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アンチ・アマゾン運動、世界中で続発 日本では火種くすぶるも大爆発はしない?
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20141013-00010002-biz_bj-nb
Business Journal 2014/10/13 07:06
国内インターネット通信販売の市場規模が、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどを大きく引き離しつつある。
IT分野の市場調査会社、MM総研によると、2012年度のネット通販市場は約14兆2000億円、13年度は国内消費全体の5.6%を占める約15兆9000億円と推定され、このまま進むと15年度には20兆円を超えると予想している。
13年に売上高1兆円に達したネット通販の世界最大手のアマゾンがこの状況を牽引していることは明白だが、近年そのアマゾンに思わぬ逆風が吹いている。
●国内外のアンチ・アマゾン
フランスでは、オンライン書店が値引きをした書籍を無料配送することを禁じる法案、いわゆる「反アマゾン法」が今年7月8日に施行された。同国の書店は最大5%まで販売価格の割引が認められる「ラング法」をベースとしており、アマゾンの台頭により同法律の建て増しを行ったかたちだ。これに対してアマゾンは、送料を「1ユーロセント(約1円)」に設定し、徹底抗戦の姿勢を見せた。
アメリカでは、アマゾンの倉庫内作業に記者が潜入したルポ本が出版・配信され、微々たる遅刻でも0.5ポイント刻みの反則点が加算され、6ポイントに達すると問答無用で解雇につながるなど、徹底した人員管理からくる過酷な労働環境が表面化して同社への批判が高まっている。
また、米市場シェア4位に君臨する大手出版社アシェットとアマゾンの契約条件更新に端を発した対立に、スリラー系小説の大家ダグラス・プレストンをはじめ、スティーヴン・キング、ドナ・タートなど有名作家約900人が連名でアマゾンに抗議文を送付した。ダグラス・プレストンは「ここ数年のアマゾンの態度は、著者のことをまるで“雑兵”として扱っているようだ」と批判的なコメントを出し、世間の注目を集めた。
一方、日本国内では13年に日本出版社協議会が、学生向けポイント還元プログラム「Amazon Student」は再販売価格維持制度に違反していると批判した。同協議会の会員98社のうち51社が、自社の商品を同プログラムから除外するよう求めた要望書を提出したが、14年5月には改善が見られないとしてアマゾンへの出荷を期限付きで停止した。
●アマゾン反対運動は拡大するか?
今後、このようなアマゾンへの反対運動は大きなムーブメントになるのか、またはこのような状況下でもアマゾンの快進撃は続くのか、ネット通販などの流通事情に詳しい調達・購買業務研究家の坂口孝則氏は現状を次のように分析する。
「“アマゾンの独り勝ち”との声をよく耳にしますが、実は楽天などの競合企業も業績は伸びています。アマゾンがネット通販業界、ひいては関連事業を底上げしているのは間違いありません。ただ、成長スピードがあまりにも速いため、一部の関連事業がついてこられない側面もあり、運送業などはその一つです。企業の成長過程を『導入期、成長期、成熟期、衰退期』に分けると、アンチが出現するのは成長期と成熟期です。つまりアマゾンは現在その線上にあるということがわかります」
運送業界首位のヤマト運輸と共にアマゾンの配送部門を支えてきた佐川急便が、要求に比べ対価が低すぎるとしてアマゾンとの取引から撤退したことは記憶に新しい。
「ネット業界はオムニチャネル化(複数の販売経路や顧客接点を連携させること)などで、ますます勢いが加速すると思われます。たとえ反アマゾンの動きがあったとしても、ネット通販拡大の流れを大きく変えるようなことにはならないでしょう。ただし、小・中規模の“反アマゾン爆発”が連続して起こる可能性は否めません」(坂口氏)
アマゾンの日本経済への貢献度合いは決して小さくないが、同時に反アマゾンという火種を市場にくすぶらせているということなのだろう。
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