04. 2014年10月27日 07:14:40
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「駐車場の上」から、不動産の常識を変えていきたいフィル・カンパニー 社長兼CEO 高橋伸彰さん【後編】 2014年10月27日(月) 古市 憲寿 (前回から読む) 古市:いろいろな会社の立ち上げを手伝っていた中に、家具会社の「駐車場の上にショップを作りたい」というアイディアがあった。 高橋伸彰(たかはし・のぶあき) 株式会社フィル・カンパニー 代表取締役社長CEO 1977年、長野県生まれ。一橋大学商学部経営学科卒。オリックス、会計事務所などを経て、2005年6月にフィル・カンパニーを設立。駐車場を活用した「空中店舗」開発で注目を集めている。米国公認会計士資格を保有。(写真:大槻純一、以下同) 高橋:私自身もお店をやりたいと思ったことがあったし、場所借りをした経験もあるんですが、場所を借りるのは大変です。だけど、借りないと何も始まらない。場所があることで楽しいことが増えていく。場所を探している人っていっぱいいるはずなんですよ。そう考えると、駐車場の上って確かにもったいないなあ、と。
何もないところが収益を生むスペースになる。これは絶対に面白い。やる価値はある。それで、ベンチャー支援のポータルサイトのほうの会社を休眠させて、スタートすることにしました。 古市:休眠させた会社はうまくいってなかったんですか。 高橋:いえ、むしろそっちはうまく回りそうな感じでした(笑)。 古市:でも、駐車場の上の空中店舗のほうにさらなる可能性を感じた。 高橋:そうですね。このビジネスモデルは絶対に成功する、成功させたいと思いました。 古市:ベンチャー支援でつきあっていた他のクライアントは、もともと高橋さんたちの関係者が多かったですか。 高橋:そうですね。20歳くらいの頃、ベンチャーブームで失敗した仲間同士というか。何かをやりたい仲間たちのつながり。みんな金はないけど元気はある、みたいな。 古市:なるほど。フィル・カンパニーの設立は2005年6月ですね。 3カ月で結果を出す! 高橋:フィル・パーク事業をやろうとした、私ともう一人のメンバーとで資本金は1万円で、運転資金を50万円ずつ、計100万円を元手に3カ月、まずはやってみることにしました。2人にとって生活費だったんですけれど、でも、空中店舗という面白そうなビジネスをまずはやってみよう、うまくいきそうもなかったら撤退すればいいのだから、と。 古市:3カ月で結果を出すって短すぎないですか。 高橋:そうですね。結局、3カ月では結果は出なかった。何も建たないまま100万円がなくなりました。考えてみれば、資本金1万円の会社で空中店舗といういくらかかるかよくわからない建物を建ててみようなんていう人、いないですよね。誰も協力してくれなかった。 ただ、いろいろなメーカーさんをまわった中で、あるアルミメーカーさんが「面白いね」と興味を持ってくれまして。「興味を持ってくれる人はやっぱりいる。ならば、建物自体はいつかきっと作れる、あとはやってみたい人を探せばいいんだ」と考えた。 そうこうしているうちに、パートナーの知人が働く会社の土地がたまたま10坪あって、車1台分のスペースを半年だったら借りてもいいという話が出たんです。3カ月でここまではいったんですね。 古市:それで? 高橋:一つ建てられれば、ベンチャーキャピタルからも投資が下りるだろうし、事業内容は絶対にいいはずだからと信じていましたが、反対する人が思った以上に多くて。 古市:反対? どんな反対があったんですか。
高橋:建物というのは「とにかく大きく、長期的視野に立ってどーんと造るもの」、という常識があるんですね。建ペイ率や容積といった建築条件を最大限使う建築です。駐車場の上部空間を暫定的に活用するとか、10年間限定で使用するといった発想がわかってもらえないし、そんなムダなことをなぜするのかと、よく言われました。 我々はすでにある駐車場の上の空間をどう活用するかという話、皆さんは造ったら売るのが当たり前という話。 古市:なるほど。でも、そんなにいろいろ批判されて不安にはならなかったですか。やっぱり無理かなあ、って。 高橋:何度も不安になりました。とはいえ、絶対にいいと思うよ、と応援してくれる人もいますし、私にも根拠なき確信がありました。 古市:借りたい、という人はいっぱいいるはずですよね。 かっこいいけれど焦熱地獄のオフィス 高橋:ええ、そうなんです。駐車場は調べてみたところ、日本に10万カ所以上あるんですよ。コンビニエンスストアが今5万店ぐらいですから、その倍です。しかも、まだ増え続けている。都内だけでも3万カ所あると言われています。 場所があって、活用したい人がいる。あとはそれでお金を回せるかどうか。ビジネスとして回るシステムを確立すれば成功するはずだ、と。私は建築や不動産知識のかけらもない人間でしたが、「あったらいいな」と心底思える事業だった。 古市:そうですね。言われてみれば、本当に「あったらいいな」ですね。で、結局、3カ月の最後に出てきた1個はどうなったんですか。 高橋:この案件に1000万円ほどかかりそうだったから、とにかく1000万円を集めようとアルミメーカーさんやいろいろな知り合いに頼んでかき集めました。 古市:そういえば、そのアルミメーカーはもともと知り合いだったんですか。 高橋:いえ、飛び込み営業です。アルミって軽いし、キレイだし、再利用もしやすい素材なんですが、鉄の3倍も高価な素材で、そのアルミをどう売っていくかチャレンジされていました。そのタイミングだったのでご支援いただけたのだと思います。それで、「アルミとガラスを使って、カッコイイ弊社のショールーム兼オフィスにしよう」という話になりました。今は解体してしまいましたが、第1号物件の「フィル・パーク八重洲」です。 古市:わあ、かわいい規模のおしゃれな建物。車1台分くらいかな。その後の物件と比べるとずいぶんシンプルですね。
高橋:そう、かわいい規模ですが、とにかく1個作ってみようということで。 古市:でも、あの…これ、夏は暑そうですね…。 高橋:おっしゃる通り、夏がめちゃくちゃ暑かったんですよ! 我々は建築がよくわかっていないから、とにかく目立たせよう、かっこよくしよう、とトイレ以外は全面ガラスにしたんですが、2006年3月に竣工して4月ぐらいでもう、全員日焼け(笑)。オフィスにいるのが罰ゲームのようで、電話番で1人だけ残ってあとはスタバに避難して仕事していました。屋根の大切さを身を持って学びましたね…。夏は葦簀を上に置いて「海の家バージョン」とか言ってみたりしたんですが。 古市:どれくらいオフィスとして使ったんですか。 高橋:初めは半年間という契約でしたが、期間延長させて頂いて1年半使っていました。 古市:そのお金を出してくれた人たちの動機はなんだったのでしょうね。 高橋:会社に対しての投資。いつか大きくしてね、という。 古市:エンジェル投資家のような感じですか。 高橋:ええ、そうです。資本金は1万円でスタートして、100万円、1000万円と増えていき、1年半で3460万円となりました。 古市:資金調達は順調でしたか。 賃料ベースで2割は安くできる 高橋:3460万円までは10万円ずつ、小中高大の友人、サラリーマン時代の先輩なども含めて、多くの人に少しずつ出していただきました。出せなかったら物件を借りてください、飯おごってください、とお願いしました。絶対にハッピーな事業で世の中を変える可能性があります、私たちは命がけで取り組んでいますから信じてください、大変な時も応援してください、と。
古市:へえ、すごいなあ。2006年11月竣工の2軒目の「フィル・パーク赤坂」はぐっと大きくなりましたね。ここもおしゃれ。屋根はちゃんとあるし(笑)。 高橋:2軒目は飲食店でやってみたいと考えました。東松山の焼きとんのお店が赤坂で3年間限定の店を出してくれました。アメリカ大使館のすぐ前。 古市:フィル・カンパニーはどこからお金をもらって、どう儲ける会社なんですか。 高橋:最初は建てた物件を弊社で所有していましたが、今は土地の所有者に建てていただいて、弊社が借り上げたり、管理したり、運営をお任せいただいています。フィル・パークを作る企画開発収入、完成後の運営管理収入が主な収益源です。 古市:始める前にはいろんな反対にあったけれど、結局、順調に広がったのですか。 高橋:最初の5年間は苦しい状態でした。1件造るたびに赤字が増える時期もありましたし。(注:現在約50軒:建築中含む) 古市:えー、それでも諦めなかったのはなぜですか。 高橋:数が増えていけば、皆さん、わかってくださると信じていました。最初はロゴマークを営業資料がわりに持って駐車場の上でやらせてください、と営業して歩いたんですが、資本金1万円の会社はなかなか信用してもらえない。まして、土地を持っている方ってお金持ちが多いですが、資産活用や土地活用について様々な営業提案を受けているし、私たちもそれらの数ある業者の一つだと思われていました。過去にそれらの業者とトラブルになった、という方もいらっしゃいますので、すぐに信頼を得られるとは最初から思っていませんでした。 高橋:だから、不動産や建築業界には縁も所縁もない人たちが集まって、業界特有の常識を変えていこう、地道に着実にフィル・パークを増やしていこう、と。苦しい時期でしたが、こういう店舗がやりたい、といった人たちがたくさんいることも実感できていたので、諦めずに続けられたんです。 古市:今、社員は何人ですか。 高橋:非常勤を合わせて20人です。 古市:リクルーティングはどのようにしましたか。 高橋:知り合いを通じて、この事業を面白いと思ってくれている人を集めました。 古市:普通の不動産屋さんから店舗を借りるのと比較して、どれくらい安くあがるんですか。 高橋:テナント賃料は概ね2割程度は削減できています。賃料は周辺相場だけでなく、建物の付加価値で決まっています。建築コストを下げることでそれに比例して賃料も下げていくことが出来ますので、建築コストにも拘っています。建物はお金をかければ誰でも良いものは造れます。でも、私たちはガラスと鉄骨の骨格だけの状態が基本です。いかに早く、安く、かっこいい空間を造るかを追求しています。 地主さんによっては町おこしの一環として考えていらして、家賃がどうこうよりも、ここにどんな業態が来ると商店街を活性化できるか、地域を盛り上げてくれるか、そういうテナントさんを呼んでくれないか、と相談されることもあります。 後追いもあるが、なかなかうまくいかない 高橋:駐車場にしているということは、何か理由があって駐車場になっている場合がありますから、その理由を解決してさしあげるケースもあります。暫定的に駐車場にしているだけで、その場所に合うビジネスが展開できるならしたい、という地主さんも少なくない。 古市:営業をかけるのはコインパーキング運営会社ではなく、地主さんですか。 高橋:今はそうです。最初は駐車場運営会社との業務提携ケースもあったんですが、駐車場会社さんが全部の意思決定権を持っているわけではない。結局、地主さんとお話しできるかが要点です。それと、営業をかけるといっても、現在は紹介か直接地主さんからお話をいただくスタイルで、地主さんに飛び込み営業といったことはしていません。 古市:実際にはどういう流れになるんでしょう、たとえば「青山に5台しか入っていない駐車場があるけれど、ここにこんなショップを呼べないですか」、といった話がくるんですか。 高橋:そういうのもありますし、駐車場をお持ちの方は弊社のビジネスを知ると必ずといっていいほど興味を持ってくださる。駐車場だけやっているのはもったいないと感じている方は多いです。ですから、何かで知ったという地主さんから直接お問い合わせを多くいただきますし、人づての紹介もどんどん増えています。よくあるパターンは、金融機関、税理士さんや弁護士さんなどからの紹介ですね。信用金庫さんは商店街の活性化というテーマがあるので、特に。 古市:なるほど。街を活性化したい地主さんとそのお金を預かる信用金庫がセット。 高橋:地元のお金を預かる信用金庫さんが、地元で何かお店をやりたい人に貸して、という流れに弊社のビジネスモデルはぴったりなんです。 古市:地主さんからすれば節税対策にもなりますもんね。 高橋:そうですね。 古市:アイディアをマネしようとする会社は出てこないんですか。 高橋:いっぱいいましたよ。でも、事業としてうまくやっている会社はないですね。 古市:なぜ他はうまくいかないんですか? 高橋:「駐車場経営とテナント経営」、「地主とテナント」が共存できるように企画して、設計、建築を行うのは難しいんです。駐車場の駐車台数を最大限確保するための柱の配置や、空中店舗への導線、テナント賃料設定、投資回収期間の短縮化など考慮すべき点がたくさんありますから。 なぜ駐車場にこだわるか 古市:素朴な質問ですが、1階部分は入居テナントがいて、貸し出す期限を切った形で3年なり5年なりが確定されていれば、必ずしも駐車場でなくでもいいんじゃないですか。
高橋:そこはやはりキーとなる部分ですが、なぜ駐車場になっているかといえば、駐車場は空室リスクがないことなんです。テナントは入退去が起こりますが、退去状態が続くと賃料収入が絶えることになります。しかし、駐車場ではそれはありません。また、コインパーキングは場所によってはお店に貸すよりも収入が高いケースがあります。特に東京23区内や地方都市の中心部ではその傾向があります。 古市:ああ、なるほど。管理も楽ですしね。 高橋:100円パーキング、なんて書いてあるとそんなに儲からなそうに感じますが、リーマンショック後や不動産不況も関係なく、ずっと伸び続けているビジネスです。そういえば、コインパーキングって日本発のビジネスモデルだってご存知ですか。 古市:へえ。それは知らなかったです。でもそれは、ちゃんと満車になれば、という話ですよね? 高橋:もちろんそうです。だけど、こんなに駐車場があっても日本ではまだ足りないと言われているくらい。場所がないのに車は多く、人が行く場所も集中していますからね。 古市:駐車場として人気のある場所、ない場所、両方あると思いますが、出店に関しては人気のある場所だけでやる、というわけではないんですよね。 高橋:はい。弊社は、その場所で借りたい人がいるか、という視点で造りますから、借りたい人がいて、地主さんもやる気があれば、ということです。 最終的には「来月、ここに」を可能にしたい 古市:フィル・カンパニーを始めてもう9年以上経っていらっしゃいますが、それまではいろいろやっては、結構短期で辞めている。そろそろ飽きてきたりしていませんか。 高橋:ははは。まだ道半ばなので。 古市:道半ば? 高橋:この事業に関しては、スタート時点で、これを100個200個造ったってしょうがない、と思っていました。駐車場の数だけ面白いことができるし、少なくとも1000個くらいはやらないと面白みがない。初期は地主さんを見つけるのもテナントさんを見つけるのも大変だったし、建築コストにも苦しみましたが、やればやるほど良くなっていっている。 追求していけば、おもちゃのレゴみたいな建築システムを作れると思うんです。欲しい場所に欲しい価格ですぐにカチャカチャカチャと組み立てて造れるようになる。現在、フィル・パークの標準的な工期は3カ月ですが、もっと早めたい。 古市:早いですね。 高橋:建物がそんな短期間でできるってすごいことです。でも、それをもっと早く、最終的には「来月、このあたりの場所にこういうのを建てたい」という依頼があったら、希望の空間が1か月ぐらいで配送される、といったことも可能になると思う。コストも徹底的に抑えた形で普及していけば、その建物を安価で貸すことが出来るようになり、チャレンジをしたい方たちを増やすことが出来るようになります。
ちなみに、家の値段ってほとんど変わっていないでしょう。今まで日本人は住宅ローンを返済し続ける人生みたいになっていたけれど、最近の若い人は家を買うっていう感覚、あまり持っていないんじゃないですか。 古市:そうですね。賃貸派も多いですね。 高橋:所有より使用、という感覚があるように感じます。所有することでそこから動けなくなり、それがリスクと考えているのかもしれません。一方で、ヨーロッパでは、住宅は適切なメンテナンスを行うことで3世代に渡って住み続けることができます。住宅ローンの返済のために働き続けることが前提ではないので、豊かに生活できるというケースもあると思います。 自分の幸せのために、世の中を楽しく 高橋:つまり、それだけ、不動産とお金の問題は人生において避けて通れないもの。生きているなかで本当は他にやりたいことがあったとしても、やりきれなくて、家のために時間や労力をムダにしている可能性がある。その問題を解決する仕組みとしても、駐車場の上から何かできるかもしれない。 古市:そういえば、シェアハウスの物件もありますね。 高橋:そうですね。既に、店舗だけでなく住宅としての活用も始めています。他にも、新しいテーマは常に探しています。ホテル業態もやってみたいと思っているんですが、見に行った土地が細長くて暗い場所。ちょっと難しいかなあ、と思ったら、カプセルホテルならむしろそういう場所がいい、と教えていただいて、光が入らないほうがいい業態っていうのもあるのか! と、新たな発見でした。 古市:高橋さんの原動力は何ですか。新しいことを始めるのが好きなのか、社会の役に立ちたいのか。いろいろあるとは思いますが。 高橋:本音を言うと、自分が幸せになりたい。その自分の幸せの中に、自分が楽しいと思える店が増えたらうれしいな、というのがある。このビジネスで賃貸料が下がれば、楽しいと思える店が世に出る手助けができるかもしれない。 高橋:自分が気に入ったものがどんどん増えたらうれしいし、自分が好きな人が幸せに暮らしてほしい。そういう人が増えていけばいくほど、掛け算的にもっと世の中楽しくなる、だから働く、という感覚ですね。 古市:尊敬する起業家はいらっしゃいますか。 高橋:松下幸之助さん。一度お会いしてみたかったです。 古市:急にオールドエコノミーですね(笑)。 高橋:ははは。人間くささに惹かれます。発言を読むと、純粋に自分も含めて幸せな世の中を作っていきたいと思っていて、結果あのような大企業になった、という感じがする。少なくとも正直な生き方をして、周りも幸せにしながら突き進んで、亡くなられたと思う。 「元気があれば何でもできる」!? 高橋:あとはアントニオ猪木さん。あの突き抜け感がすごいから。 古市:えっ、起業家として? 高橋:起業家というより今は政治家ですよね。「元気があれば何でもできる」、という彼のフレーズは誰も否定できないでしょう。 古市:確かにそれは誰も否定できないですね。今日はいろいろとお話を聞かせていただき、ありがとうございました。 高橋:こちらこそ、ありがとうございました。 (中沢明子:ライター/出版ディレクター、本連載取材協力・構成) 高橋さんの毎日のバッグはトゥミのリュック。 バックパッカーズジャパンの本間さんから紹介された高橋さん。しかし、ふたりの雰囲気は結構違った。高橋さんは、なんていうかきちんとしたビジネスマン。確かに、主に若い外国人観光客を相手にする本間さんと違い、こちらの仕事は不動産関係。年配の地主さんと仕事をすることも多い。 だが話を聞いていけば、高橋さんの人生は決して一筋縄ではなかったことがわかった。元旅人。メキシコからポンチョを仕入れて売っていたこともある。大学時代に仲間と企ててうまくいかなかった起業や、ポンチョにまつわる失敗や、ひとつひとつのエピソードが面白い。とても今の真面目な雰囲気やスマートなビジネスモデルからは想像できない。 起業は何も人生で一度だけのものでもないし、一度うまくいかなかったからといって、それで全てを失うわけでもない。そんな一筋縄ではいかなくて、紆余曲折を経るところまで含めて、高橋さんの旅人人生は、まだきっと続いている。 (古市 憲寿)
このコラムについて イマドキの社会学者、イマドキの起業家に会いにいく かねてから「起業家」という存在に興味を持っている。よく世の中では起業家というと、お金にがめつくて、野心にあふれて、独立心の強い人だなんてイメージが持たれたりする。一方では最近、社会起業家だとかチェンジーメーカーも注目を集めている。彼らの人柄にも興味はあるけれど、できるだけ起業家と社会の関係を明らかにするような話を聞いてみたい。 http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20141022/272896/?ST=print |