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移住で持ち家を売らずに賃貸に回すメリット、デメリット(プレジデント)
http://www.asyura2.com/14/hasan90/msg/912.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 10 月 13 日 18:54:05: igsppGRN/E9PQ
 

自宅を賃貸に回してリロケーションすることのメリット・デメリット


移住で持ち家を売らずに賃貸に回すメリット、デメリット
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141013-00013594-president-bus_all
プレジデント 10月13日(月)18時15分配信


■家賃収入を得ながら、値上がり益を狙う

 定年後は田舎暮らし、もしくは海外移住したい。そんな都心居住者が増えています。その際、持ち家を売りに出す以外に考えられる選択肢は人に貸すという方法。いわばリロケーションで大家さんになることのメリットとデメリットは何でしょうか。

 メリット(1)は家賃収入。もしローン未完済ならその穴埋めにでき、完済なら不労所得となります。ただし、金銭的な面に関してはデメリットもあります。ローン穴埋めの場合、住宅ローン減税は受けられなくなります。それは、この減税措置が有効なのは、所有者本人が住むのが前提だから。また、人に貸しても区分所有者であることに変わりはないので、固定資産税や管理費などは払い続けないといけません。

 メリット(2)は、前出のような費用はかかるものの、所有し続けることで将来的に自分の子供に贈与できる可能性があることと、今後、地価が上がるなどして物件の相場が上昇すれば、現在よりも高い額で販売できる可能性があるということです。資産は資産。リロケーションして憧れのシニアライフを満喫するだけでなく、キャピタルゲインを得られるのですから、これは理想的です。

 ただ、これにも相応のコストを支払うことになります。大家さん業をするのですから、それなりのリスクも背負うことになるのです。

 手間とコストがかかる賃借人募集のため、多くの場合、専門のリロケーション会社などに委託しますが、その管理手数料は月々、賃借人からの家賃の7〜15%が相場です。家賃10万円なら、7000〜1.5万円。手数料は安いとはいえません。

■入居したら最悪のモンスタークレーマー

 メリット(3)は、そのリロケーション会社に委託することによる恩恵です。仮に、入居者がモンスタークレーマータイプだと大家も対応が大変です。給湯器の調子がおかしい、床が少しきしむ、戸などの立て付けが悪い……と声高にいう人が少なくないのです。家賃不払いも数多い。

 でも、しっかりしたリロケーション会社に任せれば、大家がやきもきすることはなくなるはずです。大家にとって大事なのは質の高いリロケーション会社を選択すること。いい会社は、入居者の書類審査(収入など)ではわからない人柄や性格などの適性もぬかりなくチェックします。その目利きのおかげで、クレーマー&家賃不払いの予備軍を事前に排除できるのです。

 よって、大家になると決めたら、必ず何社かのリロケーション会社にあたり、入居審査の方法やクレーム対応のガイドラインの有無などをチェックすることをお勧めします。

 メリット(4)は自宅を人に貸すことで、空き家にしなくてすむということです。人が住まなくなって掃除や換気をしなくなると、家の床や畳、押し入れなどにたちまちカビが発生してしまいます。それを放置したままでは家は劣化し、たちまち資産価値も下落の一途となるのです。

 基本的に、大家は店子に退去を命令できない、フローリングの日焼けなど経年劣化に関しては原状回復の費用を持たなければならないといったデメリットはあるものの、空き家リスクを回避できるのは大きい。

 なお、前出の管理委託は民間のリロケーション会社以外の選択肢もあります。一般社団法人の移住・住みかえ支援機構「マイホーム借上げ制度」は、50歳以上の人の持ち家を終身にわたって借り上げて転貸してくれます。しかも、空室がでても最低賃料は保証(査定賃料下限の85%が目安)。また、3年ごとに契約が終了する定期借家契約を活用するため、賃借人が居座ったり、立ち退き料を請求されたりすることもない。契約終了時に、自分がマイホームに戻ることもできます。

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住宅コンサルタント 平賀功一
1967年生まれ。「e住まい探しドッコム」主宰の傍ら、「All About」不動産ガイドを。最新刊に『新版 マンションはこうして選びなさい』(共著)。
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住宅コンサルタント 平賀功一 構成=大塚常好


 

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コメント
 
01. 2014年10月13日 19:29:08 : d7XEUhZIcE
まあ適当に議論しておけば。
住みもしない家のことだし。

まだ住む可能性があるというなら移住など決断しないことだ。


02. 2014年10月14日 06:36:57 : jXbiWWJBCA
吉崎誠二の「どうする? これからの住まい」
【第7回】 2014年10月14日 吉崎誠二 [ディー・サイン不動産研究所所長、不動産エコノミスト]
“40歳代買い替え”を成功させるコツは何か
売り主に取り入る仲介会社に気をつけろ
2回目の購入でぶち当たる
「今の住まいは売れるのか」

 40歳前後になると、仕事や家族など様々な要因で環境が変わる人が増えてくる。

 大学を卒業して15年。責任のある仕事を任せられたり、数十人の部下を持つ管理職の立場に就いたりする人も現れる頃だ。

 家庭を持っている人も多い。30代前半で第一子が生まれた人は、その子が小学生になり、学校の行事で駆り出されることも多く、慌ただしい毎日を過ごす頃でもある。子どもが二人いる家庭では、下の子の保育園や幼稚園の送り迎えが加わり、文字通り目の回るような忙しさのなかにいるかもしれない。

 子どもが増え、成長していけば、それに応じて住まいに求める条件も変わることが多い。本連載のテーマは、働き方や収入、環境の変化よって、住まいも柔軟に変えていくことが、賢い生活者の姿だと考え、そのためのヒントを探っていくことだ。40歳代はもっとも変化が起きる世代。したがって、「このまま今の住まいに住み続けるのか」を考えるべき世代だと、筆者は考えている。

 一般的に世帯主が30歳代半ばにさしかかる頃、持ち家比率が急に高まる。35〜39歳で46%、40〜44歳で58%、45〜49歳で67%、50歳を超えると70%以上が持ち家に住んでいる。40歳代以上は大半の人が持ち家に住んでいるということだ。

 したがって、家庭や仕事の変化によって住まいを変えようとした場合、多くの40歳代が「今住んでいる持ち家をいかに高く売るか」という課題に直面するということだ。

 40歳代で持ち家を売却し、新たな住まいを購入した人の多くは「買い替えは、大変だった」と振り返る。同時に、「持ち家の売却をするときに、もっとこうしておけばよかった」という後悔の言葉も聞かれる。

 本連載第3回では「40歳代からの住宅購入」を取り上げたが、今回はすでに持ち家に住んでいる40歳代にフォーカスし、「40歳代からの買い替え」を考えてみたい。

増える40歳代の
住宅1次取得者

 40歳代で持ち家に住んでいる人の大半は、賃貸住宅から住み替えた人が中心だ。

「住宅1次取得者」という言葉があるが、これは「この5年間に持ち家を購入した人のうち、従前の住居が持ち家以外の人」という意味だ。つまり「初めて持ち家を購入した人」である。

 5年ごとに総務省統計局が発表する「住宅・土地統計調査」によると、40歳代の1次取得者の割合は増えている。


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 20歳代と30歳代で住宅1次取得者が90%以上というのはわかる。20歳代ですでに2回以上持ち家の購入を経験した強者は、あまりお目にかかれない。

 注目したいのは、40歳代のデータ。住宅1次取得者が、平成15年から25年の10年間で80%から86%へ6%も増えている。この5年間に持ち家を買った40歳代は、大半が初めての購入だったということになる。

減少の一途をたどる
40歳代の2次取得者

 今度は40歳代だけを詳しく見てみよう。以下の表は40歳代の住宅1次取得者の、従前の住居形態についてのデータだ。


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「親族の家」「その他」に大きな変化はない。「借家」が大きく増え、「給与住宅」(社宅)が減っている。これは、大企業などが社宅を手放したことが大きな原因だろう。気になるのは、「持ち家」の割合が減っていることだ。平成15年は約20%だったのが、平成25年では約14%だった。

 これはつまり、40歳代で住宅を購入した人のうち、2次取得者が減っていることを示す。

 理由はいくつか考えられるが、晩婚化が進んでいることが挙げられる。夫(男性)では2〜3歳、妻(女性)は5歳近くも上がっている。

 一般的に、結婚直後は、賃貸住宅に住み、給与が上がるのを待ちながら、住宅購入資金を貯める人が多い。晩婚化すると、このプロセスを踏んでいれば、必然的に40歳を超えるということだ。

 次に挙げられるのは、買い替えに対する抵抗感が広がっていることだろう。

 今ではほとんど聞かれないが、かつて「住宅双六(すごろく)」という言葉があった。賃貸住宅や社宅からスタートして、マンションを購入。それを手放して一戸建住宅を購入してゴールとなる双六だ。

 しかし今では、一度購入したマンションの資産価値が下がりやすいこともあり、それを手放して新しい家を購入することが難しく、「終の棲家」としてマンションを購入する人が増えている。

 せっかく築いた近所や地域のコミュニティーから離れること、新たな場所でコミュニティーを築く面倒さから、今の住まいが手狭で古くても、我慢して新たな家を購入しないということもありそうだ。さらに、そもそも 買い替えという行為の面倒さを指摘する人もいる。

不透明な中古物件取引
大口たたく仲介会社

 しかし、新しい住まいを探すのは、ワクワクして楽しいものだ。ただ、買い替えのために楽しみながら住まい探しをするためには、「いま住んでいるマンションが売れるのか」という問題をクリアしなければならない。

 もちろん、安くすればすぐに売れるだろう。ただ、買い替えるのだから、新たな住まいの購入資金が必要であり、なるべく希望する額で売りたい。特にローンが多く残る人にとっては、少なくともローンの残額+α以上での売却を望むことだろう。

 しかし、中古物件の取引は、ほとんどの人にとってはどのような仕組みになって取引価格が決まるのかわからず、不透明感を感じると言われている。そこで、中古物件の取引価格が決まる流れを、簡単に解説しよう。

 売り出し価格の決定は、売り主の希望額はあっても、市場価格と折り合いをつけなければならない。これには、仲介会社による売買価格査定を経て、売り出し価格を決める。しかし、査定された金額がそのまま、初出売り出し価格にならないことが多い。どの仲介会社も基準に従い査定をするが、最後に「調整価格」と称して、査定した金額から価格調整をする。これは、その物件を扱おうと競う仲介会社同士のにらみ合い、その仲介会社が持つ市場の需要予測など、さまざまな要素によって上下するのだ。

 最終的には、多くの場合、「希望価格>査定価格」となり、初出売り出し価格は、この間の価格が多い。つまり、「希望価格>初出売り出し価格>査定価格」となる。

 売り主としては少しでも高く売りたい。したがって「高い査定金額を付ける仲介業者に頼みたい」と考えるはずだ。

 どの仲介会社に取引を仲介してもらうか決めるときに注意したいのが、売り主の心情を逆手にとる、ずる賢い業者だ。売り主からの専任媒介契約が欲しいために、妥当な金額よりも上乗せし、その金額で売れる保証などないにもかかわらず、「この金額で売れるように頑張りますので、わが社を仲介会社にしてほしい」と売り主に迫るという。

 しかし、売り主の希望通りの価格で売れることは稀だ。

 仲介会社が「頑張ります」と言っても、決めた金額が市場での妥当価格でない場合は値下げせざるを得なくなる。初出売り出し価格で売却できない状態が続けば、仲介会社から値下げの提案が来ることになる。

 あるいは、「売り出し価格より○○万円安ければ買うというお客様がいますが、どうしますか?」と言われる場合もある。どちらにしても現在の売り出し価格よりも下回る金額での売却となることは避けられない。

 だったら初めから妥当な金額で売り出した方が良かったのではないかという疑問を抱く人も多い。その方が早く売却でき、気が楽だということだ。

 業界関係者などに聞くと、中古物件にも鮮度があり、価格を下げた物件や長い期間売り出されているような物件は敬遠される傾向にあるという。とくに、ネット上で物件写真などが見られる今は、その傾向が強いという。

 つまり、無理に高い金額でスタートすると、結局は相場よりも安く売る羽目になることが多いというのだ。

 中古物件の売買成立価格は、もっとも多いケースで「希望価格>初出売り出し価格>査定価格>売買成立価格」となっている。不動産価格上昇局面では、たまに「希望価格>初出売り出し価格≧売買成立価格>査定価格」となる。

 もっとも、買う側は「売り出し価格からどこまで安くなるのだろうか」と思い物件概要を見ている。したがって、いつでも価格下落の圧力を受けることになる。

高く売るための無理は禁物
結局は安売りで損をする

 ここで、実際の事例を見てみよう。

 田中氏(仮名)は今年43歳。ベンチャー企業で執行役員を務めている。今年の春、それまで住んでいた分譲マンション(所有)から一戸建て住宅を購入し、引っ越した。東京23区に住んでおり、新たな一戸建て住宅は、かつてのマンションから徒歩で移動できる距離の場所だった。

 引っ越そうと思ったきっかけは、2人の子どもが大きくなり、それぞれ一人部屋が欲しいと言い始めたからだった。夫婦の部屋も含めて3LDK以上の間取りの家に引っ越そうと検討を始めた。子どもの学校のこともあり、近所で探したようだ。

 しかし、田中氏もぶち当たったのが「今のマンションは、どれくらいの値段で売れるのだろうか」という不安だった。

 マンションの住宅ローンはまだ残っていた。売却で得たお金からローンを返し、その残金を新しく購入する一戸建ての資金や諸費用に充てる計画だった。

 仲介会社の担当者が査定した金額は、4750万円だった。田中氏の売却希望金額は4800万円。そこで、査定金額と売却希望価格の間をとって4790万円を初出売り出し価格にした。

 実はこの初出売り出し価格は、数ヵ月前に他の不動産流通会社に査定依頼して出された4500万円、初出売り出し価格4590万円という金額よりも200万も高い金額だった。しかし、このエリアに強い仲介会社だということと、担当者の「大丈夫」の一言で、それほど熟慮せずに仲介会社と初出売り出し価格を決めてしまった。

 一方、新居となる一戸建て住宅の購入は、トントン拍子で話が進んだ。まだマンションが売れていない状況にもかかわらず、契約をしてしまった。一般的には、マンションのローンが残っていると、新たな住宅ローンは組めない。しかし、ローン残高が少ないこと、そしてある程度の年収があるという信用、そして夫婦共働きであり、新たなローンも共同で返済することを条件に、大手都市銀行の住宅ローンを組むことができた。

 こうして、田中氏はマンションの売却が決まらない状況下で、新築戸建住宅購入の契約をした。当然だが、マンションの売買成立が長引けば長引くほど、2つの住宅ローンを長期間抱えることになる。

 結局、田中氏はマンションの売買が成立する前に、引っ越さざるをえなくなった。「大丈夫」と胸を張った仲介会社の担当者は、2度も価格を下げ、それでも売買成立ができず、「4450万円なら買いたいという方がいるのですが、いかがですか?」と言ってきた。初出売り出し価格から300万円も値下げしなければならない状況になったのである。

 さすがの田中氏も、2つのローンを払い続けるのは厳しい。なにより、今か今かと売却を待ち続ける面倒さ。結局、このマンションを買った金額をほんの少し上回っていたこともあり、300万円もの値下げを飲んだ4450万円で売ることにした。

 田中氏の買い替えは、決して大成功とは言えない。最大のポイントは仲介会社と初出売り出し価格。高く売りたいという気持ちは誰でも持つものだが、そこで無理は禁物だ。市場価格を無視して、売却希望価格に近づけすぎると、売り出し期間が無駄に長引き、それがさらに値下げ圧力となることがある。結果的に、市場価格よりも安く売らなくてはならないこともあるのだ。

「買い替え」の場合、新たな住宅購入が控える。そこが、1次取得の場合とはまったく違う点であり、難しいところでもある。
http://diamond.jp/articles/print/60429


03. 2014年10月15日 07:21:44 : jXbiWWJBCA
http://diamond.jp/articles/print/60512
山崎元のマルチスコープ
【第350回】 2014年10月15日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
「老後不安」と資産運用
資産運用業界にとっては大切な商材「老後不安」にどう備えるべきか?

?老後の生活費に対する不安と、将来のインフレに対する不安の2つの不安は、資産運用業界(販売金融機関も含む)にとっては、有力な「商材」の双璧だ。特に、老後不安については、定年退職までに十分な資産がないと「老後難民」になる、などと脅かされると、心配がどんどん膨らんで来る。普通の人には過剰な想像力があるので、不安がゼロになることはほとんどない。

?もともと利幅の大きな怪しい商品は、先に不安を提示しておいてから、「安心な対策!」としてセールするのが、マーケティングの定番だ。顧客側には迷惑な話だが、こうして売るのがむしろ普通なのだ。

?健康食品、生命保険(ガン保険などの医療保険を含む)、霊感の壺などは、粗利が大きく、筆者にとって払う金銭ほどの価値がないと感じる商品群だが、見事にこのパターンに当てはまる。いずれも、別のものにお金を使った方が消費者の目的により適うように思えるのだが、多くのケースでそうはさせずに顧客を仕留めるところが、プロの怖さだ(甘く見てはいけない!)。

?投資信託や個人年金保険のような個人向けの運用商品は、生命保険や霊感の壺と較べると、顧客の支出に対する比率で見た手数料が一ケタ小さいように思うが、しばしば顧客が支出する金額が大きい。また顧客は、「お金を増やすために」という明確な目的意識でお金を投じるのに、金銭的に明らかに損な商品を買う。「あこぎ」の度合いにあって、両者に大差はないかもしれない。

?普通の生活者は「老後不安」に対して、どう備えたらいいのだろうか。

?資産運用へのアドバイスを本業とする筆者にとっては残念な事実だが、老後の生活の不安のような「人生の大問題」は、今持っているお金の運用だけで解決できるとは考えない方がいい。

老後の生活費の問題は
主として支出配分の問題

?稼ぎがゼロの前提で、老後の生活を現役時代と同様の水準で確保するためには、年金をあてにしないとすると、今後の運用益を考えても少なくとも年間支出額の20年分くらいの蓄えが必要だろうが、これは通常の人の現役時代の運用額では、よほどの高利回りがないと無理だ。

?首尾良く、そこそこの利回りで必要とおぼしき資産額をつくることができた人がいたとしても、それは運用が上手かったからというよりは、長期にわたって相当の額を貯蓄・投資したことが立派だったからだろう。あるいは、運用資産額が大きくなる運用の終わりに近い時期に、幸運な利回りに当たったかだが、もちろん幸運は予定できない。

?老後の生活費の問題は、主として異時点間の支出配分の問題なのだ。

?仮に、40年同じ可処分所得を得て、簡単化のために金利も物価上昇率もゼロだとすると、可処分所得の40%を貯蓄した人は、貯蓄の取り崩しによって現役時代の支出(可処分所得の60%のはずだ)を26.7年続けることができる。65歳から26.7年と考えると、91.7歳になっており、女性の平均寿命をも大きく上回る。

?可処分所得の30%を貯蓄したケースを考えると、現役時代の支出を17.1年続けることができる。現役時代の8割の支出でよければ、21.4年だ。現実には、頼りないとはいえ公的年金などもあり、65歳以降もある程度は働けることを思うと、可処分所得の25%も貯蓄すれば相当に「安全圏」だろうし、資産運用の利回りもそれなりにあっておかしくない。

?老後の生活費が不安な人は、計画的な貯蓄を徹底的に考えるべきだ。運用商品や金融マンのアドバイスなどに頼ってはいけない。運用の結果は不確かであり、金融屋に儲けさせることだけが確かになる。

アリか、キリギリスか?
老後設計の「割り切り方」

?さて、読者の年齢は多様だろうが、これまでに可処分所得の大半を使ってしまっていると、先のような計算はまるで成り立たない。実は、筆者(アリよりもキリギリスのタイプだ!)もそうなのだが、現役時代に可処分所得の25%程度の貯蓄や投資を継続してこなかった人は、どうすればいいのか。

?なお、可処分所得の25%〜30%というと、住宅ローンの返済でこれくらいの額を払い続けた方が少なからずいらっしゃるだろうが、住宅の価値が減価している(加えて、今後もさらに減価する)ことを考えると、ローンの返済額をそのまま貯蓄だと考えることは不適当だ。不動産の価値は、あくまでも現実的に売却が可能な時価で考えるべきであり、自宅用であっても例外ではない。

?我々にとって考えやすいのは、リタイア時点ではなく現状だ。まず、現状の自分の純資産額(金融資産と不動産などの実物資産の換金可能な時価評価額から、債務額を差し引いたもの)を、ざっくりと計算してみよう。

?次に、たとえばリタイア後から25年生きるとして(65歳でリタイアなら90歳まで)300ヵ月となるが、自分の純資産額を300で割り算してみよう。ちなみに、95歳まで考える人は360で、100歳まで考える人は420で割り算するといい(筆者は360で考えている)。

?こうして求められた金額が、リタイア後に毎月取り崩していい金額だ。この金額を、独自の企業年金のない方は日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」に載っている老齢年金の見込額の月額、企業年金がある方は会社の年金担当部署で教えてくれる年金の見込額に加算した額が、大まかに「リタイア後に働かなくても使える額」となる。

?ただし、公的年金の受取額は実質価値で年率1%程度ずつ減価していく可能性が大きいことを覚悟しておくべきだ。

「これでは、少ないな」と思われた読者が少なくないかもしれないが(筆者もそうだ)、この場合に考えるべきことは、(1)リタイアまでの貯蓄(収入マイナス支出)の計画、(2)リタイア時期の延長あるいはリタイア後の稼ぎの計画、(3)足りないと思う額であっても「リタイア後に働かなくても使える額」による生活のシミュレーション、の3つだ。

生活レベルを変えれば十分暮らせる
「老後」を怖がり過ぎるのも考えもの

?それぞれに補足しよう。

?具体的な老後の生活費の水準が見えて来ると、貯蓄に対する意識が変わる人は少なくないはずだ。目的を持って計画的に「天引き」で行う貯蓄と、漫然と余ったお金を貯めるのとでは、行動経済学的に見ても効果が違うはずだ。

?多くの人にとって最も現実的な「老後対策」は、働く期間を延ばすことだろう(筆者は主にこの方向を考えている)。働き方は、若い頃と変わるとしても、健康でさえあれば、相当程度可能なはずだ。

?ただし、たとえば会社を退職した後に働く体制をつくるためには、周到な準備とそれなりの準備期間が必要なはずだ。

?現役世代の自分から見て「足りない」と思う額でも、発展途上国の賃金を考えると十分豊かに暮らせるはずだ。また、格差が広がるとはいえ、多くの日本人が(程度の差はあれ)自分程度の可処分所得になることを考えると、消費財やサービスにしても、低所得者向けのマーケットがきっとできるはずだ。

?たとえば、今、百貨店の伊勢丹や高島屋で衣料品などをよく買うという方は、名前は挙げないが大型のスーパーマーケットに行って、そこで売っている商品の値札を見ると驚くだろう。大袈裟に言うなら「これは、デフレの殿堂か」と感動するはずだ。

?また、さすがに衣料品の全ては100円では無理だが、100円ショップに行くと「十分使えるものが、この値段なのか」と再び驚くことになるだろう。

?また、日本には空き家が多く、今後人口が確実に減る。贅沢を言わなければ、住むところがないという事態は起こりにくいはずだ。

?生活レベルが変わることはあるとしても、「暮らせない」という心配は案外小さいのではないか。「老後」を事前に怖がりすぎるのは考えものだと思う。

楽観と悲観のほどよい中間は?
老後設計と運用リスクの関係

?さて、先の300、360、あるいは420で持っている資産の価値を割り算する考え方で便利なのは、資産運用の損得を簡単にリタイア後の生活費と結びつけることができる点だ。

?たとえば、純資産額を300で割ることにしている人は、300万円儲けると将来の生活費が月1万円増え、逆に300万円損すると将来の生活費が1万円減ると考えると、運用のリスクをリアルに想定することができる。

?たとえば、300万円が許容できる損失の限界だと思う人であれば、リスク資産を内外の株式インデックスファンド(国内株と先進国株を50%ずつ)のような内容で運用する場合、リスク資産に投資できる上限は1000万円程度だ(1年間に想定される大きなロスは3割程度なので、ここから逆算すると計算できる)。

?世間には、運用での損失を非常に大きく致命的なものに感じる人が多いように見受けるが、このように計算してみると、許容範囲を拡げられる人が案外多いのではないか。

?取っても大丈夫だと納得のできるリスクを取りながら、非現実的でない程度に預金などよりも高いリターンの獲得を目指す。老後に備える「資産運用」の立ち位置は、このくらいが丁度良い。

?なお、運用でリスクを取るとどのくらいリターンが増えるのかについては、残念ながら定説はないが、リスク資産運用として内外の株式で運用するケースを考えると、預金などの利回りにせいぜい5%を足したくらいを「長い目で見て平均的に達成できそうな利回り」と考える程度が、楽観と悲観のほどよい中間ではないかと筆者は考えている。
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