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円安批判は正しい?消費増税による景気減速への批判回避か 円安の効果を“冷静に”整理
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141016-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 10月16日(木)0時10分配信
これまでは円高が解消されれば輸出増・GDP(国内総生産)成長になるといわれ、日本銀行と政府も円安歓迎の姿勢だった。ところが最近、急激な円安により、特に内需企業や中小企業が原材料輸入コストの急増などでダメージを受けているという指摘や、大手輸出企業も円安の恩恵をあまり受けていないという指摘が増えている。現在の為替水準をどのように評価すべきなのか。また、円安批判の背景はなんだろうか。
まず、歴代政権の平均円ドルレートの推移をみてみよう。
・小泉政権(2001年4月26日〜06年9月26日):1ドル116円
・第一次安倍政権(〜07年9月26日):119円
・福田政権(〜08年9月24日):108円
・麻生政権(〜09年9月16日):96円
(自民党から民主党へ政権交代)
・鳩山政権(10年6月8日):91円
・菅政権(〜11年9月2日):83円
・野田政権(〜12年12月26日):79円
そして12年12月に自民党へ政権交代して発足した第二次安倍政権では109円程度まで戻したが、平均円ドルレートは100円だ。こうしてみると、第一安倍政権の終わりの円ドルレートが115円で、福田政権以降野田政権まで一貫して円高で、野田政権では75円台までいったが、第二次安倍政権でその円高をほぼ戻したともいえる。
●円安の効果
では、円安の効果を冷静にみてみよう。一般論として円安は輸出関連企業に有利で、輸入関連企業の不利だ。輸出関連企業は輸出が伸びなくても、海外投資収益が円安で増えるので、企業収益は上がる。もちろん効果はそこだけにとどまらず、輸出関連企業の所得増はその雇用者に、輸入関連企業の所得減は輸入品の価格上昇を経て消費者に波及する。そのメリット・デメリットを合算すれば、為替相場が対ドルで10%円安になると、日本のGDPは年0.2〜0.5%程度増加する。輸出企業は世界市場で競争しており、その裾野は広い。そうした競争的な環境にいる企業にメリットを与えたほうがマイナス面を補うからだ。
つまり、輸出増にならなくても、海外投資収益が増える結果としてGDPは増加する。ただし、輸出が増えないと、その分の雇用創出はうまくいかない。裏を返せば、これまでの円高放置で海外投資が大きくなり、その分国内の雇用が失われてきたわけだ。
いったん海外に出ていった企業はなかなか国内に戻らない。海外に出ていく時に円高傾向が確信されたのとは逆に、円安傾向が一定期間定着しないと国内回帰は難しいだろう。ざっくりといえば、5年間円高傾向が続いたので、5年間の円安傾向が続けばトントンになる。円安へ反転してから2年弱が経過しており、あと3年くらい必要といえる。
●リーマンショック前の水準に戻ったレベル
現在円安が批判を受けているのは、実は消費増税で景気がよくないことも関係している。つまり、消費増税への批判をかわすために、円安へ批判の目を向けさせるというものだ。政府は「物価が上がっているのは円安のせいであり、消費増税のせいではない」と説明する。もちろん、消費税は輸入品にもかかるので、物価上昇の大きな要因は消費増税であることはいうまでもない。
そもそも、現在の円安水準は、08年のリーマンショック前に戻ったレベルだ。リーマンショック以降、日本だけが金融緩和をせずに円高になったが、それを解消したくらいで大騒ぎするのはおかしい。経済運営により増税をする必要がなかった小泉政権の平均円ドルレートは、前述のとおり116円である。まだまだ円安が進んでも経済はよくなるはずだ。
高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授
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