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企業はなぜ官僚化・硬直化する?どう診断?組織が社員に否定的発言を強制するメカニズム
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141023-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 10月23日(木)6時0分配信
日本企業における組織変革のヒントはどこにあるのでしょうか。そのヒントをお届けします。
さて、組織変革のヒントを見いだすためには、まず組織の官僚化の度合いを測定することから始めます。筆者は経営コンサルタントとして、新しいクライアント企業から仕事の依頼を受けた時や、クライアント企業の新しい部門で仕事を始める時などに、経営者や事業責任者、キーパーソンにヒヤリングを行ないます。また、討議会のファシリテーションを行ったり、あるいは社内の経営会議などに同席させていただく機会があります。
そこでの感触から、どの程度硬直的な組織なのかを測定するのですが、その際に実行していることがあります。それは一人ひとりの、一つひとつの発言に着目して、それぞれの発言内容を以下の3つに分類していくのです。
・「P」:Positive
・「N」:Negative
・「I」:Interesting
筆者はこれを「PNIの法則」と呼んでいます。クライアント企業から「我々の組織は外部から見るとどう見えるのか? 組織は硬直化していないか? その度合いを診断してほしい」と依頼された場合、会議に同席して出席する社員の発言をホワイトボードに書き出し、それぞれの意見に「P」「N」「I」の印を付けて数を数えます。
すると、多くの日本企業では「相手の意見に対して否定から入る」「相手の意見を潰していく」「相手の意見に対して『でも』と切り返す」など、「N」が6〜7割ぐらいを占める結果となります。続いて、「相手の意見を肯定する」「相手の意見を受けて自分の意見を修正する」「前に進めるための方策を示す」など「P」は2割程度、「相手の意見を発展させる」「新しい意見を発案する」「複数の意見を組み合わせて新しいアイデアを出す」などの「I」が1〜2割ぐらいという比率だ。
この比率は、日本企業の標準的な姿ではないでしょうか。「N」発言が突出しており、欧米企業とはかなり対照的な状態にあります。
「PNIの法則」で会議中の発言を分類すると、その企業がどの程度硬直的なのか、官僚的なのかがみえてきます。ではなぜ組織は「ダメ出し」は得意だが、「アイデア出し」は苦手な硬直的・官僚的な状態になってしまうのでしょうか。
●組織がネガティブな発言を誘発
その原因のひとつとしては、組織の過去の成功体験や先人の手掛けた方法を変えられないという点が挙げられます。ですから、これまでとは異なる意見や、現状を変えていくような意見に対して、反射的にネガティブな反応をしてしまうのです。先例や慣習が金科玉条のごとく、組織の中で幅を利かせているため、組織が人にネガティブ発言を促してしまうのです。
さらに、相手の発言に対して肯定ではなく否定から入る傾向には、組織階層による違いが見いだせます。新入社員は希望に燃えているのでポジティブな意見や突飛で新しい意見が多いが、その組織で10〜20年と過ごした中間管理職になると、できない理由ばかりを探すようになってしまいます。一方、経営トップに抜擢された人は、困難を乗り越えてやり抜く道筋を見つけようとしてポジティブな意見を求めてくるのです。
この違いは一体、何によって生じるのでしょうか。
一人ひとりの社員をみると決して消極的でもなく、ネガティブでもなく、一生懸命に自分の職責を果たそうとしています。個々一人ひとりとしては、決して新しい意見を求めていないわけでもありません。
過去から現在まで成長してきた組織が、社員一人ひとりに対して、過去を肯定する思考や発言や行動を促し、その意味を深く考えない社員を増殖してしまうのです。その結果、現状を肯定し、変革を否定するネガティブな発言を組織が誘発しているのです。人がつくり上げてきた組織が、社員の思考や発言や行動を規制してしまっているのです。ここに問題があります。
第三者からみて官僚化・硬直化した組織では、社員が、実は自分の発言や行動に問題があることに気付いているにもかかわらず、その発言や行動を行ってしまう傾向が強いのです。中間管理職で多くみられるのは、深く考えずに惰性や慣性に従って仕事をしてしまうケースです。中間管理職になると、新しい事業や斬新な方法への着手を表明すると、部下や上司、他部署をはじめ多くの社員を説得しなければならなくなります。そこに多大な労力が発生するため、労力を回避して惰性や慣性に流されてしまうのです。
社員が皆同じ意見を示す日本企業に数多く遭遇してきましたが、それぞれの社員が違った意見を持ち、様々な発言をすることが望ましく、そういう組織のほうが明らかに活力にあふれています。さらに日本企業には、自分の発言は絶対的に正しく、一度発言したことを決して訂正してはいけないという風潮があります。「経営者は朝令暮改でもよい」といわれていますが、社員にも「相手に説得されてもよい」「相手の発言に乗ってしまってもよい」という度量が必要なのです。
こうした官僚化や硬直化を改善して、組織と人を変えていく仕組みは、P&Gや3Mなど欧米の伝統的優良企業や、グーグルやアマゾンなどの革新的企業にヒントを見いだせます。これらの企業では、社員が闊達に議論を交わせる組織体質が形成されているのです。
実は日本にもそのような企業が存在します。リクルートです。リクルートではプロパー社員、中途社員、業務委託スタッフ、アルバイトなどが雇用形態に関係なく横並びで仕事をし、会議での発言にも上下関係がない。上司と部下の関係も会議では同列です。
リクルートの組織運営は多くの日本企業とは真逆であり、官僚的でない企業の良い例として参考に値するといえます。
これから数回に渡って、「日本企業へ贈る、組織変革のヒント」をお伝えしていきます。
森秀明/itte design group Inc.社長兼CEO、経営コンサルタント
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