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流通大手による業種の垣根を越えて再編事例
大前研一:ローソンの成城石井買収に潜むワナ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141015-00000001-fukkou-bus_all
nikkei BPnet 10月15日(水)7時46分配信
ローソンが“高級スーパー”の成城石井を買収した。コンビニエンスストアと高級スーパーという業態の違いを乗り越えて、どのように展開していくのか。今後の推移が注目される。
■都心の店舗に中国人観光バスが横付け
ローソンは9月30日、高級スーパーの成城石井を買収すると発表した。三菱商事と三菱UFJフィナンシャル・グループが設立した投資ファンド「丸の内キャピタル」から成城石井の全株を取得。伊勢丹・三越も狙っていたということだが、ローソンも三菱商事の子会社だから、三菱グループ内部での出来レースで決着した、と見ることができる。有利子負債を含め総額550億円の買収となった(株式取得額は363億円)。買収後も「成城石井」の店名は残り、現在の経営体制は維持されるという。
成城石井というのは、スーパーに分類されることが多いが、実態は一部の旗艦店を除けばコンビニと変わらない小規模の店舗を展開しており、売り上げ規模は小さい。2013年時点で110店舗を展開し、2013年12月期の連結売上高は544億円である。しかし、高級感のある食材を取りそろえており、総菜などにも強いのが特徴だ。東京都心を中心に高級志向の消費者、特に主婦から支持を得ている。
また、最近は外国人旅行客の人気も集めている。成城石井の都心の麹町店には、観光バスが横付けして、中国人観光客が買い物をする姿がよく見られる。レストランで食事をするのではなく、成城石井で総菜などを買ってバスの中で食べて観光を続ける、というスタイルも一部で定着しているらしい。
■本業が振るわず、垣根を越えて買収案件が広がる
成城石井の買収は、上述したようにローソンのほかに三越伊勢丹ホールディングスが狙うなど、以前からの懸案事項だった。流通業界では、本業のGMS(ゼネラルマーチャンダイズストア)が振るわないことから、それ以外の買収案件に興味が広がっている。
ここで「流通大手による業種の垣根を越えて再編事例」をご覧いただきたい(図参照)。
ローソンは成城石井以外にも、シネマコンプレックス(複合映画館)のユナイテッド・シネマ、CD販売のHMVジャパンなどの出資・買収をしてきた。
一方、イオンはスーパーのダイエーのほか、マルエツやカスミなどの首都圏連合などを取り込み、セブン&アイ・ホールディングスは通販のニッセンホールディングス、衣料品店のバーニーズジャパンなどへの出資・買収を行ってきた。そのほかにも、エイチ・ツー・オー リテイリングがスーパーのイズミヤを、J.フロント リテイリングがファッションビルのパルコをそれぞれ買収している。
■消費者は同じ商品なら同じ値段でないと納得しない
ローソンが買収した成城石井は、即戦力となる非常に優良な案件だったと思う。成城石井買収を果たしたローソンとしては、高級スーパー(というより高級コンビニ)の成城石井とコンビニのローソンをどのように使い分けるかが、今後の課題になってくる。
まず問題になってくるのが、価格設定である。ローソンと成城石井が同じ会社だということになれば、消費者としては同じ商品は同じ値段でなければ納得しない。
たとえば、ローソンで売られている清涼飲料水と同じものが、成城石井では高く売られているということがある。これまでは違う会社だから消費者も納得していただろうが、今後はそういうわけにはいかなくなる。当然、値段は下がるわけで買収時に想定した収益が削られる可能性が高い。
つまり、買収によって成城石井の「高級感」にもとづいた普及品の値付けがもし許されなくなれば、成城石井の収益はある程度減っていくので、その分を他で埋め合わせる必要が出てくる。
■WIN-WINの関係が築けるか
また、総菜や高級食材についても注意がいる。セブン-イレブンなど競合するコンビニが総菜や高級食材に力を入れている以上、成城石井の商品をローソンにも専売コーナーを設けて展開する、という戦略は十分に考えられる。店舗数で100倍と圧倒的に多いローソンに成城石井の売れ筋商品が並べば、WIN-WINの関係になる。首都圏以外への展開が遅れている成城石井にとっても、(品質の確保ができれば)魅力的な成長戦略となる。
たとえば、セブン-イレブンではセブンプレミアム「生ハムロース」などの販売にも力を入れ始めている。まさに成城石井が得意としてきた商品ジャンルだ。
成城石井買収で商品展開や価格設定がどうなっていくのか。大きなアップサイドがある半面、やり方を一つ間違えて、ローソンの論理を振り回してやれば成城石井の利益を吐き出すだけで終わってしまうだろう。
どちらに転ぶのか、この先半年くらいは要注目と言えるだろう。
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