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炭鉱での危険をいち早く察知するために必要とされた、「炭鉱のカナリア」。今回の世界的な株価下落局面で、「相場のカナリア」は危機を知らせたのだろうか(ロイター/アフロ)
日本株は、ここからどこまで反発するか 市場大荒れでも、元気だった「炭鉱のカナリア」
http://toyokeizai.net/articles/-/50945
2014年10月19日 馬渕 治好:ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト 東洋経済
前回の10月16日(木)のコラム「大幅下落の米国株は、実態を反映していないhttp://toyokeizai.net/articles/-/50667」では、「15日のNYダウ工業株指数の1万6000ドル割れは、『実態経済などの投資環境が悪化していて、それを正しく反映したものだ』とは考えにくい。心理面による売りや、ポジションの投げがかさんだものであり、早晩反転上昇する」と予想、その理由も解説した。
実際には、欧米市場の動揺は翌16日の場中まで尾を引いた。だが、米国の主要な株価指数は、16日は前日とほぼ同じ水準まで戻して引けた。
さらに前週末の17日は、NYダウ工業株指数は前日比で1.63%(263ドル幅)上昇した。まさにコラムで予想した通りの展開になったと言えよう。20日の日経平均株価は、こうした米国株価の上昇や、円相場の安定(対米ドルで107円回復をうかがう動き)を背景に、上昇して始まりそうだ。
先週、声高く唱えられた悲観論のなかに、「炭鉱のカナリア」を挙げるものがあった。「炭鉱のカナリア」とは、カナリアは空気の劣化(酸素の減少、一酸化炭素の増加など)に弱いので、炭鉱にカナリアを入れた鳥かごを持ち込んで、カナリアが弱ったらすぐに炭鉱から退避した方がよい、という意味合いで、もともと用いられていた言葉だ。そこから転じて、景気の悪化をいち早く知らせる指標を「炭鉱のカナリア」と呼んでいる。
市場で「炭鉱のカナリア」とされる指標はさまざまだが、代表的なものは国際商品市況の下落と小型株の相対的な軟調展開だ。
■原油市況の下落は「炭鉱のカナリア」指標でなかった?
国際商品市況の中では、原油先物価格の下落が目立つ。WTI先物は、一時1バレル当たり80ドルを小幅割り込んだ。
近年は、リーマンショック時を除けば、80ドル割れは2011年9月と2012年6月しかなく、ともにイタリア・スペインといった南欧諸国の財政懸念が取りざたされていた時期だ。この原油価格の下落をもって、「原油市況は炭鉱のカナリアとして、世界経済の悪化を早期に指し示しているのだ」と語る悲観論者が横行し、投資家心理にも影を落とした。
しかし、最近のサウジアラビアによる、シェア拡大を狙った安値での輸出攻勢が、原油価格の押し下げに働いている面が大きいと推察され、原油だけで国際商品全般を語るのは当たっていない。そこで金先物や銅先物の推移をみると、昨年春以降はおおむねボックス圏内で、過去と比べれば小動きが続いており、大きく下げているという感じはしない。
また、小型株の動きが市場全体と比べてどうかをみるため、新興市場指数、すなわち東証マザーズ指数(をTOPIXで割った比率)とナスダック指数(をS&P500指数で割った比率)をみると、確かに足元は低下気味で推移している。
大型株、すなわち大企業は業績が安定しており、景気悪化でも業績はそれほど急変しにくい。それに対して小型株、新興企業などは、景気の浮沈で業績が振れやすい。また日頃は、小型株は将来への成長期待で株が買い上げられることが多い。
したがって、景気悪化時は、実際の業績の下振れだけではなく、将来への期待がしぼむことも加わって、株価は二重の理由で下げを大きくする。このため、「小型株が市場全体以上に下落しているのは、「炭鉱のカナリア」として、世界経済の悪化を示唆しているのだ」と、やはり悲観筋が騒いでいた。
ところが、前述の日米の新興市場株価指数の比率をみると、両国とも、今年5月の水準の方がよほど低い。すなわち、足元の小型株、新興市場の株価調整は、市場全体と比べて、限定的な範囲にとどまっている。
カナリアは「堅調な経済実態」という歌をさえずっているようだ。
このように、カナリアは炭鉱で、世界景気後退という空気の悪化をいち早く感じて、大いに弱り始めている、と言うより、「堅調な経済実態」という歌を正しくさえずっているようだ。
■日経平均は外部環境の落ち着きを受け、底入れへ
米QE3(量的緩和第3弾)終了だの、来年の利上げだのを騒ぎたがる筋も多いが、QE3が10月で終了する、ということは以前からわかり切っていたことであり、来年半ばとも見込まれる利上げを今から懸念するのも早すぎるだろう。
日経平均株価は、投資家心理が傷ついたことから、目先は神経質な動きが残る展開は否定できない。
しかし、米国株価の底入れ上昇や為替相場の安定など、外部環境の落ち着きを受けて、今週以降は、上値をうかがう動きを次第に強めるだろう。日経平均株価の予想レンジは下値が1万4700円程度、上値は1万5500円程度と予想する。
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