呈されている。たとえば、2005年6月、「エコノミスト」(7月5日号/毎日新聞社)では、税理士資格も持つ、北野弘久日本大学名誉教授(当時・故人)が「セブン‐イレブン会計マジックを糾す」という論文を執筆し、セブンイレブン方式では各店舗の経営が「赤字」になってしまうことを指摘している。
また、北野名誉教授は「私は、希代の詐欺集団であった豊田商事の被害者弁護団長をつとめたが、コンビニの優良企業といわれるセブン‐イレブンの詐術は、豊田商事以上であるという感を深くしている」と論評しようとしたが、印刷直前に掲載情報を入手したセブン幹部による毎日新聞社への猛抗議で、その記述は削除されている。
この廃棄ロス問題は、マイナスからプラスを生む「ロスチャージ会計」として2000年代に一部加盟店により裁判で争われた。最高裁まで争われたものの、2007年、契約時に加盟店側の合意があることなどから、加盟店の主張は認められず、セブン側の勝訴となっている。
現在はこうしたトラブルもあってか、「廃棄商品の原価の15パーセント、年間100億円分を本部が負担する」という妥協案を打ち出しているが、その基本構造は変わっていない。セブン本部は営業利益は2127億円(2014年2月期 決算補足資料)と絶好調だが、これは加盟店の犠牲のうえに生み出されたものではないのか。
セブンは『まんがでわかる〜』の第二弾として、『セブン ‐イレブン本部の弁当を捨てさせて儲ける方法』というタイトルの本でも出したらどうだろう。
(小石川シンイチ)
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