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景気、後退局面入りの可能性 政府公式見解と景気循環が示す不安なシグナル
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141024-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 10月24日(金)6時0分配信
17年ぶりに実施された4月の消費増税のあおりを受けて、日本経済の先行きを危ぶむ声が強まっている。直近の各種経済指標を見ても、物価こそ日本銀行の思惑通りに上昇しているものの、一方で雇用者の実質賃金は前年同月比マイナスが続いており、経済成長の主軸となる個人消費が盛り上がるには厳しい環境となっている。
政府の円安誘導にしても、目標とする国内企業の輸出増加にはつながっておらず、かえって原材料費の高騰を招く円安デメリットが増幅する気配さえ生じている。すでに基礎体力の乏しい中小企業では、少なからぬ影響が生じている。各経済団体からも円安けん制の発言が相次いでおり、例えば日本商工会議所の三村明夫会頭は「1ドル107円1は、やや行き過ぎ」と語っている。
実際に経済の現場でも、アベノミクスに浮かれたひと頃のような楽観論は鳴りを潜めつつある。
「都心の好立地のマンションでも、今年下半期以降に販売を開始したものは売れ行きが振るわない。昨年の今頃には募集を開始するとすぐに完売ということも珍しくなかったのだが、今はいつまでも募集をかけている」(都心の不動産仲介業者)
「高額品の消費は一巡してしまった印象を受ける。結局、富裕層や財テク長者だけの“点の消費”にとどまり、より幅広い層まで広がる“面の消費”にはつながらないのでは」(専門店経営者)
揺らぎが目立つ指標の中で唯一好調といえそうなのが、9月後半に入って1万6000円台を回復した日経平均株価だが、10月に入り下落基調が強まり、14日には東京株式市場は約2カ月ぶりに終値が1万5000円を下回った。株価についても関係者の間ではさめた見方が多い。
「ここまで政府と日銀が全面支援をしても、小泉政権時代にさえ及ばないのかとやや失望している」(証券営業マン)
確かに現在とは逆に緊縮財政を行い、異次元緩和にも踏み込まなかった小泉・安倍第一次内閣の時代でも、平均株価は1万8000円台まで上昇している。ベテランの個人投資家は、先行きについてさらに懐疑的だ。「新規投資をするよりも、利益確定の時期に入ったと考えている。あのソニーが大幅赤字、無配に転落するくらいでは、先は知れている」
●不安なシグナルを示す政府公式見解
個別の指標ばかりではなく、景気循環や過去の景気回復局面との対比からも、アベノミクス景気の持続性には疑問符がつくようだ。
内閣府の基準によれば、今回の景気回復は2012年12月に始まっており、はや2年近くになる。戦後の景気回復(拡大)局面の平均月数は33カ月であり、まだ余裕はあるように思われるが、今回については短命に終わるとの見方がある。その理由は、今回の景気回復局面の前の景気後退局面がイレギュラーであったからだ。
「直近(前回)の景気後退はわずか7カ月で終わった。期間として戦後2番目に短いものであり、不況が経済にもたらすリセット効果(企業の過剰在庫の調整、衰退企業の淘汰など)が十分に働かなかったことも考えられる」(銀行系エコノミスト)
さらに政府の景気の現状に対する公式見解である月例経済報告にも、不安なシグナルがともっている。月例経済報告は景気全般の傾向を基調判断としてわかりやすく示すことで知られているが、過去3回の景気回復(拡大)から後退局面の推移を調べると、ひとつのパターンがあることはわかる。同じ表現が3カ月すなわち3回以上続いた後に、弱めのものに変わると、その時点ですでに景気は天井を打ち、景気後退局面に入っているのだ(下表参照)。今回もまた今年1〜3月に「景気は緩やかに回復している」と連続して同じ表現がなされている。また直近の9月の基調判断に用いられた「一部に弱さが見られる」等の表現が用いられた時には、過去3回とも景気後退は本格化している。
日本経済は今、景気回復と後退の端境期に直面している可能性もあり、各種経済指標に注視が必要といえよう。
【過去3回の景気後退局面と基調判断】
・2000年11月(景気回復の天井):全体としては緩やかな改善が続いている
→同12月:前月と同じ
→01年1月:前月と同じ
→同2月:景気の改善はそのテンポが緩やかになった
・08年2月(景気回復の天井):景気はこのところ回復が緩やかになっている
→同3月:景気回復はこのところ足踏み状態になっている
→同4月:前月と同じ
→同5月:前月と同じ
→同6月:景気回復は足踏み状態にあるが、このところ一部に弱い動きが見られる
・12年4月(景気回復の天井):厳しい状況にあるが緩やかに持ち直している
→同5月:復興需要を背景に緩やかに回復している
→同6月:前月と同じ
→同7月:前月と同じ
→同8月:景気はこのところ一部に弱い動きがみられるが復興需要を背景に緩やかに回復している
島野清志/評論家
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