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今年はフランス人教授が受賞/(C)AP
なぜノーベル経済学賞は「新自由主義者」ばかり選ばれるのか
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/154201
2014年10月19日 日刊ゲンダイ
今年のノーベル物理学賞に、青色発光ダイオード(LED)を開発した名城大学の赤崎勇教授、名古屋大学の天野浩教授、米カリフォルニア大学の中村修二教授の3人が選ばれ、日本中が沸き上がった。
同じノーベル賞だが、物理学賞などとはまったく違うタイプなのが、フランス人の受賞が決まった「ノーベル経済学賞」だ。他のノーベル賞とは似て非なるものだ。
経済学における最も権威ある今年の同賞には、仏トゥールーズ第1大学のジャン・ティロール教授の受賞が決まった。同氏の「寡占状態にある産業の規制に関する研究」に対し、通信や金融など幅広い分野での適切な規制の在り方を示したことが評価された。
■ノーベル経済学賞は賞金の出どころも別
だが、ノーベル経済学賞の正式名称は「ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」で、他のノーベル賞とは一線を画する。賞金もノーベル財団ではなく、スウェーデン国立銀行から拠出されている。その背景についてエコノミストは次のような興味深い逸話を披露する。
「なぜ、スウェーデン国立銀行が賞金を出しているのかといえば、スウェーデンでは労働組合が強く、その力を背景に社会民主主義政党が政権を掌握し、福祉国家をつづけてきたことと関係があります。そこにメスを入れたいと思ったスウェーデンの経済界が、自由市場を信奉する“新自由主義的”な経済学こそが本来の経済学であることを宣伝するために賞を設けた」というのだ。
その新自由主義の中心にいるのがミルトン・フリードマンに代表されるシカゴ学派の面々で、ノーベル経済学賞の選考にも深く関与してきたといわれる。ノーベル経済学賞の多くが米国人の受賞者で占められているのも、うなずける証左だ。このため「ノーべル経済学賞の選考には問題が多く、いまでもノーベルの末裔たちから、ノーベルの名前を外してほしいとの要望が出されている」(エコノミスト)という。
ちなみに、昨年のノーベル経済学賞には、「市場の本質」に迫ったシカゴ大学のユージン・ファーマ教授とラース・ハンセン教授、そして、「ケース・シラー指数」で知られるエール大学のロバート・シラー教授の3氏が選ばれた。いずれも自由市場にくみする面々だ。
今回のティロール教授も、かつて米マサチューセッツ工科大学で博士号を取得した新自由主義に連なる学者で、市場原理が働きにくい業種についての規制を論じている。ノーベル経済学賞の授賞式は、ノーベルの命日にあたる12月10日、スウェーデン、ストックホルムで行われる。
(経済ジャーナリスト・小林佳樹)
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