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「知的財産権の種類と保護の仕組み」(「経済産業省HP」より)
ネットやビジネスで横行するパクリ問題、著作権侵害成立しない?損害賠償の対象に?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141025-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 10月25日(土)6時0分配信
今月、青色発光ダイオード(LED)開発への功績が認められ、中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授がノーベル物理学賞を受賞したが、その報道において、その中村氏と元勤務先である日亜化学工業の間で過去に繰り広げられた特許権をめぐる法廷闘争がたびたび取り上げられ、再びクローズアップされている。
この特許権を含む知的財産権(以下、知財)とは、モノに対して個別に認められる財産権とは異なり、アイデアや表現、技術などかたちのないものの権益を保証するために与えられる財産権であり、著作権をはじめ、特許権、実用新案権、商標権、肖像権などがある。知財はそれを生み出した人や組織の財産として、第三者が許可なく勝手に使えないよう持ち主の権利を一定期間保護するようにしたルール、知財制度が整備されている。
例えば、新機能を備えたパソコンの生産方法など独創的なアイデアや新しい技術は「発明」と呼ばれ、特許法によって保護される。日用品の改良工夫などの小発明は「考案」と呼ばれ、実用新案法で保護される。工業製品のデザインは意匠法、企業のブランド名や商品のネーミングなどは商標法によって保護される。そして、音楽や絵画・小説などは著作権によって保護される。詳細は経済産業省のHPに掲載されている「知的財産権の種類と保護の仕組み」を参照いただきたい。
日本は特許権侵害などの訴訟において、審理期間、判決の正確性・信頼性のいずれについても高い水準にあるといわれているが、具体的にどのような事例が特許権の侵害に該当するのであろうか。
【事例1】
大ヒットして映画化もされた人気小説と、時代背景や登場人物の相関関係、ストーリーもほぼ同じだが、登場人物の性別や性格、細かい物語の展開などは微妙に違うマンガ。
【事例2】
大ヒットして映画化もされた人気小説をパロディ化したマンガ。時代背景や登場人物の相関関係、ストーリーは違うが、登場人物や展開などは原作のパロディであることがわかる作品。
この場合、事例2が違法で、事例1は合法になる。一般的には違和感が残りそうな判断だが、著作権法制度の趣旨はあくまで「表現を保護」であり、従って表現の基となる「着想」や「アイデア」は著作権保護の対象外なのである。他人の著作を基にしていることが明らかな「盗作」であっても、著作権法上は問題とされない一方、風刺やパロディなど、異なるコンセプトで他人の著作物を利用した場合は著作権侵害に該当する。
●法のあいまいさを突く事例も
しかし、どこまでが「アイデア」で、どこからが「表現」なのかの線引きはなかなか難しく、ビジネスにおいても、そのグレーなゾーンを突いている事例も多い。
【事例1】投資スクールのテキスト
・加害者:お金の学校
・被害者:トレードイノベーション
お金の学校の代表者は、もともと生徒としてトレード社の講座「株の学校123」を受講していた人物だ。お金の学校を立ち上げ、「2年で1億円!片手間副業で毎月300万円 株式投資錬金術」という情報商材を「通常価格50,000円、特別価格29,800円」で販売するに至った。ちなみに、サイト上において、当該価格での提供は「本日より3日間限定とさせてください」と記載されているが、2013年10月以降、ずっと「特別価格」が続いている。
筆者はお金の学校で使用されていたテキストを入手し精査したところ、前出のトレード社の講座のテキスト内容に酷似した部分、もしくは内容をそのまま引用し、数値を入れ替えた箇所が多数存在していた。この場合、法的には「内容に関して既存著作物に依拠して作出された『依拠性』が認められ、利用著作物と既存著作物における表現が類似している点で『類似性』が存在しているものと認知され、著作権侵害が成立する」と考えられる。ちなみにお金の学校は投資助言業者の資格を保持していない(弁護士の見解は後述参照)。
本件についてお金の学校に対し「類似箇所について関係者の許諾は得ているのか」との問い合わせを行ったところ、「自らのオリジナルをつくり、テキストに記載したつもり」との回答を得た。
【事例2】スキンケア商品の通販サイト
・加害者:デオプラスラボ
・被害者:HLJスキンケア
HLJは同社サイト上で体臭防止用のデオドラントクリームを販売し好評を博していたが、デオプラスラボがそれに似たサイトを立ち上げたのである。色調から構成、表記などがいかにも似ており、同じ会社が出しているように見えるくらいである。デオプラスラボは同サイト上で、「ワキのエステ デオプラスラボ」という商材を「定期コース5,780円」「単品コース7,980円」で販売しているが、内容構成はHLJのサイトの内容をそのまま引用したり、数値や表現を入れ替えたのみの箇所が多数存在したりすることが確認されている。具体的には、次のような箇所である。
(1)「定期コース」と「単品コース」を分けて販売する手法
(2)特典として情報冊子を提供する手法
(3)「悩み」「不安」のチェックリストを掲示する手法
(4)「外側」と「内側」からのケアを「習慣」と表示する手法
(5)「定期コース」限定の特典を用意する手法
(6)「返金保証」を用意する手法
(7)全体的にピンク系統色を用いたページデザイン、および構成
以上から【事例1】と同様に「依拠性」「類似性」という点において著作権侵害が成立する可能性が高いと思われる。筆者はデオプラスラボに取材を申し入れ、さらに事務所へも訪問したが応答はなく、返答は入手できなかった。ちなみに、連絡がつかない時点で特定商取引法に抵触する可能性がある。
【事例3】万引き防止監視システム
・加害者:NECソリューションイノベータ
・被害者:リカオン
両社ともに訪問者の顔認識機能をデータベース化して万引き被害を未然に防ぐシステムを販売している。リカオンのシステムは今春より多くマスメディアにも取り上げられる機会が増え、注目を集めている。この動きを受けてか、 NECのサイトが8月末にリニューアルされたのだが、サイト全体の構成や、説明表現がリカオンに酷似しているのである。特に似ている部分としては、以下の点が挙げられる。
(1)万引き防止、常習犯対策に有効に使えるという記述
(2)画像データ保存に関する記述
(3)スマホアプリに関する記述
本件についてNECに問い合わせたところ、回答は得られなかった。
これは意図的な引用なのか、それとも同様のサービスであれば自然と似てしまうものなのだろうか。ベンチャー企業の動きに感化されて大手企業も動き出すということであれば、市場も刺激され活性化し、そういった将来性のあるベンチャーを買収するといった手段もあるはずだ。にもかかわらず資金力も人材も豊富なはずの大企業のやることが「意図的な類似表現」だとすれば、それは営業妨害にほかならない。
●損害賠償の対象となる場合も
新技術開発の活性化や技術革新促進の観点からも、知財の侵害をより厳しく取り締まる仕組みが必要といえるが、特にウェブサイトにおける盗用まがいの行為は、果たして著作権侵害に該当するのであろうか? 弁護士法人アヴァンセリーガルグループ執行役員の山岸純氏は次のように解説する。
「当事務所の知的財産部門にも、ウェブサイトに関する『マネた』『パクられた』といった法律相談が多く寄せられます。特に傾向といえるほどではありませんが、こうした問題は、いわゆる健康食品関連や美容関連のウェブサイトに多く発生しているようです。
実はこの『ウェブサイトのパクりの問題』は、知的財産権の一つ、著作権侵害が認められるか否かという問題に集約されるのですが、残念ながら他のウェブサイトを真似ることで著作権侵害が成立することはほとんどありません。そもそも、著作権とはある人の考えや感情といった精神的な活動を創作的に表現した文芸、美術、音楽といったものに発生します(著作権法2条参照)。しかしながら、ウェブサイト上の商品やモデル、キャッチコピーの配置や色合いで構成されるレイアウト自体は、精神的な活動を創作的に表現したものとまではいえず、アイディアや手法といったレベルのものに過ぎないことから、いくら、このようなアイディア、手法が真似られても、著作権侵害は成立し得ないのです」
だが、山岸氏によれば、ケースによっては損害賠償の対象となることもあるという。
「もちろんこの問題がまったくの野放し状態にされているわけではなく、場合によっては、不正競争防止法2条1項1号が規定する不正競争として損害賠償の対象となり得ます。同条は、他人の商品の表示として世間に広く知られている表示(例:商品のパッケージやウェブサイトなど)とまったく同じ、またはよく似ている表示を使用したりして、その表示を使用した商品を販売することなどを不正競争と定義し、さらに、既存の顧客を横取りしようといった不正の目的がある場合には、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金といった刑罰も科しています。
もちろん、不正競争として損害賠償の対象となったり刑罰の対象となるには、前述のとおり、世間に広く知られている、まったく同じ、またはよく似ている表示、不正の目的といった諸条件が揃わなければなりませんが、ウェブサイトのパクり問題は、決して軽い問題では収まらない事件に発展する可能性を孕んでいることに十分注意しなければなりません」
軽率な盗用行為は、大きな社会的制裁を受ける事態を招きかねないことを肝に銘じておく必要があるといえよう。
文=新田 龍/株式会社ヴィベアータ代表取締役、ブラック企業アナリスト、協力=山岸純/弁護士法人アヴァンセリーガルグループ執行役員
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