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「脱成長・里山資本主義」思想による根拠なきアベノミクス批判 - 山本隆三(BLOGOS)
http://www.asyura2.com/14/hasan91/msg/297.html
投稿者 会員番号4153番 日時 2014 年 10 月 25 日 12:07:09: 8rnauVNerwl2s
 

BLOGOSから
http://blogos.com/article/96381/

藻谷浩介が、日刊ゲンダイで「安倍政権は経済的な反日の極み」と主張している。これを「過激なようで論理的」と持ち上げている一部のマスコミは、論理的と言えるだけのデータの検証を行ったのだろうか(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/153666)。藻谷のあげている間違いだらけのデータと主張を鵜呑みにしただけだろう。

 経済とエネルギーに関するデータを基に藻谷の主張を検証すると、主張にデータの裏付けはなく、藻谷の主張に都合の良いように話を変えていることが分かる。筋道と過程が無茶だから、最後の結論にいたっては、とんでもないことになっている。藻谷の主張は経済的なデータに基づくものではなく、単に「原発も、経済成長も不要、里山を活かせ」という思想・心情を披歴したものに過ぎないと言っていい。経済の話として主張することにより、一部のマスコミを含め経済データの詳細を知らない人間を騙すことにもなっている。

根拠なき藻谷の主張
 藻谷の主張の骨子は次の通りだ。何箇所か数字が出てくるが、その裏付けデータは示されていない。燃料代の上昇から対中貿易赤字までを円安が引き起こしたとして、円安を作り出した安倍首相の経済政策を非難しているが、その根拠はない。研究所に勤務する人間がデータをよく調べないで理論を構成するというのは、にわかには信じ難いが、調べると、藻谷の主張の根拠となるデータや数字は間違っていることが分かる。どこが違うのか、まず箇条書きで簡単に説明する。

・燃料代の輸入が増えているが、原発の停止が理由ではない。円安が理由だ。原発再稼働というのは、相手をけがさせて、薬を買えというような話だ。

⇒原発の停止により燃料の輸入数量は増え、円高だった11年、12年にも輸入代金は増加している。円安が原因ではない。円安にして再稼働しろと言っているという主張は成立しない。

・輸出も増えている。日本のものづくりの国際競争力が落ちているというのは、とんでもない誤解。ハイテク部品や高機能素材が売れ続けている。

⇒世界の貿易は日本の輸出以上に伸びている。日本の世界貿易に占める比率は落ち続けている。デフレ時代に日本が相対的な国際競争力を失ってきたからだ。

・円安政策が対中貿易の赤字を招いている。対中貿易赤字を招く政策を経済的な反日政策とすると「安倍政権は反日の極み」だ。

⇒対中貿易の赤字額は傾向的に増えている。円安であれば輸出も増えるので、円安と対中貿易の赤字とは関係がない。日本の対中輸出の競争力が落ちているのが赤字増の原因だ。

・日本の1人当たりGDPは20年前から世界20位以内。「もっと稼いでGDPを増やさなければならない」と政治家は叫び、刹那的な「マネー資本主義」に走っている。

⇒日本の1人当たりGDPは20年前世界一だった。今は20位以内にはない。データによっては韓国にも抜かれている。平均給与は97年から実質10%減った。

・原発の廃炉費用を上乗せするだけでも、電気料金はさらに上がっていく。負担が発生するのは2,3年後。メーカーの社長は再稼働で目先の電気料金が下がればいいと考える。

⇒廃炉、核燃料処理費用などは、原発のコスト計算に含まれており、既に回収されている。廃炉が始まっても負担が増えることはない。再稼働とは関係がない。

・イタリア、フランスも対日貿易黒字。両国が売り込んでいるのは、ブランドと田舎の食品であるワインなど。日本だって里山の恵みを生かして同じような路線を追求できるはず。

⇒イタリアもフランスも輸出で稼いでいる商品は、機械類、自動車、化学薬品などで、ワインなどの占める比率はごく僅か。先進国が農産品で生きていける筈はない。

 以下では藻谷の主張を一つひとつ、データに基づき詳細に検証してみたい。

先進国が農業で生きていけるわけがない
 藻谷の主張の結論を最初に検証しておきたい。藻谷の主張の間違いがはっきり分かる結論になっている。経済成長は不要という水野和夫の主張を検証した『「資本主義の終焉?」脱成長路線では世界を救えない』で、元経済産業大臣の枝野幸男の主張「これからはニッチ産業で輸出すべき、例えば盆栽」に触れたが、藻谷の結論は経済音痴と言っていい枝野並だ。

 藻谷は、「フランス、イタリアに注目している。ブランド衣料宝飾品、田舎の産品のワイン、チーズ、パスタにオリーブオイル。ハイテクではなく、デザインと食文化を売っている。日本だって里山の恵みをもっと生かして、同じような路線を追求すべき」と言っているが、フランスとイタリアの輸出品目を調べると、両国ともに大きく外貨を稼いでいるのは機械、自動車などの工業製品であり、ブランド品でもワインでもチーズでもない。先進国の産業構造からすれば、農産物で十分な外貨を稼げないのは経済学の常識だ。日本向けには工業製品を売るのが難しく、偶々ブランド品や農産物しかないということだ。他国向けには工業製品の輸出で稼いでいる。


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 フランス国内を鉄道で旅すると、農地が広がる姿に驚く。フランスが農業大国と言われる所以だ。しかし、フランスが作り出す付加価値額のうち農林水産業の占める比率は2.5%。先進国が農業で生きているわけはないし、農産物の輸出で大きく稼いでいる筈がないことは経済の常識だろう。フランス、イタリアの輸出品目を表-1に示した。藻谷の、「フランス、イタリアを見習って、里山を活かした路線を」という主張は枝野の盆栽輸出と同レベルの経済学的にはありえない主張だ。盆栽を買ってくれる国も量も限られている。経済の解説をする人間が行う主張ではない。データを調べたうえで、主張しているとすれば、もっとひどい。

原発の発電量の落ち込みを、
火力発電所の稼働率向上で賄った
 原発が停止したが、エネルギー消費は増えておらず、影響はないと藻谷は主張している。「震災前も今も原油と天然ガスの輸入量は2億5000万キロリットルで変わらないので、エネルギーの輸入代金が増えたのは、安倍政権による円安のせい」というのがその主張だ。原発は震災前全電力需要の30%を賄っていた。停止によってもエネルギー輸入が増えていないという藻谷の主張が正しいとすれば、電力需要、あるいはエネルギー消費が大きく落ち込んだということしか考えられない。


図1
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 輸入実績を見れば、藻谷の説明の間違いはすぐに分かる。震災前2010年に原油は2億1462万キロリットル(KL)、石油製品2795万KL、燃料用の一般炭1億161万トン、天然ガス7001万トンが輸入されていた。13年の輸入量は原油2億1175万KL、石油製品2717万KL、一般炭1億888万トン、天然ガス8749万トンだ。石油系は365万KL減少しているが、石炭は727万トン、天然ガスは1748万トンも増えている。電力需要は大きく落ち込んでおらず、電力業界は原発の発電量の落ち込みを、火力発電所の稼働率向上で賄った。電力業界の化石燃料の消費量の推移は図‐1の通りだ。

 景気が低迷していたために、エネルギー消費も低迷しているが、電力業界の燃料消費量増を穴埋めするほど減少しているわけではない。輸入量が増えていないという藻谷の主張の元になるデータは何だろうか。


図2
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 さらに、藻谷の説明が間違っているのは輸入代金の増加を全て円安のせいにしていることだ。量の増加に加え、化石燃料価格の上昇も大きな要因である。特に、震災により原子力というオプションを失い、天然ガスが必要になった日本は足元を見られ高い天然ガスでも買わざるを得なかった。日本の燃料輸入額の推移と円・ドルの為替の推移は図‐2に示されている。13年の円安が輸入額の増加を招いたのは事実だが、円高時の輸入額の増加から円安よりも量と価格が大きな要因であることが分かる。

 量の増加と価格の上昇を無視し、円安が貿易赤字を作り出しているという藻谷の主張は、完全に誤りだ。藻谷が量と価格という基礎データを調べていないとすれば、研究機関に勤める立場としては釈明できないミスだろう。もし、調べた上で、量、価格という基礎データを無視したのであれば、それはまるで扇動家の行いだ。

中国からの輸入が増えているのは円安のため?
 安倍政権になって、中国との貿易が1兆円の赤字になった。これは円安のためだとして「経済的反日」と安倍政権を藻谷は攻撃している。鳩山政権時代には4兆円近い黒字だったので、鳩山政権がもっとも「親日的政権」としている。バカバカしいにも程がある。円安になれば、輸入額も増えるが、輸出額も増える筈だ。円安が中国との貿易赤字の原因になる訳がない。第一、貿易赤字になれば、反日になるのか。鳩山内閣時代も対中国では貿易赤字だ。藻谷は常に日本が3兆円から4兆円の貿易黒字額になる香港を中国に含め計算しているだけだ。


図3
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 藻谷は、企業がコストを下げるために中国から安い原材料を購入するから赤字が膨らんでいるとも主張しているが、まったく馬鹿げた説明だ。中国との貿易額の推移は図‐3の通りだ。11年、12年の円高の時代も日本の輸入が増え、その上貿易赤字は拡大している。原因は日本の輸出が伸びず、減少していることだ。特に、輸出額1位と2位の電気機器、機械類の輸出額は、11年から13年にかけ、それぞれ15%減、36%減と大きく落ち込み、中国の輸入額に占める日本のシェアは11年11.2%、12年9.8%、13年8.3%と減少を続けている。藻谷は日本の製造業の競争力は強いとし、リーマンショック前に輸出額は過去最高になったとしているが、ここでも藻谷はデータを読んでいない。

競争力を失う日本の製造業

図4
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 1979年に発売されたハーバード大学のヴォ―ゲル教授の著書「ジャパン・アズ・ナンバーワン」が示す通り、80年代には米国の経済覇権を日本が脅かしたが、それは日本の製造業が米国の製造業を脅かしたということだった。図‐4は日米独の製造業の付加価値額の推移だ。80年代から90年代初めにかけ、日本の製造業は米国に迫った。危機感を持った米国の議員は日本製の車、家電製品をハンマーで壊すパフォーマンスさえ見せ、日本製品の対米輸出増を阻止しようとした。


図5
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 しかし、米国の危機感はその後霧消した。90年代後半から日本の製造業が全く成長しなくなったからだ。この最大の原因はデフレにより、企業が借入金の返済を優先するようになり、工場設備更新、研究開発投資を行わなくなったからだ。藻谷は日本の製造業の輸出額はリーマンショック前に過去最高だったというが、先月の連載でも示した図‐5の通り世界に占める日本の輸出額のシェアは波を打ちながら下がっている。これは、グローバル化が進む世界のなかで日本の製造業が相対的に競争力を失っていることを示している。

 対中輸出でも日本は残念ながら競争力を失っているということだ。安倍政権が反日の極みであり円安が対中貿易赤字の理由という主張は、経済学の理屈から出てくるはずがない。

日本経済は成長する必要がないのか
 藻谷はまた不思議な議論を展開している。日本の1人当たり国内総生産(GDP)はこの20年間を通し世界20位以内であり、成長には借金と汚染物質が残るから、経済成長の必要はないと示唆しているのだ。ここでも藻谷はどんなデータをみているのだろうか。


図6
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 国際通貨基金(IMF)のデータでは、20年前1994年の日本の1人当たりGDPは、179カ国中1位だった。13年のデータでは24位になっている。米国の公務員のために作られている米国中央情報局(CIA)のワールド・ファクト・ブックでは消費者物価指数で調整された購買力平価(PPP)ベースの日本の13年の1人当たりGDPは世界36位だ。CIAのデータでは、まだ韓国を上回っているが、OECDのPPPの1人当たりGDPを示すデータでは、日本は既に韓国に抜かれている。12年の1人当たりGDPは日本35317ドル、韓国38267ドルだ。

 この20年間日本だけ経済成長が止まっている間に、他の多くの国が成長を続けた結果だ。20年前に日本の半分しか1人当たりGDPがなかったシンガポールも豪州も、いまは日本より大きな数字になった。図‐6が示す通り、他の主要国の1人当たりGDPも伸びている。

「金融緩和を止められない自分の無力を懺悔」?

図7
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 藻谷は、「フランス、イタリアで日本ほど働いているという話は聞いたことがないが、日本のほうが赤字」というが、二国間の貿易を比べて黒字の方が優れているという主張は経済学では意味がない。例えば、日本と中国では黒字の中国が優れている訳ではなく、偶々お互いに必要するものがあったということだ。まして、日本ほど働いていないというのは本当だろうか。どの国でも稼ぐために一所懸命に働いている人ばかりだ。楽して儲けている国があるはずもない。OECDの統計でG8諸国の年間実質労働時間をみると、図-7の通りイタリア人は日本人よりも働き者だ。


図8
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 日本人の1人当たりGDPと平均給与の推移は図‐8の通りだ。1997年をピークに平均給与は下がっている。消費者物価指数で調整しても実質10%下落している。いま、毎月のやり繰りを考えずに生活している日本人は何人いるのだろうか。フランスとイタリアではあまり働かず稼いでいると、ありもしない姿を示し、里山を利用すればよいと主張することに藻谷は心が痛まないのだろうか。

 藻谷は「大企業は人員を減らすことで給与の総額を減らし、原材料を安くするために中国からの輸入量を増やして配当を確保する」と言う。藻谷は、一体どういう経営者と付き合っているのだろうか。私の知っている経営者のなかには、そんなことをやりそうな人はいない。もちろん、儲けるためであれば、法律違反でない限り何をやってもよいと考える経営者もいるだろう。しかし、大手企業の経営者を一括りにして論じるのは乱暴だ。

 藻谷は金融緩和を止められない自分の無力を懺悔しなければならないと言っているが、過去20年間の経済の不調と給与の下落はデフレがもたらしたものだ。デフレをまず止めようとする政策を、間違った経済データと思い込みで批判し、無力を嘆くのは滑稽だ。今でもまだデフレが続いていれば、経済情勢は今よりもはるかに悪い状態だっただろう。

 安倍政権を嫌うのは自由だが、経済の観点から根拠なく政策を批判するのはいかがなものか。里山資本主義は「バックアップの手段」と言いながら、現在の経済を「やくざ」「マッチョ」「マネー資本主義」と批判し、里山の恵みを生かす路線を追求できると主張する姿勢は理解できない。

 こんな感情的な主張で、反日と呼ばれるのは安倍首相もたまったものではないだろう。日本経済をダメにし、結果国民を貧しくするのは、藻谷の路線だ。

シェール革命の米国に対抗し製造業の復活を
 日本復活のカギは、製造業だ。再度米国に追いつくべく新技術の研究開発、設備更新に力を入れることで、経済成長を図ることが重要だ。シェール革命の米国に対抗するためには安価で安定的なエネルギー供給も欠かせない。製造業は日本のGDPの20%を稼ぎ、物流などの周辺の業種を含めると、GDPの3分の1になる。地に足のついた経済成長と生活向上のためには、まずデフレからの脱却が必要だ。

 いま、EU委員会も20年にGDPの20%を製造業にする目標を掲げ、新技術支援を柱にEUの製造業復活戦略を実行している。これからの日米欧の競争は製造業が中心だ。政権はデフレ脱却戦略に加え、早く製造業の具体的成長戦略を描くことが必要だ。そうでなければ、失われた20年がさらに長引くことになってしまう。


<参考リンク>

■火力燃料費、震災後4年で12兆円増 経産省試算
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF23H01_T21C14A0MM0000/

経済産業省は原子力発電所の停止に伴う火力発電用の燃料費について、2011年度から14年度の累計で12兆7000億円増えるとの試算をまとめた。原発の停止で、コストの高い液化天然ガス(LNG)や石油などを使う火力発電所の稼働が増えたためだ。

 14年度の追加燃料費は約3兆7000億円に上る見通しだ。すべての原発が止まったままと想定しているため、大飯原発3、4号機が一時稼働した13年度よりも1500億円…
 

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コメント
 
01. 2014年10月25日 12:54:38 : BwaGrREmOg
長いわりには ようするに原発停止に責任転嫁しているだけね

02. 2014年10月25日 13:14:11 : I1dXExxYp2
成長幻想に基づくアベノミクスの根拠を問うたほうがよかろう。
というのは永遠に成長することがありえないことは、何十年も前に成長の限界として承知されている。そして維持は難しい。

まあ成長とは寡占の過程のことであるので、寡占を目論む連中にとっては里山資本主義のような富の分散に繋がる思想は不都合だろうよ。


03. 2014年10月25日 13:21:26 : drWRS4hGsA
言っていることが支離滅裂だな
「輸出は伸びている 日本のハイテク製品は売れ続けている」
「20年間のデフレのせいで製造業は全く成長してない」
わざと分かりにくい文章にしているんじゃないと疑ってしまう

04. 増税反対 2014年10月25日 13:44:08 : ehcoR2LmdzYII : P4FRsgQQvM
長い割には全く中身がないので呆れてしまいますが、

自分なりに頑張ったんだろうから、一応ほめてあげましょう・・・


05. 2014年10月25日 15:11:58 : tivI8OUQkI
⇒原発の停止により燃料の輸入数量は増え、円高だった11年、12年にも輸入代金は増加している。円安が原因ではない。円安にして再稼働しろと言っているという主張は成立しない。

ということが主訴なのだとすれば、「幾らでも円高にして、再稼働だけは絶対にするな!」と言い返してあげれば良いだけのことですよね。

⇒世界の貿易は日本の輸出以上に伸びている。日本の世界貿易に占める比率は落ち続けている。デフレ時代に日本が相対的な国際競争力を失ってきたからだ。

これが主訴ならば、日本の世界貿易に占める比率を幾らでも落ち込ませ、相対的なデフレ時代を逆手にとって、国際競争力なんか幾らでも喪失させたところで、。これ以上に失うものは何もないのだから、幾らでも原材料コストだけを削減することで、円高メリットを人件費にすることで、付加価値の向上に繋げて行くことで、労働者からすれば、会社の利益に貢献してあげれば良いだけのことではないでしょうか。

⇒日本の1人当たりGDPは20年前世界一だった。今は20位以内にはない。データによっては韓国にも抜かれている。平均給与は97年から実質10%減った。

こんなことならば、経済規模全体では、韓国や北朝鮮にも追い抜かれても構わないのだし、経済成長率では、誇りを持って世界最低水準の成長率だけを維持することで、一人当たりGDPで世界一を取り戻す様にすれば良いだけのことではないでしょうか。

⇒イタリアもフランスも輸出で稼いでいる商品は、機械類、自動車、化学薬品などで、ワインなどの占める比率はごく僅か。先進国が農産品で生きていける筈はない。

先進国で農産品で生きていけるはずはないということが、本質的な見立てであるならば、日本は農産物の輸入を幾らでも減らすことで、減らした分は、どうぞ食糧不足で困っている国に廻してあげて下さい、ということで構わないのだし、この反面で、農産物の輸出量も減らしてあげることで、食品廃棄物幾らでも減らすなりすることで、食料自給率を向上させることに繋げて行けば良いだけのことではないでしょうか。
これならば、製造業にしても、中国や韓国をはじめ、ASEAN諸国で生産できるものは、幾らでも任せてしまうことで、採算の取れる規模だけを残して、海外移転を加速化させ、同時に、少子高齢化に伴い、介護や子育てなどへの流動化を加速化させ、これが結果的に、日本経済全体のダウンサイジング化と産業構造の流動化を加速化させることに繋がり、同時に雇用の流動化も加速化させることに繋がっていけば、東京から地方への人口流出を加速化させることに繋がれば、東京だけは、もう幾らでも一人負けをすることになろうとも、誇りを持って「花の東京デトロイト化」ということに繋げて行けば、都心の交通渋滞は緩和されるし、通勤ラッシュも減るし、交通事故も減り、廃棄物も減り、電力需要の大幅な削減に繋がるし、歌舞伎町や渋谷等のいかがわしい繁華街だけは、幾らでも衰退することになるのは大いに結構なことだし、パチンコについては、それこそ中国にでも売り飛ばしてしまうことで、中国がまんまと騙されたふりをして、これを妓生観光や売春ツアーの真似をして、パチンコ観光でも称して、日本の使い物にならない間抜け社員を誘惑し、それこそ、幾らでも多額のお金を巻き上げてから、これを子供を預けた保育所に保育料として還元するというビジネスモデルでもやらせてあげれば良いのだし、これならば、アメリカがこれと同じことをするならば、パチンコをカジノに帰れば、カジノツアーとかカジノ観光でもやらせることにすれば、日本国民全体としては、願ってもないことだし、アメリカの99%の皆様にとっての利益に繋がるし、中国にとっての利益にも繋がるのならば、お互いに損することは何処にもないのだし、むしろお互いの利益に繋がって、共に支え合い、助け合い、分かち合いながら、共に幸せに暮らすことが出来て、これを「全人類に対しての良いロールモデルとして、恩返ししていくことで、国際社会全体の平和と安定に繋がり、地球規模での環境破壊も食い止めることに繋がって、全人類が共に幸せに暮らすことが出来る様になるのならば、此れ程喜ばしいことはございませんし、此れ程素晴らしいこともございませんし、何も言うことはないのではないでしょうか?


06. 2014年10月25日 17:49:10 : jXbiWWJBCA

日本総研・藻谷浩介氏 「安倍政権は経済的な“反日”の極み」
2014年9月29日
(C)日刊ゲンダイ
 アベノミクスを批判する専門家は多いが、「(無謀な金融緩和を止められない自分の無力を)懺悔しなければならない」(9月14日毎日新聞)とまで語った人は珍しい。「金融緩和の頓挫した後の世界を生きていく時間の長い若者よ、集団幻想を抜け、事実を語ろう」とも。痛いところを突かれたせいか、安倍首相は「アイツだけは許さない」と怒っている。さっそく、講演会場で直撃した。

■相手をケガさせて「クスリを買え」という手法

――「安倍氏と直接の面識はなく、好き嫌いで批判しているわけではない」と語る藻谷氏。氏が指摘するのは、「アベノミクスの成果」に実体がなく、円安の副作用ばかりが大きくなっているという事実だ。

「原発が止まったから、火力発電所用の石油輸入量が増えて貿易赤字国になった」「国富を流出させないためには再稼働が必要だ」という話を、多くの人が信じ込んでいる。とんでもない話で、真犯人は政権が自分で誘導している「円安」です。

 確かに日本の輸入は野田政権の時に66兆円、そして安倍政権の時に77兆円と、1年間で11兆円も増えました。石油・ガス・石炭はそのうちの3兆3000億円、つまり3割で、7割は食品や雑貨やスマホなど、燃料以外の商品の輸入額が円安で膨れ上がってしまったものです。

 燃料代3兆3000億円の増加も円安が原因で、原発停止が理由ではありません。原発は野田政権当時から全部止まっていたのですから。日本の石油や天然ガスの輸入量は国民や企業の省エネ努力のおかげで、原発事故前の2010年も、安倍内閣の昨年も、2億5000万キロリットルと横ばいのままなのです。

 経産省は原発を全部再稼働すれば、化石燃料の輸入額を1兆6000億円程度減らせると言っていますが、昨年の貿易赤字は8兆5000億円ですから焼け石に水。自分で円安にして日本を大赤字にしておいて「原発再稼働」というのは、相手を転ばせてケガさせておいて「さあ、クスリを買え」というような話です。

■ いつの間にか中東に貢ぐ国に

――その結果、日本はどれだけ国富が流出しているか。円安に株価上昇で浮かれるのはあまりにも能天気だ。

 国全体で「赤字がかさんでいる」のは、企業や個人の損の合計が、それだけ増えているということ。特にガソリンや電気を使っている企業や個人の儲けがどんどん減っている。株価の上昇で儲けて喜んでいるのはごく一部の人たちで、多くの人はひたすら、中東諸国に貢ぐために働く、というようなはめになっています。

 株が上がったと浮かれている人は、「国全体が赤字になっても、自分だけは儲けることができた」と喜んでいるわけですが、それを「政権の成果」と囃していていいのでしょうか。

 今年上半期の数字から試算すると、今年の貿易赤字は十数兆円に膨らみます。野田政権のときが4兆円台の赤字、鳩山政権の2010年には10兆円の黒字でしたので、日本はものすごい勢いで貿易赤字国に転落しているのです。

 ちなみに輸出も増えています。日本のものづくりの国際競争力が落ちているというのはとんでもない誤解で、今よりも輸出が多かったのは、リーマン・ショック前の世界超同時好景気の3年間だけです。ハイテク部品や高機能素材が売れ続けているからです。しかし、日本全体の収支構造が逆ザヤになってしまっているので、輸出が増えるほど輸入も増えて赤字が拡大するのです。

円安政策が対中貿易赤字を招いている
――安倍首相は中国に対して、高飛車に出ている。しかし、その一方で、対中貿易が極端に悪化しているのは皮肉なことだ。

 日本は中国(香港を含む)に対して、一昨年までの12年間、貿易黒字を続けてきました。鳩山政権当時は史上最高の4兆円近い黒字を稼いだのです。それが安倍政権下の昨年、1兆円の赤字に転落してしまった。日本は雑貨でも食品でも部品でも安いものを何でも、コストダウンのために中国から買いまくっていて、そういう構造が円安で裏目に出たのです。

「中国と毅然と対決する」という姿勢の安倍政権の円安政策が、こうした結果を招いている。対中貿易赤字を招くような政策を経済的な「反日」政策だとすると、「安倍政権は反日の極み」で、「鳩山政権が最も親日」という皮肉なことになる。

――里山資本主義を提唱する藻谷氏は、GDPばかり計算していないで、お金に換算できない価値を見直すべきだと訴えている。そうした発想の転換によって、日本は幸せな国になれると提言している。

 日本は20年前から、1人当たりのGDPは世界20位以内の水準です。失業率も先進国で最低水準なのに、「もっと稼いでGDPを増やさなければならない」と政治家は叫び、そう言えば、支持率が上がる。そのために刹那的な「マネー資本主義」に走っています。その結果、未来のために残さないといけないものまで使い尽くし、今稼ぐために残してはいけないものを残している。具体的には借金と汚染物質です。

 ようやく表に出始めた原発の廃炉費用を上乗せするだけでも、電気料金はさらに上がっていく。でも廃炉費用の負担が本格的に発生するのは少なくとも2、3年後。使用済み核燃料の負担が出てくるのはその先。それまでに任期が来るメーカーのサラリーマン社長は、「取りあえずは原発再稼働で目先の電気料金が下がってくれればいい」と考える。これが「マネー資本主義」の刹那的な発想です。

マネー資本主義に走る大企業は、人員を減らすことで給料の総額を減らし、原材料を安くするために中国からの輸入量を増やして、配当を確保する。1部上場の大企業は配当を減らすとソニーのように株主総会で叩かれるので減らしません。その分、貿易赤字が増えて、内需は縮んでしまいます。

 アベノミクス以降、日経平均株価は9割も上がったのに、国内の小売販売額は1%しか伸びていない。13年の小売販売額は139兆円で、12年の138兆円とほとんど変わっていないのです。国民や中小零細企業の大多数は、円安で輸入原材料費が上がって経費がかさむばかりで恩恵の実感はありません。

 株が上がって儲けた人がどんどん使えばいいのですが、彼らは金融商品を買うばかりで、国内でモノを買わない。海外にビルが建つだけです。「飢えている人の横で、食べ物を冷蔵庫にしまい込んで腐らせている金持ち」というような行動です。

■ 仏・伊方式に活路がある

――マネー資本主義に毒されているのは、米国も同様に見える。日本が参考にすべき国はあるのだろうか。

 資源もないのに日本に対して貿易黒字のフランスやイタリアに注目しています。両国とも日本人ほど働いているという話は聞いたことがないのに、日本の方が赤字です。彼らが売り込んでいるのは、ブランド衣料宝飾品に加えて、田舎の産品であるワイン、チーズ、パスタにオリーブオイルなどです。ハイテクではなく、デザインと食文化を売っている。日本だって、里山の恵みをもっと生かして、同じような路線を追求できるはずです。

▽もたに・こうすけ 1964年生まれ、山口県出身。東大法卒。日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)を経て、日本総研調査部主席研究員、日本政策投資銀行地域企画部特別顧問。「デフレの正体」など著書多数。

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/153666 


07. 2014年10月27日 02:42:53 : QBrYpzDGwo
  実際に、アベノミクスが効果を上げている様子が無いので言われても仕方がないのではないか。何と言っても彼らが自費を投入して頑張ってくれているのではなく、他人の金、つまり国民から徴収した税金を全面的に使用しているのだから、国民納税者としては当然ながら、金も出すが口も出す。租税国家であり、国民代表議会制度である以上、政府への批判は避けられない。
   また、都合の悪いときには欧米を参考にする意見についてクソみそで悪態を付くのが、都合が良いとなるとフランスでは、イタリアでは、と息まく。
   それにしても、原発の数は米国と比較しても異常である。米国の25分の一しか国土面積が無いのだから米国の100基と比較すれば日本は4基で充分だ。それを54基も植え付けて平然としている者の気が知れない。
   また、欧米先進国の人口と比較しても、戦時の産めよ増やせよが影響し狭い国土に一億人を超えている。大量生産、大量輸出で稼げた時は良いが、それが衰退してくれば今度は一億人を喰わせなければならない。
   批判だ、クレームだ、などと悪態を付かずにそれこそ一億人の知恵を結集しなければならない。アベノミクスだなどとネーミングばかり付けて輪転機を回しても、ドルにマネーロンダリングされて軍需産業に流れるばかりなのだろう。
  政財官の護送船団が変なプライドを捨て、国民納税者の声に真摯に耳を傾ける気にならなければどうにもならないのである。

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