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サムスン電子はドイツの家電見本市で新型スマートウォッチ「ギャラクシーギア」を発表。だが切り札にはなりえないようだ(AP/アフロ)
サムスン電子、見つからない「次の切り札」 スマホ不振、2000年以降で最大の危機に
http://toyokeizai.net/articles/-/50894
2014年10月19日 キム・テユン:韓国「中央日報エコノミスト」記者 東洋経済
サムスン電子が初めて売上高30兆ウォン(1ウォン=0.1円)を突破したのは2000年のことだ。その後、毎年平均15兆ウォンずつ売り上げを増やしてきた。
2008年に100兆ウォンの大台に乗せると、2012年に200兆ウォンを突破。昨年は売上高229兆ウォン、営業利益は2001年の売上高(32.4兆ウォン)より多い37兆ウォンを達成した。売上高の90%は輸出で稼いだ。サムスン電子は大韓民国を代表するトップ企業に、そして名実ともにグローバル企業に成長した。
■色あせる黄金のポートフォリオ、回復は2015年半ば?
そんなサムスン電子が最近、誰からも心配される存在になってしまった。今年第2四半期(4〜6月)決算が振るわず、さらに終わった第3四半期(7〜9月)の決算発表の内容が不安視されている。
10月7日、サムスン電子は速報値として、第3四半期の売上高が47兆ウォン、営業利益は4.1兆ウォンになると発表した。売上高は前年同期比20%、営業利益は同60%近く減少した。外国の機関投資家を中心に株式の売り注文が膨らみ、サムスン電子の株価は終値110万ウォンにまで下がった(10月10日現在)。
いわゆる「黄金のポートフォリオ」と呼ばれるIM(IT、モバイル)事業と半導体、生活家電事業のうち半導体だけがよかった。同社は決算説明資料で、売上高・営業利益の急減はIM事業の業績が悪化し、無線製品の需要が減少したことで部品やパネルの収益性も悪化したこと、テレビ価格の下落と季節的要因などを挙げている。
証券業界では、第3四半期にIM事業の営業利益を1兆ウォン後半から2兆ウォン前半と推定していた。消費者家電(CE)事業は赤字に転落、半導体部門の営業利益は2兆ウォン台前半と予想されていた。証券会社の中には、半導体部門の営業利益がIM事業のそれを超えると予想していたところもあった。実際にそうなれば、13四半期ぶりのことになる(確報値は10月中に公表予定)。
証券業界の予想は暗い。サムスン電子の第4四半期(10〜12月)決算は小幅に上昇するというものが多いが、営業利益は4兆ウォン台を下回るというコンセンサスが形成されている。第4四半期も状況は厳しいとの予測が出る一方で、業績改善は早くとも来年第1四半期(1〜3月)、遅ければ第2四半期になるだろうという観測も出ている。
■9回目の「危機」を乗り切れるのか
長期的に見れば、サムスン電子は毎年成長しており、毎年史上最高益を塗り替えてきた。同社がこれまで何回もの危機をかいくぐってきたのも事実だ。以前にも、市場の予想よりも決算が下回ることも、しばしばあった。
ここでいう市場とは、主に証券業界のことだ。「中央日報エコノミスト」誌では、四半期ごとに営業利益が25%以上減少したことを「危機」とし、2000年以降のサムスン電子の決算を分析してみた。
サムスン電子は2000年第1四半期から今年の第2四半期まで、58四半期のうち8回の危機を経験している。今年第3四半期を含むと9回だ。2010年前までは半導体とディスプレー事業の実績とウォン高が、2011年以降はIM部門の実績とウォン安が明暗を分けた。
2003年第1四半期、サムスン電子は前年同期比で営業利益が35%減少した。半導体や情報通信(現在のIM部門)、生活家電ともにふるわなかったためだ。2004年第3四半期には液晶パネル価格が急落した影響で、営業利益が27%減少した。韓国国内でクレジットカード会社の財務悪化が拡大したことで消費意欲が減退し、その影響で携帯電話の売り上げが減少、アテネ五輪へのマーケティング費用も重荷となった。
2005年第1四半期と2007年第1四半期には、営業利益がともに45%ほど減少した。特に2007年第1四半期には半導体事業が振るわず、営業利益が15四半期ぶりに最も少ない1兆1800億ウォンにまで減った。当時の証券業界は、最近と同じような暗い雰囲気に包まれた。
2008年第4四半期は、リーマンショックによる世界的な金融危機という直撃弾を受けた。サムスン電子は8年ぶりに四半期赤字(約9400億円)となった。2011年第1四半期にはアップル社のアイフォーンの攻勢に押され営業利益が34%減少し、3兆ウォン台にまで落ち込んだ。
その後、同社のギャラクシーシリーズで大攻勢をかけて巻き返したものの、今年第2四半期には前年同期比で売上高が9%、営業利益は25%減少した。為替の影響を受けたが、高技術・中低価格で武装した中国メーカーの攻勢と欧州市場での不振、在庫の増加が足を引っ張った。
危機を乗り越える材料がない
それならば、これら危機を迎えた後のサムスン電子はどうだったのか。危機を迎えた後は3カ月後、あるいは半年で反転に成功している。2000〜2013年、危機を迎えるたびに出されていた暗い展望をよそに、史上最大の業績を上げてきた。組織を変革し、事業のポートフォリオを調整し、新製品も投入したこともあった。
時には想像できないほどのマーケティングを行って危機から抜け出した。2011年がその好例だ。アップル社の攻勢に押され、2011年第1四半期の営業利益が2年ぶりに3兆円台に落ち込んだサムスン電子は、第2四半期にも苦戦が予想された。半導体や液晶パネルの市況もよくなかったためだ。
しかし、2011年第2四半期に「ギャラクシーS2」を上市し反転に成功した。その後、ほぼ四半期ごとに史上最高の業績を更新し、昨年第3四半期には営業利益が10兆ウォン台を超えた。
サムスン電子が今回の業績発表がこれまでにないほど衝撃的だった理由は、まさにここにある。今年の同社にとって、2四半期連続で危機を迎えた。これは、2000年以降初めてのことだ。中国勢の攻勢、在庫急増、マーケティング費用の増加、新製品の効果なし、欧州市場での苦戦など、この2四半期苦戦した理由が第3四半期まで持ち越されている。さらに、反転するための切り札もないのは決定的だ。
現在としては、半導体部門意外には状況を好転させる妙策も見えてこない。「半導体メーカーから携帯電話メーカーに変身したサムスン電子が、再び半導体メーカーに戻る」という指摘が広まっているのもこのためだ。特段の措置や変数がなければ、サムスン電子は第4四半期にも危機を避けられないように思える。市場では、同社の第4四半期の業績予想は、営業利益で4兆5900億ウォンだ。昨年の8兆3000億ウォンと比べると、45%程度減少することになる。
これまでそうだったように、サムスン電子がこのような悲観的な予想を覆すことができるカードを持っているだろうか。今後、底力を発揮できるか、サムスン電子は岐路に立っている。
(韓国『中央日報エコノミスト』2014年10月20日号)
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