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富山の置き薬モデルに脚光?オフィス向け新ビジネス続々、福利厚生の充実に活用も
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141014-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 10月14日(火)0時10分配信
書店に行くと表紙に「ビジネスモデル」と書かれた本をたくさん見かけることができますが、それだけ人々の関心がビジネスモデルというテーマに再び(?)向いてきていることの表れだといえるのではないでしょうか。Google、Facebook、Amazonなどのビジネスモデルについて研究・分析することは非常に面白いですし、ためになりますが、日本で長年生き残っているビジネスモデルの1つである「富山の置き薬」モデルが、最近注目を浴びているのをご存じでしょうか。
おそらくオフィスの隅などに薬が詰まったケースを見たことが誰しもあると思います。その中には、近所のドラッグストアではあまり見かけない薬が入っていたりします。個人宅や事業所に薬箱を無料で設置し、使用した分だけ定期的に訪問したスタッフが集金をする薬の販売方法を「置き薬商法」「配置薬商法」などと呼びます。
このモデルの特徴は「先用後利」といわれ、「用いることを先にし、利益は後から」とした富山売薬業の基本理念だといわれます。さらに、この置き薬モデルで重要な要素として「懸場帳」(かけばちょう)があります。置き薬業者が回る地域を「懸場」(かけば)と呼び、その地域の顧客管理簿や得意先台帳のことを懸場帳と呼びました。懸場帳は優良な顧客、売れた薬の種数、家族構成、そして集金履歴が記録され、再訪問する際の服用指導や情報提供にも役に立ち、商売の管理に非常に重要なものとなっています。現代でいえば顧客データベースであり、経営に必須の情報を集約させた台帳でした。
これらからはともに、お客様との関係を重視して、短期的ではない長期継続的な関係を築くことをビジネスの主眼にしていることが読み取れます。他社の懸場帳はそれがあれば誰でも似たような売上高(貫高)が得られるため、のちには懸場帳自体が財産価値を持ち、業者間で高額取引されるようにもなったということであり、それだけ秀逸なデータが集約されていたことの証拠でしょう。
●オフィス街で応用パターンが人気
この長い歴史を誇るビジネスモデルは、現在も連綿と続いているのですが、オフィス街では応用パターンを見かけることが多くなってきました。
例えば、江崎グリコが展開する「オフィスグリコ」は都心を中心にだいぶ浸透してきています。これは、お菓子の小さな箱をオフィスに置いておき、必要な時に1個100円くらいで手に入れられるというサービスです。外に買いに行くほどでもないけど、ちょっとリフレッシュしたいとか、小腹がすいたから少しお菓子をつまみたいというシーンは確かにあります。そういう場合、外に出ることなく、オフィスの隅にあるボックスの中から1個手に入れて、カエルの口に100円を入れればOKという流れです。
会社側としては、特にコストがかからずに福利厚生として活用できます。実際に、このリフレッシュボックスのメンテナンスは、1週間に1回程度サービススタッフがオフィスを訪問し、商品の入れ替え、補充、代金の回収等の管理を行いますので、ちょっとしたスペースさえ確保できれば利用可能です。さらに、従業員が多いオフィスは、アイス菓子用冷蔵庫もリクエストできるので、各オフィスのオーダーによって、そこで働く人々はさらに充実したリフレッシュ時間を持てるようになります。
「オフィスグリコ」の2013年度売上高は45億円ほどに達しており、現在も拡大中という状況です。実際に、どれだけの人がお金をきちんと入れているのかが気になりますが、95%の回収率があるということです。やや皮肉な見方をすれば、社員がちょっとしたリフレッシュをするのにわざわざ社外に出て無駄な時間を過ごさなくなる、という副次的な効果も会社側にはあるのかもしれません。
●ベンチャー企業の参入も活発
このオフィスでの福利厚生目的を含んだ従業員向け販売というマーケットを過敏に察知した、いくつかのベンチャー企業も新たな商材で参入しています。
例えば株式会社おかんが運営する「オフィスおかん」は、社食を簡単に導入するためのサービスを提供しています。このサービスでは、電子レンジ加熱かそのまま食べられる食材を置いておき、利用する側は食べた分だけ専用容器に料金を入れるという形です。企業側が月額基本料金を負担する形態になっており、オフィスグリコなどより福利厚生的な色合いの強いサービスになっています。
本サービスのおもしろい点は、ホームページ上に「ご担当者以外の方の『導入おねだり』」というフォームが設置されているところです。ここで従業員が匿名でもおねだりして5名以上の署名が集まると、サービス運営元のほうから企業側へ導入のアプローチをしてくれます。「社食を導入するほどの規模ではないけれど、手軽にランチを取りたい」という希望があったら、同僚に声をかけて申し込んでみるといいかもしれません。
このほかにも、野菜を置く「OFFICE DE YASAI」や、コスメを置く「オフィスコスメ」というピンポイントの商品を置き薬化するモデルが立ち上がっています。ちょっと毛色は違いますが、毎週1回サラダを届けてくれるという「Salad Oisix for オフィス」というサービスもあります。
会社側は特に追加的に人を配置して新しい業務を増やすことなく、職場の環境を改善し、従業員の福利厚生の充実を図ることができるようになります。とりわけ都心では、少し歩けば多くのコンビニが存在しますが、しかし実際には「何か小腹がすいた」という感覚と「オフィスから出てコンビニへ行く」という行動との間には、大きな溝があります。この溝が大きく、これまで実際に行動に至らなかった層も「100円なら」「オフィスの端っこにあるし」くらいの気軽さがあるがゆえに、前述のようなサービスを利用して購入に至っているのです。
今後どのような商品の置き薬化が生まれてくるのか楽しみですが、もしあなたが「こんなサービスがあったらいいのに」というのを見つけたら、事業化してしまえばいかがでしょうか。身近すぎるがゆえに気がついていない盲点のようなサービスの種は、あなたの毎日の行動に隠されているかもしれません。
藤原実/藤原実税理士事務所所長、内閣府所管公益財団法人生涯学習協議会認定ビジネスモデル・デザイナー(R)
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