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[藤田正美]【世界同時株安EUデフレ懸念】〜日本は世界経済の機関車としてカムバック出来るのか?〜
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141017-00010001-jindepth-bus_all
Japan In-Depth 10月17日(金)6時51分配信
世界的に株価が安くなってきた。
といっても、そのきっかけは先週、IMF(国際通貨基金)が発表した世界経済見通し(World Economic Outlook:WEO)だった。4月時点の見通しを0.4%ポイント下方修正したことから、一気に不安感が広がった。
最大の懸念は、ユーロ圏が日本型デフレに落ち込みそうになっていることだ。要するに企業や個人は債務返済に精を出し、その結果、設備投資や消費が落ちて、需給ギャップが発生する。供給過多による価格下落圧力が働いて、デフレに向かう、という構造である。家計も含めて財務内容は健全になるのに、景気は悪くなる。
いったんデフレに落ち込めば、そこから抜け出すのは容易ではない。それは日本がいちばんよく分かっている。デフレになると何が問題なのか。まず企業にせよ家計にせよ、債務があるとその負担は年を追うごとに重くなる。デフレで収入は伸びない、まずくすれば減るのに、借金は減るわけではないからだ。
人件費を中心とするコストは、デフレだからといって簡単に物価にスライドさせることは難しい。そのため企業の収益力は低下する。また極端な言い方をすれば、明日、安くなるものを今日買うことはしない。インフレの場合は、明日、高くなるから今日買っておくという心理が働くが、デフレはまったく逆に作用する。
EUがデフレに落ち込んだ場合、日本と比べるとその影響ははるかに大きい。EU28カ国のGDPは17兆ドル前後、1ドル100円で換算すれば1700兆円、日本の3倍を超える規模だ。日本のように「失われた10年」でもなれば、世界経済の足を引っ張ることになるだろう。
前回のこのコラムでも書いたように、EUがその「デフレの罠」から抜け出すのは容易ではない。財政規律原則論を振りかざすドイツが、それこそ財政による景気刺激策を積極的に行うことが必要である。それがEU域内で他国に好影響を与えれば、実質的な「富の移転」ができるからだ。
それにドイツが国内消費を引き上げなければ、中国などからの輸入も増えず、失速しかかっている中国にさらに影響が及ぶことになるだろう。不良債権に悩む中国が成長軌道に戻るには、やはり輸出が増えることがいちばんのカンフル剤だ。
WEOの中でも、中国を始めとする新興国の減速が世界経済の足を引っ張るひとつの要因と指摘されている。そしてこの新興国の減速が石油価格の急落をもたらし、それがさらにアメリカのシェール革命に影を落としている。こうした負のスパイラルを止められるのかどうか。早く日本が世界経済の機関車として戻ってきてほしい、そう思っているのは、日本国民だけではないはずだ。
藤田正美(ジャーナリスト)
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