01. 2014年10月15日 11:47:32
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エボラかアリババかFRBか、株式相場下落の犯人捜し始まる 10月14日(ブルームバーグ):9月19日の朝、ニコラス・コーラス氏は市場が開く前のテレビ番組に出演するため待機していた。 コンバージExグループのチーフ市場ストラテジストの同氏はその日が上場初日のアリババ・グループ・ホールディング株について話すことになっていたが、同氏の頭には市場全体のこともあった。2つは必ずしも無関係ではなかった。 S&P500種 株価指数が前日に付けた過去最高値2011.36の数字を眺めながら同氏は「これがピークのような気がする」と口にした。同氏の勘は、少なくとも目先については正しかったようだ。 250億ドル(約2兆6800億円)という史上最大規模のアリババの新規株式公開(IPO)を成功させるのに十分なほどの市場の自信も、コラス氏がその朝、相場が頂点にあるように感じた理由の一つだった。あのピークからS&P500種が5%以上下落した今、何がこの下落をもたらしたのかと人々は喧々諤々(けんけんがくがく)議論している。 BTIGのチーフストラテジスト、ダン・グリーンハウス氏は14日のリポートで、国際通貨基金(IMF)による世界成長率予想の引き下げだけが理由とは考えにくいとして、エボラ出血熱の流行の方が市場にとって大きな問題だとの見方を示した。 エボラは「その影響を数量化することができない。従ってこれが市場に不透明感をもたらしても何の不思議もない。エボラ感染が他の都市でも現れ始めたら、企業決算などは関係なくなるだろう」と同氏は書いている。 S&P500種が1850で年を終えるという予想の現実味が増してきたウェルズ・ファーゴのジーナ・マーティンアダムス氏は「市場の弱気の核心」は依然、連邦公開市場委員会(FOMC)の引き締め転換の遅さだとみる。 同氏は14日のリポートで「当社はこの波乱を一時的なものと考えているが、しばらくは続きそうだ」とし、投資家が新たな金融政策環境に慣れるための時間が伴うと指摘した。 米企業業績、ドイツ経済の弱さ、商品相場下落、債券利回り低下、欧州中央銀行(ECB)が成長をてこ入れできるかどうかの疑問、米金融当局の尚早な引き締めへの懸念などをコーラス氏は挙げ、「どれもこれも、単独であれば対応可能なものだ」が、過去1週間のエボラ関連ニュースへの市場の反応は、「今そこにある幾つかの『小さめの』危機が一つの大きな危機と同じだけのダメージを与え得ることを示唆している」と書いている。 原題:Ebola to Alibaba Trigger Debate Over Cause of Stock MarketSlide(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Michael P. Regan mregan12@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Lynn Thomasson lthomasson@bloomberg.net 更新日時: 2014/10/14 16:20 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NDF7EE6JIJUO01.html
「めでたし」で終わらないおとぎ話、中銀の魔法はネタ切れ 10月14日(ブルームバーグ):金融市場では専門用語が姿を消し、代わりに芸術的な比喩が飛び交う一種独特の局面を迎えた。 ヤルデニ・リサーチの社長兼チーフ投資ストラテジスト、エドワード・ヤルデニ氏の場合は「オズの魔法使い」だ。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は「不思議の国のアリス」ばかりか「ハリー・ポッター」まで引用した。そしてスティーブン・キング氏(ホラー小説の大家ではなく、HSBCホールディングスのチーフエコノミスト)も適切な表現を求めてファンタジーの世界にさまよいこんだ。 彼らが投資家に伝えようとしているのは、MSCIワールド指数 が2月以降の最低に迫った後も、センチメントの悪化はしばらく続きそうだということ。理由は、世界経済の成長が再び弱まり始めたちょうどその時に、景気拡大の大半を担ってきた中央銀行で弾薬が底を突きつつあることだ。 ヤルデニ氏は「世界中で投資家がショックを受けている。金融の魔術師たちはもう、世界経済の成長をよみがえらせることはできないようだ」と表現。「魔術師たち自身も、魔力に限界があることを認めている」と続けた。 HSBCのキング氏は、今年の市場は総じて、金融当局が何とかしてくれるというおとぎ話にうつつを抜かしていたと指摘する。 バラ色のシナリオはこうだ。連邦公開市場委員会(FOMC)が来年には金融引き締めで米経済の成長の過熱感を取り除き、欧州中央銀行(ECB)が量的緩和に踏み切って景気に拡大へのエネルギーを吹き込む。めでたし、めでたし。 「何かおかしい」 キング氏は先週、ワシントンでの会合で「ほとんどのおとぎ話と同様、現実はそうはいかない」と発言。「何かがおかしい」と述べた。 キング氏がひっかかっているのは、ECBの景気浮揚策がユーロ 安頼みであることだ。これはうまく行きそうにない。なぜなら、貿易加重ベースが重要だからだ。キング氏がこのベースで試算すると、英国と日本がここ数年導入した金融緩和に伴い、ポンドと円は20%下落したことになる。 ECBにとって問題なのは、各国が自国通貨の上昇に対する抵抗を強めたことだ。スイスとチェコは対ユーロでの自国通貨相場に上限を設けている。スウェーデンはクローナ高を不満に思っている。日本銀行は円が上昇すれば押し返すだろう。オーストラリアとニュージーランドも通貨高への心配を隠さない。 こうした各国の抵抗を計算に入れると、ユーロがドルに対して1ユーロ=1ドルの等価水準まで下げなくては十分なユーロ安にならない。 2通りの結末 「そんな大きな下げは誰も今、予想していない」とキング氏は指摘する。HSBCの予想では、2015年末のユーロ相場は1ユーロ=1.19ドル。14日の相場1.27ドルから貿易加重ベースで3%の下げに相当する。 物語の結末は2通り考えられる。ECBの刺激策が不十分に終わる、あるいはドルが急伸しFOMCは利上げに踏み切ることができず、ドルへの依存性が高い中南米と中国経済が打撃を受ける。 1988年のアメリカ映画「ビッグ・リボウスキ」のセリフを引用し、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループのアルベルト・ガロ氏は投資家に向け現実世界について警告を放つ。「ここから先は苦しみの世界だ」と。 原題:Investors Realizing No Happy Ending in Central Bank FairyTale(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:パリ Simon Kennedy skennedy4@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:James Hertling jhertling@bloomberg.netZoe Schneeweiss 更新日時: 2014/10/15 07:03 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NDFU866JTSEC01.html
日銀はメンツ捨て「勝ち逃げ」、年内に緩和縮小表明を−早川氏 10月15日(ブルームバーグ):元日銀理事の早川英男氏はブルームバーグ・ニュースのインタビューで、日銀は2年で2%の物価目標達成というメンツを捨て、年内にデフレとの戦いに勝利宣言をすることで「勝ち逃げ」し、異次元緩和からの早期撤収に向かうべきだと述べた。 現在、富士通総研エグゼクティブ・フェローを務める早川氏は14日、「異次元緩和は社会的実験でありギャンブルだったが、何はともあれ円安になり株が上がり、物価も1%台は維持できそうだ。ギャンブルとして評価するとまだ勝っている。最終的にギャンブルで勝つための要諦は勝ち逃げだ。いかに勝っているうちに終わるかが大事だ」と言う。 黒田東彦総裁は8日、ニューヨークで講演し、「潜在成長率が低い状況で物価を上げることが望ましいのか、といった見方もあるようだが、私の答えは明確にイエスだ」と述べた。しかし、日銀のチーフエコノミストを務めた早川氏は、0%近傍とみられる潜在成長率の下で、物価上昇率を「1%を2%にしたところで何のメリットもない」と総裁の主張に真っ向から反論、量的・質的金融緩和の早期縮小を訴えた。 早川氏は景気について「もたついているのは事実だが、流れが変わったわけではなく、ゆるゆる回復していくと思う。7−9月の成長率が在庫要因で反発力が鈍くても、その分10−12月が高くなるので、全体としてそう焦ることはないし、そう悲観すべきでもない」と言う。 物価が下振れる理由は何もない むしろ、ここに来てはっきりしたのは「基調的な成長率、いわゆる潜在成長率の低さだ」と言う。日銀は31日の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で実質成長率と消費者物価の見通しを示す。民間の2014年度成長率見通しは0.3%台に低下している。早川氏は「普通に考えれば日銀も1.0%の従来見通しを0.5%くらいまで下げるだろう」とみる。 8月の生鮮食品を除くコア消費者物価(CPI)は消費増税の影響を除き前年比1.1%上昇した。「一部で9、10月に1%割れという見方が出ており、その可能性もなくはないだろう。原油価格下落やスマホの価格競争で、目先は日銀の想定より若干下振れるかもしれないが、1年以上先を見通すと、下振れると考える理由は何もない」と言う。 早川氏が物価の基調を測る上で最近注目しているのが単位労働コスト(ULC)だ。GDP1単位を生産するのにどれだけ人件費がかかったかを示す指標で、4−6月は前年比1.7%上昇した。同期の実質GDPが0.1%減少したのに対し雇用者報酬は1.6%増加した。早川氏によると、そのうち労働人口と賃金の伸びは0.8%ずつくらいだと言う。 デフレ脱却で成長率上がるというのは「大うそ」 要するに、「全く成長していないのに労働投入が増えている。生産性が下がっているにもかかわらず名目賃金は上がっているので、ULCが上がっている。これはどう見ても潜在成長率の低下以外の何ものでもない」という。7−9月もULCは「4−6月より高まる可能性があり、基調的にかなり強いと考えざるを得ない」という。 人件費が前年比1.7%上がっている時に、企業は売値を1.7%上げれば利益率を維持できるので、最低でもそれくらい上げたいという事情がある。早川氏は「そう考えると、ULCが半年以上1.5%を上回る水準で走り続けるので、CPIが足元で一瞬1%を割れたとしても、先行き1%台を十分維持できると考えるべきだ」と語る。 したがって、日銀が展望リポートで示す日本経済の姿は「成長率をうんと下げて、物価はほとんど動かないという形になる可能性が高い。これによって、デフレを脱却すれば成長率も上がるというのは大うそだということが明確に証明される」と早川氏は語る。 深追いして良いことはない 日銀は13年4月4日、消費者物価の前年比上昇率2%の物価安定の目標を「2年程度の期間を念頭に置いて」できるだけ早期に実現すると表明。マネタリーベース残高や長期国債の保有額を2年で2倍に増やす量的・質的金融緩和を導入した。 早川氏は「確かに、長い目で見れば物価は1%より2%の方がいいし、日銀のメンツもあるが、それを別にすれば、2%を目指すにしても短期間で達成するメリットはあまりない。雇用が増えるわけではないし、成長率が上がるわけでもない」という。 一方でリスクは増えていく。「毎月7兆円の長期国債を買い続けていることで日銀のバランスシートは膨らみ、どこかで大損をするリスクはほぼ必然だ。事実上マネタイゼーションをやっているので、市場もいつ反乱を起こすか分からない。深追いして良いことはない」と指摘。 「今はルーレットで勝ってはいるが、掛け金をどんどんつぎ込んでいる状態に近いので、最後に負けたら全てがパーになる。勝っているうちに掛け金を減らし、最後は勝ち逃げするのがルーレットの技だ。太平洋戦争もパールハーバーで止めとけばよかったのに、ミッドウェーでぼろ負けした後もズルズル続けたのであんなことになった」と語る。 しゃにむに達成することはない 早川氏は「もともと量的・質的緩和で本質的なのは2%という目標であって、2年という期限や7兆円という長期国債の買い入れ額は、ある種、皆をびっくりさせるために大きく相場を張って見せたわけであって、本質的なものではない。これらは飾りに過ぎない」という。 その上で、「日銀はデフレとの戦いに勝ったと宣言し、2%はいずれ達成するが、しゃにむに達成することはない。2年というのは行きがかりで言ってしまったが、そこは『御免、まあ、いいじゃないか』と言えばいい。そして、どこかのタイミングでテーパリング、つまり資産買い入れ額の縮小を始めればよい」と語る。 そのタイミングについては「景気弱気論が強くCPIも上昇率が下がっている状況なので、まだ勝負のしどころではない。私の読みが正しければ、年末くらいには景気はまあ大丈夫だったねとなってくるので、そこで堂々と勝利宣言すればよい。マネタリーベース残高を決めてあるのも今年末までなので、年末に打ち出すのがちょうど良い」という。 「物価を1%から2%にしたところで成長率が上がるわけではないことは証明済みだ。実際問題として1%を2%にする一番の近道は円安だし、2%という日銀のメンツを重視するのであれば円安の方がいい。だからこそ、日銀はついつい円安が良いと言ってしまうが、完全雇用の状態で円安の方が良いという理屈はない」と語る。 国民のバランス感覚 さらに、「あまり日銀のメンツを重視するのは国民感情に反する。これ以上円安にしても国民は喜ばない。2年前の円安があれほど歓迎され、なぜ今の円安がこれほど嫌われるかというと、理屈ではなく、国民のバランス感覚だ。それを馬鹿にしてはいけない」と語る。 早川氏は「これ以上やっても損だけ大きくなるという時に大事なことは、メンツにこだわらないことだ。メンツを気にすると負ける。かつての日本もそうだった。『デフレは脱却した。2%に向けて着実に進んでいる。したがって無理はしない』とやれれば、黒田総裁は大役者だ。日銀ボードメンバーの1人を除けば乗れない話ではない」という。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net;東京 Chikako Mogi cmogi@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Brett Miller bmiller30@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net淡路毅, 中川寛之、上野英治郎 更新日時: 2014/10/15 11:21 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NDFCC66S972U01.html 「オオカミ少年」と切り捨てられないIMFの警鐘 編集委員 梶原誠 2014/10/15 7:00日本経済新聞 電子版 国際通貨基金(IMF)が今月公表した試算にどきりとした市場関係者は多かろう。「国際金融安定性報告書」で、世界の債券の時価が8%減少し、保有者全体で3兆8000億ドル(約400兆円)の損失が生じるシナリオを警告したからだ。 IMFは債券相場の下落リスクに警鐘を鳴らした(写真はラガルド専務理事)=ロイター ■「緩和」後に2つの混乱も 米連邦準備理事会(FRB)は今月、リーマン・ショック以来続けた量的金融緩和を終え、市場の関心は来年にも見込まれる利上げの行方に移る。IMFのメッセージはこのような節目に合わせたものだ。 米国債などの購入を柱とする量的緩和は、債券相場を持ち上げて長期金利の低下を促す政策でもある。ならば、金融政策の正常化でこの効果がはげ落ちたら――IMFはこんな問題意識で市場の変動を試算し、結論づけた。「(3兆8000億ドルの)損失が短期間で生じれば、世界の市場は大混乱に陥るだろう」と。 関連記事 ・9月16日日経夕刊3面「米カルパース、ヘッジファンド投資停止」 ・10月9日米マーケット・ウォッチ「IMFがFRBに突きつけた3.8兆ドルの警告」 少なくとも2種類の混乱が考えられる。債券相場が下落すれば、まず各国の政府や企業が発行する債券の利回りは上昇し、新発債の利払い負担が膨らむ。返済能力は落ち、債券価格がさらに下落する悪循環に陥る。 梶原誠(かじわら・まこと) 88年日本経済新聞社入社。証券部編集委員、論説委員、ソウル支局、米州総局(ニューヨーク)編集委員を歴任。現在は証券部・アジア総局編集委員。興味分野は「市場に映るものすべて」。 梶原誠(かじわら・まこと) 88年日本経済新聞社入社。証券部編集委員、論説委員、ソウル支局、米州総局(ニューヨーク)編集委員を歴任。現在は証券部・アジア総局編集委員。興味分野は「市場に映るものすべて」。 もう一つは、金融システムに及ぼす悪影響だ。債券を大量に抱えた金融機関は損を抱えて体力を落とし、貸し渋りの姿勢を強め、実体経済を圧迫する。2つの混乱はともに、さきの欧州財政危機で経験したばかりだ。 このようなリスクは、各国の政策当局者の間では共有されつつある。9月、オーストラリアのケアンズで開いた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議での議論を、出席した玉木林太郎・経済協力開発機構(OECD)事務次長がその後の記者会見で明かしていた。 「世界経済の大きなリスクは3つある。まず地政学的リスク、次にユーロ圏の低いインフレ率、そして最も強調されたテーマが、市場と経済活動の乖離(かいり)だった」。つまりバブルへの懸念だ。 危機以来の量的緩和でマネーはあふれ、資産価格を押し上げた。その対象が、FRBが買い上げてきた債券だけではなく、世界中の株式やフェラーリの中古車価格にまで及んでいることは、9月26日の当コラム「市場にちらつくリーマン前の陶酔」で指摘した。 ■安心したときに危機は来る ヘッジファンドへの投資を停止すると決めたカルパース(米カリフォルニア州)=ロイター ヘッジファンドへの投資を停止すると決めたカルパース(米カリフォルニア州)=ロイター 危機、金融緩和、バブルの生成と崩壊――世界経済はこの循環を繰り返してきた。ハイテク株バブルの崩壊は2000年だった。リーマン危機につながった米住宅バブルの崩壊は7年後の07年だった。それから7年たった今、次の衝撃の兆しが見えてもおかしくない。 その意味では、9月に世界を駆け巡ったニュースが気にかかった。米最大の公的年金基金、カリフォルニア州職員年金基金(カルパース)がヘッジファンドへの投資を停止すると発表した。負債を導入して投資額を拡大するヘッジファンドは金融引き締めに弱いうえ、投資も比較的リスクの高い手法が多い。カルパースは、市場の急変に備えつつある。 IMFが示したような警告は、「オオカミ少年」と冷ややかに語られがちだ。しかし、軽視するのは危うい。こんな経験則もある。「市場が警戒している間は危機は起きない。逆に、市場が安心したときに危機は来る」 08年3月、米大手証券ベア・スターンズの経営が行き詰まり、金融システム危機が迫った。だが、政府の後押しを受けたJPモルガン・チェースが救済合併し、安心感が広がった。ダウ工業株30種平均は上昇に転じ、5月にこの年の最高値をつけた。リーマン破綻は、わずか4カ月後だ。 世界の株式相場が乱調モードに転じ、日本株も振り回されている。世界景気の悪化懸念が直接のきっかけだが、底辺には相場上昇が行き過ぎていたという警戒感があるのだろう。ならば、軟着陸の可能性がある。本当に危険なのは、「もう危機は来ない」という安心感が広がったときだ。 http://www.nikkei.com/article/DGXMZO78353000U4A011C1000000/ 「影の銀行、米金融市場の脅威に」 IMFが警告 2014/10/8 22:00
保存印刷リプリントこの記事をtwitterでつぶやくこの記事をフェイスブックに追加共有 【ワシントン=矢沢俊樹】国際通貨基金(IMF)は8日発表した国際金融安定性報告書で、米国で当局の規制が行き届かない投資ファンドなどのシャドーバンキング(影の銀行)が「米金融市場の安定を揺るがしかねない脅威になりつつある」と警告した。金融当局に監督・規制強化の検討を促している。 IMFは米などで短期運用に特化した投資ファンドなどの市場規模が拡大した結果、投資家の解約が急増した際に金融危機が国際的に連鎖する事態を懸念する。 報告書はこうしたシャドーバンキングの問題がユーロ圏や英国に比べ、米でより深刻になってきたと指摘。「米当局は必要ならば行動すべき」として、解約に備えファンド内部の現金を積み増すなどの対応を急ぐべきだとしている。 また報告書は「金融緩和の長期化が過度にリスクをとる動きにつながった」と分析した。金融規制と金融政策を組み合わせた総合的なリスク管理が求められると強調。3段階の金融規制を例示し、まず金融安定性のリスクを監視し、政策手段を使えるように制度を整備したうえで、非伝統的な手法であっても必要なときに行動をとることが重要だとした。 流動性リスクに対する市場の懸念に対応するため、現金や換金性の高い金融商品を積み増すことが必要だと指摘。長期債市場の流動性や透明性を高める方策も考えるべきだとしている。 「政策担当者は流動性リスクが広がる事態に備える必要がある」として、先進国に対しては有事に備えて2国間、多国間の通貨スワップ協定などの準備が必要だと指摘した。新興国では資本流出に備えて市場の秩序を保つことを要請し、金融危機時の資金供給元としてのIMFの役割も強調した。 失われた投資を回復し、より安定した景気回復を実現するには、一連の金融政策に加えて「生産、労働市場の構造改革を進める必要がある」とも強調した。 http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM08017_Y4A001C1FF2000/ 金融システムのリスク、影の銀行に移行=IMF報告 2014 年 10 月 9 日 04:18 JST 国際通貨基金(IMF)は8日公表した国際金融安定性報告書(GFSR)で、先進国の大半の銀行は世界の景気回復を後押しできるほど健全ではなく、金融システムのリスクが他の種類の金融機関に移りつつあるとの見方を示した。 この報告書によると、健全性不足で融資を供給できずにいる銀行が多いなか、規制の厳しい銀行システムの枠外で活動する「影の銀行(シャドーバンク)」が代わりにこの役割を担っている。 IMFのホセ・ビニャルス金融顧問兼金融資本市場局長は「リスクの中心が影の銀行に移っている」とした上で、「未対応のままとなれば、このリスクは世界の金融安定を揺るがしかねない」と注意を促した。 世界の規制当局が銀行の貸出基準や自己資本基準の厳格化を進める中、IMF以外からも銀行システムの枠外でのリスクの高まりを懸念する声が出ている。 米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長もこうした動向を認識している1人だ。米財務省のバーナー金融調査局長は今週、影の銀行に関する情報不足に対応しようと、銀行以外の企業が翌日物資金を調達する場であるレポ市場のデータを収集すると新たに発表した。 ビニャルス氏によると、IMFが先進国の銀行300行を分析したところ、「総資産の約40%に相当する銀行が景気回復を支援する上で十分な信用供与を果たせるだけの健全性を確保していない」ことが明らかになった。 一方で影の銀行は拡大しており、米国の投資信託会社などは社債や外債を大口で引き受け、信用供与を急速に伸ばしていると指摘した。投資家は投資信託への投資を換金可能と考えているが、経済が逆境にさらされ銀行の取引能力が低下した場合、これが不可能になる恐れがあると警告した。 その上で政策担当者に対し、銀行による独自の再建を支援しつつ、銀行システムの枠から外れる資産管理業界やその他金融機関に関する理解を深め、監督を強化するよう提唱した。 http://jp.wsj.com/news/articles/SB11713596470002413933104580202553149693586
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