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小売り、回復もたつき
6〜8月6割の企業が減益 増税と悪天候で減速
増税後に落ち込んだ消費の回復が遅れ、主要小売業の収益を圧迫している。9日にほぼ出そろった2014年3〜8月期決算では、直近の3カ月(6〜8月)に経常減益になった企業が46社と全体の6割だった。夏場の悪天候も重なり、3〜5月から減速が目立つ。15年2月期通期では多くの企業が増益を予想するが、経営者は消費の先行きをなお慎重に見ている。
9日に発表した百貨店の松屋など、2月期決算の小売業の8割にあたる77社を集計した。決算発表は3〜8月の6カ月分だが、今回は消費増税の影響を詳しくみるため、3〜5月の実績を差し引いた直近3カ月分を分析した。
増税直前の駆け込み需要があった3〜5月は減益企業は32社(4割)で、6〜8月は増減益企業の比率が逆になった。減収減益の企業は14社から32社に急増し、出店などで落ち込みを埋めきれなかったことが分かる。
当初、消費は駆け込みの反動減が想定より小さく、6月ごろから持ち直すとの見方が多かった。だが大雨などの悪天候にも見舞われ、6〜8月の経常利益は9%減った。駆け込みのプラス分が効いて前年同期並みだった3〜5月をあわせて、上期(3〜8月)でならしてみても5%減益だ。
セブン&アイ・ホールディングスは上期は最高益だが、6〜8月は1%減(3〜5月は5%増)にとどまる。総合スーパーの不振に加え、コンビニエンスストアも飲料などが苦戦した。村田紀敏社長は「前回1997年の増税時より売り上げの戻りが鈍い。消費者が慎重になっている」と話す。
百貨店のJ・フロントリテイリング、ホームセンター大手のDCMホールディングスなど、3〜5月の増収増益から一転、6〜8月は減収減益になった企業も多い。
一方、独自商品の企画から製造・販売まで一貫して手掛ける専門店などは勢いを保っている。「8万円近いソファが売れている」(ニトリホールディングス)、「高価格帯の衣料が好調」(良品計画)という。実質所得が伸びない中で消費者は倹約志向を強めているが、同時に、欲しい商品なら価格が少し高くても買うという傾向がある。
首都圏と地方の消費の回復力の違いも浮かび上がった。9日に決算発表した食品スーパーのマルエツは東京などに店が多く「高価格の銘柄和牛が良く売れた」として、3〜5月も6〜8月も増益だった。対照的に中国・九州が中心のスーパー、イズミは減益だった。
77社の通期の予想増益率は6%で、期初時点の9%程度から少し鈍ったものの、なお全体の4分の3にあたる58社が増益を見込んでいる。「消費は刺激しないと動かない」(セブン&アイの村田社長)など慎重な見方も多いなか、足元では気温が下がり、秋冬物の衣料やコンビニのおでんなどが伸びている。
巻き返しへ手探り
増税後の消費回復が期待通りに進まず、上期は苦戦を強いられた小売り各社。下期の反転攻勢を目指し、各社は消費喚起に躍起だ。ただ、景気回復の足取りがもたつくなか、消費者心理の改善にはめどが立たず、手探りのかじ取りを余儀なくされている。
百貨店大手の9月の既存店売上高は5社中3社が前年実績を下回った。秋物衣料の需要の先食いで好調だった8月の反動に加え、「若年層を中心としたボリュームゾーンの戻りが遅い」(J・フロントリテイリングの山本良一社長)ためだ。10月の免税対象商品の拡大を受け、三越伊勢丹や高島屋などは訪日外国人の獲得に力を入れている。外国語による接客や免税手続きの窓口の設置などサービス拡充を競う。
都市部では好調が続く食品スーパー。9月の既存店売上高はマルエツが前年同月比4.8%増、ライフコーポレーションも3.5%増だった。総菜の強化が奏功し、シニアや単身者を中心に割高感のあるコンビニエンスストアから顧客を取り込む。マルエツは一部の赤字店で自前の売り場を縮小し、100円ショップなどのテナントに切り替えるといった一段のテコ入れを急ぐ。
ただ、物価が上がる一方、所得の増加を十分に実感できないままの消費者の財布のひもは固い。2015年10月を予定する再増税の論議もこれから本格化する。大手食品スーパーの首脳は「やるならば(政府は)消費を喚起する施策を打ってほしい」と危機感を募らせている。
[日経新聞10月10日朝刊P.]
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