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がん保険料「半額」でも割高 試算でみる負担感[日経新聞]
保険コンサルタント 後田亨
2014/10/13 7:00
米アメリカンファミリー生命保険(アフラック)が10月から、郵便局専用のがん保険の販売を始めました。がんと診断されたときの給付金は一般代理店向けと同じ100万円ですが、入院・通院給付金などを低く設定。手術・放射線治療給付金もなくしたことで保険料を半額程度にしています。しかし私はそれでも割高だと思っています。がんにかかる確率から受け取れる可能性がある給付金に対し、どれだけ保険料を払うことになるのか試算してみましょう。
[アフラックがん保険の保障内容と保険料の違い]
一般代理店向け 郵便局専用
「Aプラン」 「JPオリジナルプラン」
診断給付金 100万円 100万円
(上皮内新生物10万円) (上皮内新生物10万円)
入院給付金(日額) 1万円 4000円
通院給付金(日額) 1万円 4000円
手術治療給付金 20万円 ―
放射線治療給付金 20万円 ―
抗がん剤治療給付金 10万円 5万円
(一部5万円) (一部2万5000円)
保険料(40歳男性) 4310円 2382円
(注)プレスリリースの概要から作成。給付金は入院・通院を除き一時金。保険料は月額
郵便局専用の商品は「新・生きるためのがん保険Days(JPオリジナルプラン)」。一般代理店向けの「Aプラン」との保障内容と保険料(40歳男性の場合)の違いは表の通りです。JPプランでは高額の先進医療に対応した特約も付加できません。
[給付のためにどれだけの保険料が必要か]
(試算A 35歳男性が胃がんにかかる場合)
給付見込み額 保険料総額
60歳まで 8万2880円 64万3500円
80歳まで 72万2240円 151万9140円
(試算B 30歳女性が乳がんにかかる場合)
60歳まで 17万2000円 70万9200円
86歳まで 77万4000円 149万6640円
(試算C がん罹患率が高い70〜79歳に加入した場合)
男性 33万1520円 112万2360円
女性 22万3600円 58万1040円
(注)「がん情報サービス」のがん罹患率や平均余命から試算
JPプランのパンフレットに紹介されている事例は2つ。(1)35歳の男性が胃がんと診断され、手術・治療で23日間入院。2年後に再発してまた23日間入院し、総額118万4000円を受け取る(2)30歳の女性が乳がんと診断され、手術・治療で12日間入院。退院後は抗がん剤治療を18回受け、総額172万円を受け取る――ケースです。それぞれ給付金の見込み額と、それに対する保険料総額を試算します。
胃がんの例では、35歳男性の保険料は月1916円。45歳からは2111円、55〜64歳までは2671円です。国立がん研究センターがん対策情報センターの「がん情報サービス」のサイトによると、30歳と40歳の男性が60歳までにがんにかかる確率は7%です。したがって60歳までに受け取る可能性がある給付金は、118万4000円×7%=8万2880円と計算できます。これに対して60歳までに払い込む保険料の総額は64万3500円。8万円あまりの給付金のために64万円ほど払うことになるのです。
罹患(りかん)率が高まる60代以降も含めるとどうでしょうか。30歳と40歳の男性が生涯でがんにかかる確率は61%ですから、給付金見込みは118万4000円×61%=72万2240円です。これに対して払う保険料は、35歳男性の平均余命が45年強なので80歳までとした場合、総額151万9140円になります。
乳がんの例では、30歳の女性が60歳までにがんにかかる確率は10%ですから、給付金の見込み額は172万円×10%=17万2000円。保険料の総額は70万9200円です。生涯でみると、がん罹患率は45%なので給付金見込みは77万4000円。保険料は平均余命から86歳まで払うとすると総額149万6640円になります。
郵便局専用のがん保険が一般代理店向けの半額程度に保険料を抑えたといっても、給付見込みを大幅に上回る保険料が必要であることが分かります。ただし2013年11月27日付「試算で探る保険の現実 長期継続はこんなに少ない」などで指摘してきたように、30代から数十年のスパンでみると解約も増えます。そこで10年以内に給付金を受け取る確率が最も高い70歳から加入し、79歳まで継続するケースも見てみましょう。
男性はがんにかかる確率が28%で保険料が9353円ですから、118万4000円×28%=33万1520円のために払う保険料は9353円×12カ月×10年=112万2360円。女性は罹患率13%で保険料は4842円ですから、172万円×13%=22万3600円のために4842円×12カ月×10年=58万1040円払う計算になります。それぞれ給付見込みの3.4倍、2.6倍の保険料が必要なのです。
もちろん、これらはパンフレットで示されたわずか2つの給付例に基づく試算にすぎません。実際には加入から比較的早くがんと診断されたり、入院や治療が長引いたりして保険料に見合う給付金を手にするケースもあるでしょう。それでも平均的な罹患率や余命から、受け取れる可能性がある給付金と、そのために払う保険料をおおまかに把握しておくことは意味があるはずです。
消費者にとって、がん保険はまだまだ高い買い物です。単に従来の商品と比べて保険料や保障内容が魅力的だからといって飛びつくのではなく、手持ち資金や高額療養費制度、勤め先の福利厚生制度を考慮してもがん保険が必要なのか、という視点が欠かせません。そして保険会社に対しては、よりシンプルな商品開発によって価格競争が進むことを望みます。
後田亨(うしろだ・とおる) 1959年生まれ。95年に日本生命に転職。2012年から保険相談室代表、一般社団法人バトン代表理事(13年に両者を統合し、バトン「保険相談室」代表理事)として執筆やセミナー講師、個人向け有料相談を手掛ける。07年に出版した「生命保険の『罠』」(講談社+α新書)で保険のカラクリを告白、業界に波紋を広げる。ほかに「“おすすめ”生命保険には入るな!」(ダイヤモンド社)、「がん保険を疑え!」(ダイヤモンド社)、「保険会社が知られたくない生保の話」(日本経済新聞出版社)など。
公式サイト(1)http://www.seihosoudan.com/
公式サイト(2)http://www.yokohama-baton.com/
http://www.nikkei.com/money/household/hokenhonto.aspx?g=DGXMZO7819949009102014000000
- 医療保険を考える前に 意外と手厚い公的保障 あっしら 2014/10/13 18:12:24
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