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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 誰も考えていなかった
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週刊実話 2014年10月30日 特大号
北海道、東北、四国、沖縄の大手電力4社が、9月30日に再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)に基づく事業用発電の新規買取契約を停止すると発表した。これで、先に発表した九州電力を含め、5社が買取停止を決めたことになる。
買取停止を決めた電力会社は、電源供給の不安定な太陽光発電による電力買取をこれ以上進めると、電源全体のコントロールが利かなくなってしまうためだとしている。
しかし政府は、電源構成の中に占める再生可能エネルギーの比率を2030年に2割とするビジョン(10年総合資源エネルギー調査会)を示している。その目標がまったく達成されていない状況で、なぜ買取中止という事態に陥ったのか。
私は太陽光発電による電力の買取価格の設定に失敗したからだと思う。現在、10キロワット以上の太陽光発電は、1キロワット(毎時)あたり32円の固定価格で20年間、全量買取が保証されている。この単価が十分な利益を保証する金額だったから、多くの事業者が参入した。ところが、単価が全国一律だったために、当然、投資は北海道や東北、九州といった地価が安く、遊休地がたくさんあるところに集中した。そのため、そうした地域の受け入れがパンクしてしまったのだ。
一方で、東京、大阪、名古屋といった大都市の電力会社には、まだ太陽光発電の受け入れ余力があるのだが、地域間で電気をやりとりする「連系線」の容量に限界があるため、他地域で作られた再生可能エネルギーの電力を受け入れることは困難だという。
しかしそれは、理不尽な話だ。メガソーラーの立地が地方に偏在することは、最初からわかっていたはずだ。特に原発事故の影響で産業が低迷する東北地域にとっては、太陽光発電は確実な収入の見込める大きなビジネスだった。
また被災地の自治体にとっても、大きな固定資産税が入ってくるから、震災復興の重要な手段になっていたのだ。それを、いきなりハシゴをはずしたのは、被災地に対する裏切りだと思う。連系線が足りないなら復興予算で整備すべきではないか。
実は、今回の買取停止には、もう一つ裏があるのではないかとみられる。経済産業省が、FIT制度の認定を受けたすべての再生可能エネルギー設備が稼働すると、電気料金に上乗せされている再生エネルギー電力の買い取り費用が年間2兆7018億円に達し、平均的な世帯の負担額が現状の月額225円から935円に増加するとの試算を示しているからだ。このまま放置すると電気代がとんでもない値上げになってしまう。それを防ぎたかったのかもしれない。
いずれにせよ、現在のFIT制度は完全に行き詰まっているので、抜本的見直しが不可欠だ。そのとき、私は地熱発電をメーンに据えるべきだと考えている。
日本は火山国で、世界第三位の地熱資源を持っている。しかも地熱は、他の再生可能エネルギーと違って安定した発電が可能であり、ベースロード電源となる。地熱発電は、二酸化炭素も一切排出しない。うまく仕組みを作れば、民間がカネを出すことはFITで証明された。いまこそ、地熱に舵を切るべきだろう。
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